11 / 13
自業自得
しおりを挟む
ミゼスが慌てて振り返ったのと同時に、ドアが開いた。
「ぐおぉおっ……」
男が呻き声を上げながら、入り口で倒れている。
どうやら何者かによって、思いっきりドアに体を打ち付けられたらしい。
その衝撃で、ドアが開いたのだ。
「……こんなことしたくないのに」
呟いたのは……。
伯爵家令息、ギャレン・タイラント。
首をぐるりと回して、木刀を握り直した。
「てめぇ!」
倉庫内にいた男たちが、次々とギャレンに殴りかかる。
「そんな短いナイフで戦うんですか……」
呆れながら、襲い掛かってくる男たちを木刀で倒していく。
あっという間に、その場にいた闇組織の男たちは全滅してしまった。
「ふぅ……」
一仕事終えたギャレンは、ミゼスたちの方へと近づいていく。
「リズ様……。すいません遅くなって。タイミングがわからなかったんです」
「ギャレン。もう少しで、私の白い頬に赤い傷ができるところだったわよ」
「申し訳ございません」
ミゼスが、状況を飲み込むことができずに、口をあわあわとさせている。
そんなミゼスの方を振り向いたギャレンは……。
木刀を構え直した。
「僕の婚約者に……。ちょっかいをかけないでもらえませんか?」
「……何が婚約者よ!」
ミゼスは震える声で、ギャレンを威嚇した。
「私と浮気したくせに!」
「確かに僕は浮気しました。反省しても償える罪ではないです。……でも、だからと言って、婚約者を助けてはいけない理由にはならないはずです」
「よく言えましたね。ギャレン」
ギャレンはリズを拘束している縄を解いた。
「随分と派手にやってくれたな」
低い声が、倉庫の中に響いた。
入り口に、闇組織のボスが立っている。
ギャレンが木刀を構えたが、リズが手で制した。
「随分ご丁寧な挨拶でしたね」
リズが言うと、ボスは大声で笑った。
「いやぁすまんね、血の気の多い奴なんだ。……そこのご令嬢も含めて」
「ちょっとあんた! なんとかしなさいよ! どうしてあんなひょろひょろの男一人にボコボコにされてるのよ! 何が闇組織なの!? 早く仲間を連れてきて!」
「あ~。まぁその、なんだ。あんまり騒がないでもらってもいいか?」
「え?」
ボスが、ゆっくりとミゼスに近づいていく。
そして……。首元を掴んだ。
「がっ……!」
呼吸がし辛くなり、ミゼスは目を見開く。
「悪いなご令嬢。あんたの真っ黒な姉さん、もらっていくよ」
「想定外ですが……。それがけじめだと言うのなら、私は止めません」
「たっ……すっ……」
ミゼスは涙を流しながら、リズを見ている。
リズはただ、笑みを浮かべるだけだった。
「ぐおぉおっ……」
男が呻き声を上げながら、入り口で倒れている。
どうやら何者かによって、思いっきりドアに体を打ち付けられたらしい。
その衝撃で、ドアが開いたのだ。
「……こんなことしたくないのに」
呟いたのは……。
伯爵家令息、ギャレン・タイラント。
首をぐるりと回して、木刀を握り直した。
「てめぇ!」
倉庫内にいた男たちが、次々とギャレンに殴りかかる。
「そんな短いナイフで戦うんですか……」
呆れながら、襲い掛かってくる男たちを木刀で倒していく。
あっという間に、その場にいた闇組織の男たちは全滅してしまった。
「ふぅ……」
一仕事終えたギャレンは、ミゼスたちの方へと近づいていく。
「リズ様……。すいません遅くなって。タイミングがわからなかったんです」
「ギャレン。もう少しで、私の白い頬に赤い傷ができるところだったわよ」
「申し訳ございません」
ミゼスが、状況を飲み込むことができずに、口をあわあわとさせている。
そんなミゼスの方を振り向いたギャレンは……。
木刀を構え直した。
「僕の婚約者に……。ちょっかいをかけないでもらえませんか?」
「……何が婚約者よ!」
ミゼスは震える声で、ギャレンを威嚇した。
「私と浮気したくせに!」
