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呪いからの解放。
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……向こうから、リオロ様が歩いてくるのが見える。
こちらに近づくと、手を振って、駆け寄ってきた。
「リオロ様、ナンナ様の様子はどうでしたか?」
「……あぁ。そこまで悪くないみたいだ」
「そうですか。それは良かった」
笑顔のグレイトル。しかし、リオロ様の表情は歪んでいた。その体を抱きしめ、慰めたい気持ちでいっぱいになったが、今の私は、レーンだ。そんなことをするわけにはいかない。
「……おや?あなたは?」
私に気が付いたリオロ様が、首をかしげている。
「私は、レーン・セラピーニャ……。ナンナの妹です」
「おぉ。あなたがレーン様でしたか。ご挨拶が遅れてしまい、申し訳ございません。リオロ・エンラベルです」
「こちらこそ……。この度は、遠征を終えたばかりですのに、わざわざ国に出向いていただき、ありがとうございます」
「いえ。ナンナ様のことが……。気がかりでしたから」
やはり、表情が優れない。かつての面影が無いほどに肥えてしまった私の体を見て、リオロ様は何を思っただろうか……。
「リオロ様。先ほどレーン様と、剣を交えたのですが……。素晴らしい剣技の持ち主でありました。今度は是非、訓練兵にもレーン様の腕前を見せたいと思っております。いかがでしょう」
「剣……?そのような話は、初めて聞いたな」
リオロ様に見つめられて、私は少し顔が赤くなってしまった。いけない……今の私はレーンなのだから。
「もう一週間もすれば、きっと私は、レーン様に勝てないでしょう」
「そんな。そのようなことは……」
「……レーン様」
「はい?」
「もしよろしければ、この指輪を受け取っていただけませんか?」
リオロ様が、小さな箱を開けた。
「聖女様に祈りを込めていただいたのですが、訳あって、ナンナ様には、別のものを贈ることになりました。セラピーニャ家に向けての加護が込められているので、僕が持っていても、意味を成しません」
……まさか、指が太くて?
なんてことだ。せっかく作っていただいたのに。
「私でよろしければ、是非」
「では……。失礼します」
指輪……。どうしても、あの日のことを思い出す。
レーンから送られた指輪を嵌め、私は体を奪われたのだ。
リオロ様が、私の手を握った。久しぶりのその感触に、思わず声が出そうになったが、何とか抑え込んだ。
ゆっくりと、指輪が……。
「わっ!」
指輪が綺麗に嵌まった瞬間、まばゆい光が放たれた。
これは一体……。
……あれ?
さっきまで感じていた、魔女の呪いが、なくなっている?
私は……。自分がナンナであることを、示すことができる?
「驚いた……。申し訳ございませんレーン様。祈りが強すぎたようです」
「……リオロ様」
「はい?」
「……私は、ナンナです」
「……え?」
……言えた!
指輪のおかげで、魔女の呪いが解けたのだ!
こちらに近づくと、手を振って、駆け寄ってきた。
「リオロ様、ナンナ様の様子はどうでしたか?」
「……あぁ。そこまで悪くないみたいだ」
「そうですか。それは良かった」
笑顔のグレイトル。しかし、リオロ様の表情は歪んでいた。その体を抱きしめ、慰めたい気持ちでいっぱいになったが、今の私は、レーンだ。そんなことをするわけにはいかない。
「……おや?あなたは?」
私に気が付いたリオロ様が、首をかしげている。
「私は、レーン・セラピーニャ……。ナンナの妹です」
「おぉ。あなたがレーン様でしたか。ご挨拶が遅れてしまい、申し訳ございません。リオロ・エンラベルです」
「こちらこそ……。この度は、遠征を終えたばかりですのに、わざわざ国に出向いていただき、ありがとうございます」
「いえ。ナンナ様のことが……。気がかりでしたから」
やはり、表情が優れない。かつての面影が無いほどに肥えてしまった私の体を見て、リオロ様は何を思っただろうか……。
「リオロ様。先ほどレーン様と、剣を交えたのですが……。素晴らしい剣技の持ち主でありました。今度は是非、訓練兵にもレーン様の腕前を見せたいと思っております。いかがでしょう」
「剣……?そのような話は、初めて聞いたな」
リオロ様に見つめられて、私は少し顔が赤くなってしまった。いけない……今の私はレーンなのだから。
「もう一週間もすれば、きっと私は、レーン様に勝てないでしょう」
「そんな。そのようなことは……」
「……レーン様」
「はい?」
「もしよろしければ、この指輪を受け取っていただけませんか?」
リオロ様が、小さな箱を開けた。
「聖女様に祈りを込めていただいたのですが、訳あって、ナンナ様には、別のものを贈ることになりました。セラピーニャ家に向けての加護が込められているので、僕が持っていても、意味を成しません」
……まさか、指が太くて?
なんてことだ。せっかく作っていただいたのに。
「私でよろしければ、是非」
「では……。失礼します」
指輪……。どうしても、あの日のことを思い出す。
レーンから送られた指輪を嵌め、私は体を奪われたのだ。
リオロ様が、私の手を握った。久しぶりのその感触に、思わず声が出そうになったが、何とか抑え込んだ。
ゆっくりと、指輪が……。
「わっ!」
指輪が綺麗に嵌まった瞬間、まばゆい光が放たれた。
これは一体……。
……あれ?
さっきまで感じていた、魔女の呪いが、なくなっている?
私は……。自分がナンナであることを、示すことができる?
「驚いた……。申し訳ございませんレーン様。祈りが強すぎたようです」
「……リオロ様」
「はい?」
「……私は、ナンナです」
「……え?」
……言えた!
指輪のおかげで、魔女の呪いが解けたのだ!
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