悪役令嬢に難癖をつけられ、飼い犬と共に国外追放されましたが、私は聖女、飼い犬は聖獣になりました。

冬吹せいら

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聖女と聖獣

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『望むのであれば、聖女の称号を授けよう』

一体この声はどこから……。

『聞こえぬのか』
「い、いや、聞こえてますけど……」
『ならば答えよ。汝、聖女の力を持つ者なり。称号が欲しくば、授けよう。いかがする』

……聖女って、あの聖女?

絵本でしか見たことがない。祈るだけで、国を豊かにし、民の傷を癒し、闇を消し去るという……。

「その、どうして私が?そもそもここは一体」
『ここは我ら、神の神殿だ。汝ら人間には、目視することはできん。白い光にしか見えぬだろう』

神の神殿……。これは、夢だろうか。

『汝は、聖女の力……。心を持つ。あの英雄の魂が、それを我に証明した』
「あのブローチが、ですか?」
『左様。人間には認知できぬであろうが、あれには英雄の魂が、そのまま宿っておった。やかましく騒ぎ立て、ついに聖女がこの地に降り立ったと、我にそう告げたのだ』

じゃあ、これがなかったら私は……。

『して、いかがする。聖女になれば、普通の人生を送ることはできぬ。最後まで人に尽くし、人に愛されるであろうが、苦労も絶えぬだろう。断れば、この記憶は消してやる。ただの農民として、平凡な人生を送ることもできる。選べ。全ては汝によって決まるであろう』

……信じられない話だ。
でも、聖女になってしまったら、神様の言う通り、今までの人生には無かった、責任が生じることになる。

……私は。

『それから、汝が大切に思っておる犬。ランバーと申したか。そやつは、聖獣となる』
「聖獣?」
『聖女を守る獣だ。今、ここへ呼ぼう』

神様がそう言うと、光の中から……。大きな獣が現れた。
絵本で、聖女の横に寄り添う獣がいたことを思い出す。真っ白で、大きな獣……。凛とした、鋭い目を、私に向けると、ゆっくり近寄ってきた。

「……シーナ」
「えっ、ら、ランバー。喋れるの?」
「そうだ。聖獣となれば、今までと違い、シーナに感謝の気持ちを述べることができる。親愛なるシーナ。どうか私に、君を守る力を……」
「ランバー……」

私は、大きくなったランバーに抱き着いた。もふもふとしていて、とても暖かい……。

『……決めたか』
「……はい。私、聖女になります」
『それがよかろう。では、元の世界に戻れ』

一瞬で、目の前の光が消え、さっきまでいた森に、景色が戻った。

「お、おおいシーナ!びっくりしたぞ、急に光のなかぁあああええ!?」

サマさんが、私の後ろにいる聖獣……。ランバーに、驚いて腰を抜かしてしまった。

「なななっ、なんだよそれ!」
「私はランバーだ」
「ら、ランバー!?あの犬っころ!?」
「そうだ」
「……どういうことだよ。シーナ」
「えっと……。村に戻って、説明します」

ランバーの上に、サマさんを乗せ、村に向けて出発した。
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