「確かに僕は浮気しました。反省しても償える罪ではないです。……でも、だからと言って、婚約者を助けてはいけない理由にはならないはずです」
「よく言えましたね。ギャレン」
ギャレンはリズを拘束している縄を解いた。
「随分と派手にやってくれたな」
低い声が、倉庫の中に響いた。
入り口に、闇組織のボスが立っている。
ギャレンが木刀を構えたが、リズが手で制した。
「随分ご丁寧な挨拶でしたね」
リズが言うと、ボスは大声で笑った。
「いやぁすまんね、血の気の多い奴なんだ。……そこのご令嬢も含めて」
「ちょっとあんた! なんとかしなさいよ! どうしてあんなひょろひょろの男一人にボコボコにされてるのよ! 何が闇組織なの!? 早く仲間を連れてきて!」
「あ~。まぁその、なんだ。あんまり騒がないでもらってもいいか?」
「え?」
ボスが、ゆっくりとミゼスに近づいていく。
そして……。首元を掴んだ。
「がっ……!」
呼吸がし辛くなり、ミゼスは目を見開く。
「悪いなご令嬢。あんたの真っ黒な姉さん、もらっていくよ」
「想定外ですが……。それがけじめだと言うのなら、私は止めません」
「たっ……すっ……」
ミゼスは涙を流しながら、リズを見ている。
リズはただ、笑みを浮かべるだけだった。
124
あなたにおすすめの小説
妹に婚約者を奪われたけど、婚約者の兄に拾われて幸せになる
ワールド
恋愛
妹のリリアナは私より可愛い。それに才色兼備で姉である私は公爵家の中で落ちこぼれだった。
でも、愛する婚約者マルナールがいるからリリアナや家族からの視線に耐えられた。
しかし、ある日リリアナに婚約者を奪われてしまう。
「すまん、別れてくれ」
「私の方が好きなんですって? お姉さま」
「お前はもういらない」
様々な人からの裏切りと告白で私は公爵家を追放された。
それは終わりであり始まりだった。
路頭に迷っていると、とても爽やかな顔立ちをした公爵に。
「なんだ? この可愛い……女性は?」
私は拾われた。そして、ここから逆襲が始まった。
幼馴染の生徒会長にポンコツ扱いされてフラれたので生徒会活動を手伝うのをやめたら全てがうまくいかなくなり幼馴染も病んだ
猫カレーฅ^•ω•^ฅ
恋愛
ずっと付き合っていると思っていた、幼馴染にある日別れを告げられた。
そこで気づいた主人公の幼馴染への依存ぶり。
たった一つボタンを掛け違えてしまったために、
最終的に学校を巻き込む大事件に発展していく。
主人公は幼馴染を取り戻すことが出来るのか!?
姉の厄介さは叔母譲りでしたが、嘘のようにあっさりと私の人生からいなくなりました
珠宮さくら
恋愛
イヴォンヌ・ロカンクールは、自分宛てに届いたものを勝手に開けてしまう姉に悩まされていた。
それも、イヴォンヌの婚約者からの贈り物で、それを阻止しようとする使用人たちが悪戦苦闘しているのを心配して、諦めるしかなくなっていた。
それが日常となってしまい、イヴォンヌの心が疲弊していく一方となっていたところで、そこから目まぐるしく変化していくとは思いもしなかった。
短編 一人目の婚約者を姉に、二人目の婚約者を妹に取られたので、猫と余生を過ごすことに決めました
朝陽千早
恋愛
二度の婚約破棄を経験し、すべてに疲れ果てた貴族令嬢ミゼリアは、山奥の屋敷に一人籠もることを決める。唯一の話し相手は、偶然出会った傷ついた猫・シエラル。静かな日々の中で、ミゼリアの凍った心は少しずつほぐれていった。
ある日、負傷した青年・セスを屋敷に迎え入れたことから、彼女の生活は少しずつ変化していく。過去に傷ついた二人と一匹の、不器用で温かな共同生活。しかし、セスはある日、何も告げず姿を消す──
「また、大切な人に置いていかれた」
残された手紙と金貨。揺れる感情と決意の中、ミゼリアはもう一度、失ったものを取り戻すため立ち上がる。
これは、孤独と再生、そして静かな愛を描いた物語。
「優秀な妹の相手は疲れるので平凡な姉で妥協したい」なんて言われて、受け入れると思っているんですか?
木山楽斗
恋愛
子爵令嬢であるラルーナは、平凡な令嬢であった。
ただ彼女には一つだけ普通ではない点がある。それは優秀な妹の存在だ。
魔法学園においても入学以来首位を独占している妹は、多くの貴族令息から注目されており、学園内で何度も求婚されていた。
そんな妹が求婚を受け入れたという噂を聞いて、ラルーナは驚いた。
ずっと求婚され続けても断っていた妹を射止めたのか誰なのか、彼女は気になった。そこでラルーナは、自分にも無関係ではないため、その婚約者の元を訪ねてみることにした。
妹の婚約者だと噂される人物と顔を合わせたラルーナは、ひどく不快な気持ちになった。
侯爵家の令息であるその男は、嫌味な人であったからだ。そんな人を婚約者に選ぶなんて信じられない。ラルーナはそう思っていた。
しかし彼女は、すぐに知ることとなった。自分の周りで、不可解なことが起きているということを。
【完結】妹のせいで貧乏くじを引いてますが、幸せになります
禅
恋愛
妹が関わるとロクなことがないアリーシャ。そのため、学校生活も後ろ指をさされる生活。
せめて普通に許嫁と結婚を……と思っていたら、父の失態で祖父より年上の男爵と結婚させられることに。そして、許嫁はふわカワな妹を選ぶ始末。
普通に幸せになりたかっただけなのに、どうしてこんなことに……
唯一の味方は学友のシーナのみ。
アリーシャは幸せをつかめるのか。
※小説家になろうにも投稿中
姉に婚約破棄されるのは時間の問題のように言われ、私は大好きな婚約者と幼なじみの応援をしようとしたのですが、覚悟しきれませんでした
珠宮さくら
恋愛
リュシエンヌ・サヴィニーは、伯爵家に生まれ、幼い頃から愛らしい少女だった。男の子の初恋を軒並み奪うような罪作りな一面もあったが、本人にその自覚は全くなかった。
それを目撃してばかりいたのは、リュシエンヌの幼なじみだったが、彼女とは親友だとリュシエンヌは思っていた。
そんな彼女を疎ましく思って嫌っていたのが、リュシエンヌの姉だったが、妹は姉を嫌うことはなかったのだが……。
犠牲になるのは、妹である私
木山楽斗
恋愛
男爵家の令嬢であるソフィーナは、父親から冷遇されていた。彼女は溺愛されている双子の姉の陰とみなされており、個人として認められていなかったのだ。
ソフィーナはある時、姉に代わって悪名高きボルガン公爵の元に嫁ぐことになった。
好色家として有名な彼は、離婚を繰り返しており隠し子もいる。そんな彼の元に嫁げば幸せなどないとわかっていつつも、彼女は家のために犠牲になると決めたのだった。
婚約者となってボルガン公爵家の屋敷に赴いたソフィーナだったが、彼女はそこでとある騒ぎに巻き込まれることになった。
ボルガン公爵の子供達は、彼の横暴な振る舞いに耐えかねて、公爵家の改革に取り掛かっていたのである。
結果として、ボルガン公爵はその力を失った。ソフィーナは彼に弄ばれることなく、彼の子供達と良好な関係を築くことに成功したのである。
さらにソフィーナの実家でも、同じように改革が起こっていた。彼女を冷遇する父親が、その力を失っていたのである。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる