なんでも私のせいにする姉に婚約者を奪われました。分かり合えることはなさそうなので、姉妹の関係を終わらせようと思います。

冬吹せいら

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暴れる一人ぼっちの姉

「アンジェリカ。よく来てくれたわね」

 ミゼスは自分の部屋に、男爵令嬢のアンジェリカを呼び出していた。
 普段からミゼスには都合の良いように扱われている、可哀そうな令嬢である。

「今日は……。どういったご用件で?」
「簡単に言うとね。お金を貸してほしいの」
「……は?」

 アンジェリカは耳を疑った。
 北の国の令息からの送金が止まって、ミゼスは困窮していたのだ。

「大した額じゃないの。明日のお茶会に使うだけだから」
「……家に出してもらえば良いのでは?」
「色々事情があるのよ」

 普段から、お茶会のメンバーを集めるための準備などは、アンジェリカがミゼスから金を受け取って行っている。
 当然、その日働く人間や、紅茶、あるいは菓子類なども、全てその金を使って用意するのだ。

「私にそのような額を用意する力はありません……」
「あらそう……。残念ね。じゃああなたは不参加ということで」
「……はい」

 アンジェリカが戸惑うことを期待していたミゼスは、拍子抜けした。

「ちょっと待ちなさい。どうしてそんなにあっさりしているのよ」
「お金はありませんから。仕方ありません」
「頭を下げなさいな。そしたら何も仲間外れになんて――」
「失礼します」

 アンジェリカは足早に去って行った。

「この貧乏人が……」

 ミゼスは舌打ちをし、メイドを呼びよせた。

「いかがなさいましたか?」
「明日のお茶会。参加するメンバーには、ある程度の金額を用意するように言ってちょうだい」
「……誠ですか?」
「あなたまで、そういう反応をするのね。良いから黙ってやりなさい」
「……かしこまりました」

 メイドとなると、逆らうことはできない。
 ミゼスは満足したように、鼻歌を歌いながらベッドで横になった。

 ◇

「……」
 
 翌日。
 お茶会をするために抑えた会場には、誰も来なかった。
 なけなしの貯金を使い、何とかそろえた菓子が、どれも寂しくテーブルにポツンと置かれている。

「なんでよ……」

 ミゼスは悔しそうに、一人で菓子を食べながら貧乏ゆすりをしている。

「ねぇ。どうして誰も来ないの?」
「……お言葉ですが」

 メイドは……。叱られることを承知で、真実を告げた。

「これまでお嬢様が全ての費用を払っていた故、お茶会に参加する人がいたのだと思います」
「……は?」

 信じられない。
 そんな表情で、メイドを睨みつけた。

「つまりなに。みんな私のことなんてどうでもよくて、タダでお菓子や紅茶を楽しむためだけに、お茶会に参加していたって言うの?」
「……」
「呆れるわ。それでも貴族?」

 ミゼスの友人は……。
 そのほとんどが、金で集めた人間である。
 誰一人として、ミゼス自身を好いている者はいない。

「ムカつくわね……。ちょっとあなた。奴隷を三人くらい連れてきなさい。それでお菓子に下剤を混ぜましょう。そうしたら一斉に腹を下して……。ふっふっふ」
「そういうことを平気で企んでしまうから……。本当の友人ができないのでは?」
「……はぁ?」

 ミゼスは立ち上がり、メイドの腹を思いっきり殴った。
 悶えながら、メイドが床に倒れ込む。

「随分と生意気な口を聞くわね!」

 その後も散々、メイドを踏みつけたり、殴りつけたりした結果、執事に止められた。
 最後には、会場中の食器を割り、退場したという……。
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