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剣神を目指して……。
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「はぁあああ!!」
「ぐわぁ!!!強い!!」
「……ふぅ」
……さすがに、騎士団長ともなると、互角か。
私は剣を下げ、騎士団長のクレイドルに握手を求めた。
「良い戦いでした。ありがとうございます」
「いえ……。それはこちらのセリフでございます。まさか、ナンナ様の妹君が、これほどの腕前だとは。すぐにでも、戦地に向かうことができるレベルに達しています」
素直に嬉しかった。剣士の適性があることに気が付いてからは、毎日血の滲むような努力をしてきたから。まだ未熟ではあるけど、歩んできた道は、間違いじゃなかったのだ。
「今からでも我が国に出向いていただいて、兵に稽古をつけていただきたいくらいです」
「そんな……。恐れ多いことを」
リオロ様が、レーンに……。私に会いにくるということで、護衛の兵が何人か姿を見せていたので、少し手合わせを願い出た。という状況だ。
「お二人とも、よろしければ、そこでお茶を。疲労に効く成分を混ぜ込んであります」
「ありがとうカレン」
「わざわざ申し訳ございません……。いただきます」
庭でお茶を頂くことにした。カレンの入れるお茶はとても美味しい。フェンシアほどではないけれど……。
「これは……。確かに、疲労が抜けていく感覚があります!」
クレイドルがカレンに微笑みかけると、顔が真っ赤になった。……カレンは、こういうタイプの男が好みなのか。あとでからかってやろう。
「しかしレーン様。今まで連合会にすら姿を見せていなかったのに……。どこでそのような剣技を身に付けられたのですか?」
「えっと……。そうですね。日々の鍛錬で」
「まさか、個人的な鍛錬で、そのような域に達したと?」
「そうなります」
「……すごい」
「いえ、まだまだ私は……。上を目指したいと思っています」
私がそう言うと、クレイドルが驚いたような表情になった。
「上とは……。騎士団長ですかな?」
「違います……」
「……まさか、剣神?」
「はい」
「なんと……」
女でありながら、剣神を目指す。
笑われるかと思ったが、クレイドルは真剣に聞いてくれた。
「きっとその目標は、達成されるでしょう。剣を交えた私ですからわかります。剣を握る度、そして、振る度に……。成長していくような、そんな勢いを感じました」
「是非、またお手合わせ願いたいです。この国は、魔法騎士が多く、純粋な剣の稽古となると、どうしても限界があるので」
「私でよければ、是非。むしろこちらから出向きたいくらいです。……きっと、その回数も、増えていくでしょうから」
近頃、レーンは……。ほとんど部屋から出なくなってしまった。
本来であれば、遠征を終えたばかりの王子を、わざわざ国へ呼び寄せるなんて、あまりに無礼である。
体調が優れないというのも、疑わしかった。本当に、ベッドから動けないほど体調が悪いのであれば、食事が喉を通らないはずなのに。
「ご迷惑をかけてしまって、本当に申し訳ございません。姉の代わりに、謝罪します」
「そ、そんな。頭を上げてください。ナンナ様は、努力を惜しまない方でしたので、体が限界を迎えてしまったのでしょう。たまには思いっきり休むことも大切です」
違う……。私は確かに、日々あらゆることに全力で取り組み、苦労もしてきたが、それは全て、厳重に体調を管理した上で、行われていたのだ。体調を崩すなんてことは、ありえないし、ただの自己管理不足。むしろ恥ずべきことであるくらいなのに。
「おっ。リオロ様がお見えになった。では、私はこの辺で」
グレイトルが立ち上がった。
「ぐわぁ!!!強い!!」
「……ふぅ」
……さすがに、騎士団長ともなると、互角か。
私は剣を下げ、騎士団長のクレイドルに握手を求めた。
「良い戦いでした。ありがとうございます」
「いえ……。それはこちらのセリフでございます。まさか、ナンナ様の妹君が、これほどの腕前だとは。すぐにでも、戦地に向かうことができるレベルに達しています」
素直に嬉しかった。剣士の適性があることに気が付いてからは、毎日血の滲むような努力をしてきたから。まだ未熟ではあるけど、歩んできた道は、間違いじゃなかったのだ。
「今からでも我が国に出向いていただいて、兵に稽古をつけていただきたいくらいです」
「そんな……。恐れ多いことを」
リオロ様が、レーンに……。私に会いにくるということで、護衛の兵が何人か姿を見せていたので、少し手合わせを願い出た。という状況だ。
「お二人とも、よろしければ、そこでお茶を。疲労に効く成分を混ぜ込んであります」
「ありがとうカレン」
「わざわざ申し訳ございません……。いただきます」
庭でお茶を頂くことにした。カレンの入れるお茶はとても美味しい。フェンシアほどではないけれど……。
「これは……。確かに、疲労が抜けていく感覚があります!」
クレイドルがカレンに微笑みかけると、顔が真っ赤になった。……カレンは、こういうタイプの男が好みなのか。あとでからかってやろう。
「しかしレーン様。今まで連合会にすら姿を見せていなかったのに……。どこでそのような剣技を身に付けられたのですか?」
「えっと……。そうですね。日々の鍛錬で」
「まさか、個人的な鍛錬で、そのような域に達したと?」
「そうなります」
「……すごい」
「いえ、まだまだ私は……。上を目指したいと思っています」
私がそう言うと、クレイドルが驚いたような表情になった。
「上とは……。騎士団長ですかな?」
「違います……」
「……まさか、剣神?」
「はい」
「なんと……」
女でありながら、剣神を目指す。
笑われるかと思ったが、クレイドルは真剣に聞いてくれた。
「きっとその目標は、達成されるでしょう。剣を交えた私ですからわかります。剣を握る度、そして、振る度に……。成長していくような、そんな勢いを感じました」
「是非、またお手合わせ願いたいです。この国は、魔法騎士が多く、純粋な剣の稽古となると、どうしても限界があるので」
「私でよければ、是非。むしろこちらから出向きたいくらいです。……きっと、その回数も、増えていくでしょうから」
近頃、レーンは……。ほとんど部屋から出なくなってしまった。
本来であれば、遠征を終えたばかりの王子を、わざわざ国へ呼び寄せるなんて、あまりに無礼である。
体調が優れないというのも、疑わしかった。本当に、ベッドから動けないほど体調が悪いのであれば、食事が喉を通らないはずなのに。
「ご迷惑をかけてしまって、本当に申し訳ございません。姉の代わりに、謝罪します」
「そ、そんな。頭を上げてください。ナンナ様は、努力を惜しまない方でしたので、体が限界を迎えてしまったのでしょう。たまには思いっきり休むことも大切です」
違う……。私は確かに、日々あらゆることに全力で取り組み、苦労もしてきたが、それは全て、厳重に体調を管理した上で、行われていたのだ。体調を崩すなんてことは、ありえないし、ただの自己管理不足。むしろ恥ずべきことであるくらいなのに。
「おっ。リオロ様がお見えになった。では、私はこの辺で」
グレイトルが立ち上がった。
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