なんでも私のせいにする姉に婚約者を奪われました。分かり合えることはなさそうなので、姉妹の関係を終わらせようと思います。

冬吹せいら

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許された婚約者

「浮気は到底許すことのできない悪行です」

 ミゼスの消息が不明になってから、しばらく経ったある日のこと。
 リズはギャレンを部屋に呼び出していた。

「……申し訳ございません」

 ギャレンはただ、謝ることしかできない。
 リズはため息をついた。

「しかし、私に落ち度が無かったとは言い切れません」
「……え?」
「たかが政略結婚……。そう思って、あなたを一人の男性として見ることは、ほとんどなかったから」
「リズ様……」

 リズが、ゆっくりとギャレンを抱きしめた。
 突然の出来事に、ギャレンは戸惑い、あたふたとしている。
 これまで、手に触れることすらなかったのに……。

「抱きしめ返しなさい。ミゼスにはそうしたでしょう?」

 それを言われると、何も言うことができない。
 ギャレンは大人しく、リズを抱きしめ返した。

「騎士訓練学校で、優秀な成績を収めた令息……。その動き、見事でした。あの姿を見れば、ほとんどの女性は恋に堕ちるのではないでしょうか」
「もったいないお言葉です……」
「実際、私もそうですよ」
「え?」
「冗談です」

 リズは笑ったが、ギャレンは苦笑することしかできなかった。

 体を離したところで、今度は腕に抱き着いた。
 そして……。ギャレンの顔を見上げている。

「まるで人が変わったようだと思いますか?」
「そんなことは……」
「私だって、年ごろの女性です。恋愛に興味が無いわけではありません。あなたがただ、ナヨナヨしていて気に食わなかっただけです」

 またしても、苦笑するのみ。

「どうして普段から、戦う時のような、悠然とした態度を取らないのですか?」
「……剣を握ると、自分の中で何かが切り替わるというか」
「でしたら、常日頃から剣を持っていてください」
「……冗談ですよね?」
「半分冗談です」
「は、半分……?」

 戸惑うギャレンの頬に、リズがキスをした。
 
「リ、リズ様……」
「驚きましたか? このくらいのことはできます。あなたが浮気をしたくなるほど、感情に乏しい冷徹な令嬢だったとしてもね」

 どう返答して良いか困っていたところ、再びキスをされた。
 今度は頬にでは無く、唇に……。
 冷え切った性格とは、真逆の温かさを持った、柔らかい唇。
 ギャレンの頭が、ピリリと痺れるような感覚に襲われた。

「おそらくですが、私たちはやり直すことができます。邪魔者もいなくなったので」
「……頑張ります」
「ふふっ。期待していますよ。ギャレン」

 リズはギャレンの腕を、より強く抱きしめ直して、頭を預けた。
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