2 / 13
ナンナの周りは愛が満ち溢れている。
しおりを挟む
体が軽い!
思わずスキップしてしまう。まるで世界が変わったみたいな気分。
……いや、本当に変わったのか。
魔女の呪いによって、私はナンナの体を手に入れることができた。ずっとずっと、このタイミングを狙っていたのだ。
魔女の存在を知ったのは、五歳のころ。最初はパパとママの買ってくれた絵本のお話。だけど、それから興味を持って、古い書物が保管されている施設……。時には隣国まで出向いて、ありとあらゆる魔女の情報を収集した。
様々な情報に触れる中で、どうしたら一切努力せず、それでいて楽に、ナンナのような女になれるのか……。そればかりを考えていた。
魔女の呪いで、魂を入れ替える。この方法は、大金さえ払えば実行できることを知った私は……。ナンナの結婚を待ち望んでいた。
私だってバカじゃない。何の努力もしてこなかった私だから、例えナンナの体を得ることができても、そこから先の人生が心配だった。彼女にできることのほとんどを、私はすることができない。正体がバレてしまう可能性だって、否定できなかったのだ。
……だから、このタイミング。
この国では、一度結婚した夫婦は、どちらかが死なない限り離縁できない。さらに、妻となった女は基本的に、夫をサポートするだけの人生を送ることになる。その方法は様々だ。別に、魔法が使える必要はない。ただ……。そばにいて、癒しを与える。それだけでも、文句を言う人はいないだろう。
つまり私は、何一つできることなんてないけれど、夫のそばで、ただ ボーっと過ごしていれば……。それでいいということになる。
「あら?お嬢様。随分とご機嫌ですね!」
ナンナに付いているメイドのフェンシアが、笑顔で話しかけてきた。彼女は素晴らしい性格の持ち主で、醜い姿である私にも、同じような笑顔で接してくれる。私に付いているメイドのカレンは……。すごく冷たいのに。
思わず、フェンシアに抱き着いてしまった。今日からは……。この優しい子が、私のメイドだ。
「お、お嬢様!?いかがなされましたか!」
戸惑いながらも、フェンシアが抱きしめ返してくれた。カレンだったら、多分突き返されている。甘えないでください……。そんな風に言いながら。
「ちょっと……。抱きしめたくなったの」
「えへへ……。嬉しいです。いつもはお嬢様、頭を撫でてくれるくらいなのに……」
「色々、良いことがあったの。頂いた愛を、こうして他の人にも分け与えているだけよ?」
「まぁ……。なんてお優しいの!」
「ふぇ、フェンシア……。苦しいわ?そんなに抱きしめないで?」
ナンナの周りは、愛に満ちている。
……今日からは、これが私。
――私が、ナンナ・セラピーニャよ。
思わずスキップしてしまう。まるで世界が変わったみたいな気分。
……いや、本当に変わったのか。
魔女の呪いによって、私はナンナの体を手に入れることができた。ずっとずっと、このタイミングを狙っていたのだ。
魔女の存在を知ったのは、五歳のころ。最初はパパとママの買ってくれた絵本のお話。だけど、それから興味を持って、古い書物が保管されている施設……。時には隣国まで出向いて、ありとあらゆる魔女の情報を収集した。
様々な情報に触れる中で、どうしたら一切努力せず、それでいて楽に、ナンナのような女になれるのか……。そればかりを考えていた。
魔女の呪いで、魂を入れ替える。この方法は、大金さえ払えば実行できることを知った私は……。ナンナの結婚を待ち望んでいた。
私だってバカじゃない。何の努力もしてこなかった私だから、例えナンナの体を得ることができても、そこから先の人生が心配だった。彼女にできることのほとんどを、私はすることができない。正体がバレてしまう可能性だって、否定できなかったのだ。
……だから、このタイミング。
この国では、一度結婚した夫婦は、どちらかが死なない限り離縁できない。さらに、妻となった女は基本的に、夫をサポートするだけの人生を送ることになる。その方法は様々だ。別に、魔法が使える必要はない。ただ……。そばにいて、癒しを与える。それだけでも、文句を言う人はいないだろう。
つまり私は、何一つできることなんてないけれど、夫のそばで、ただ ボーっと過ごしていれば……。それでいいということになる。
「あら?お嬢様。随分とご機嫌ですね!」
ナンナに付いているメイドのフェンシアが、笑顔で話しかけてきた。彼女は素晴らしい性格の持ち主で、醜い姿である私にも、同じような笑顔で接してくれる。私に付いているメイドのカレンは……。すごく冷たいのに。
思わず、フェンシアに抱き着いてしまった。今日からは……。この優しい子が、私のメイドだ。
「お、お嬢様!?いかがなされましたか!」
戸惑いながらも、フェンシアが抱きしめ返してくれた。カレンだったら、多分突き返されている。甘えないでください……。そんな風に言いながら。
「ちょっと……。抱きしめたくなったの」
「えへへ……。嬉しいです。いつもはお嬢様、頭を撫でてくれるくらいなのに……」
「色々、良いことがあったの。頂いた愛を、こうして他の人にも分け与えているだけよ?」
「まぁ……。なんてお優しいの!」
「ふぇ、フェンシア……。苦しいわ?そんなに抱きしめないで?」
ナンナの周りは、愛に満ちている。
……今日からは、これが私。
――私が、ナンナ・セラピーニャよ。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
1,977
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる