全てを奪われてしまいそうなので、ざまぁします!!

ゆきりん(安室 雪)

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 「やはり誰が見ても『真珠姫』と呼びたくなるんだな。20年振りだよ、その通り名で呼ばれる令嬢が出るのはね」

 「そうなの?ガイ様」

 「ああ。前の真珠姫、気にならないか?」

 「う~ん、私よりも確実に綺麗な人なんでしょ?比べないで欲しいなぁ」

 「ミレーヌだよ。20年前の真珠姫は」

 ガイは懐かしそうな顔をした。




 20年前のミレーヌのデビュタントパーティも今日と同じようにガイがエスコートをしたらしい。そのパーティでミレーヌは真珠姫の通り名を貰い、ジュディーの父となるマクラーレン男爵とダンスを踊ったらしい。何人目かのダンスだった為、ミレーヌの足は豆が潰れて流血状態だったのをマクラーレン男爵だけが気付き、手当をしてくれたのが縁でお付き合いが始まったらしい。

 ふむ、お父様は優しいからな。

 「当時と同じだよ、あからさまにロックオンした目だな。男ども。とりあえずまずは国王様に挨拶だな」

 デビュタントに来たお披露目令嬢・令息はまず国王様に挨拶し、必ず何かお言葉をかけて貰うらしい。少し列になっている国王様の方へ向かう。

 国王様の横には補佐の人が度々、耳元に囁いている。そうだよね、これだけ挨拶に来たら誰だかすぐにはわからないよね。大変だよね~、と思っているとジュディーの順番になった。

 「本日はデビュタントパーティにお呼び頂きありがとうございます。私、マクラーレン男爵の娘ジュディーですが、先日ロイス伯爵家の養女になりました。今後は国の為に尽くしたいと思います。どうぞよろしくお願い致します」

 流れるように礼をし、頭を上げると国王様から言葉がかかる。

 「おお、そなたがジュディーか。さすが真珠姫の娘だけあって、そなたも真珠姫だな美しい。マクラーレン男爵は残念であったな。今宵は楽しむが良い」

 「はい、ありがとうございます。失礼致します」

 再び礼を取り、その場を辞する。

 数歩進むと男性に囲まれてしまう。誰も彼もが勝手に自己紹介をし、ダンスをしようと誘ってくる。

 「申し訳ありません、人を待たせておりますので」

 断りをしても次から次へとやって来る。

 ガーイー助けてよ~っ!!

 心の叫びが聞こえたのが、ガイが現れた。

 「ごめんね、ジュディー。令嬢方に捕まってしまってね?ああ、王宮の料理は美味しいんだよ、少し食べないか?」

 にっこり微笑むガイに、

 「是非食べたいわ。私ダンスは苦手だからスィーツ食べたいわね?」

 ガイにエスコートされながら料理を楽しむコーナーに向かう。ガイがいるからさすがに誰もダンスに誘って来ない。ガイに挨拶しながらも自分を売り込んで来る人は何人かいたが。

 2人は取り皿に料理を取り、座れるスペースに移動し、ドリンクをサービスしている給仕から飲み物を受け取る。

 「んっ、ドリンク美味しいっ!!果実酢かしら?」

 「ああ、このグラスの形は果実酢だな。アレがワイン・シャンパン・ジュースと形の違うグラスを指し、説明していく」

 「じゃあ、アルコール以外を楽しまなきゃ」

 「そうだな、外では飲まない方がいい」

 そう言ってガイはジュディーの頭を撫でながら優しく微笑んだ。






 
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