悪役令嬢に難癖をつけられ、飼い犬と共に国外追放されましたが、私は聖女、飼い犬は聖獣になりました。

冬吹せいら

文字の大きさ
7 / 14

聖女の力

しおりを挟む
「そ、そのようなことが……」

ボーウェルさんと、サマさんに、さっきあったことを説明した。二人とも、信じられないといった様子だったが、聖獣となったランバーがいる以上、受け入れる他なかった。

「とすると、短い付き合いではあったが……。シーナは、大国に?」
「いえ。しばらくは、ここでお世話になりたいと思っています。自分に何ができるのか、何をするべきなのか……。知っておきたいので」
「そうか……。君がそう言ってくれるのであれば、俺たちはいつまでも受け入れ続けるよ」
「いやぁ~もふもふだぞこいつ!今日は一緒に寝ような~!」
「……」

ランバーが、うんざりした表情をしている。思わず笑ってしまった。

「しかし、聖女となると、何をするんだろうな……。絵本で読んだ話では、龍の怒りを鎮めていたが」
「龍なんていないもんな~」
「そうですね……」
「この村は……。幸い、貧しい人もいないし……。力を試す場所が無いのが、申し訳」
「ボーウェル!!!!!」

いきなりドアが開き、村人が入って来た。険しい表情で、息を切らしている。

「どうした。何があった」
「アンダース家の娘のロールが、階段から落ちて、意識が無いんだ!」
「な、なんだって!?」

ボーウェルさんと一緒に、私はアンダース家に向かった。

「酷い……。頭をぶつけたのか」
「そうなんです……。私が目を離したばっかりに」

母親が涙を流しながら、ロールを抱きかかえている。頭から噴き出した血の量が凄まじい。これはもう……。

「シーナ……」

ボーウェルさんが、私に視線を送った。

……そうか!聖女の力があれば!

「……失礼します」

私は、ロールの頭に、手をかざした。

そして、祈りを捧げる。

どうかこの子の傷が、癒えますように……。

『素晴らしい』

えっ……?

神の声が、聞こえた気がした。

「……あれぇ?」

そして、ロールがゆっくりと、体を起こした。

「みんな、どうしたの?」
「ロール……。あぁ!ロール!」
「ええぇ?」

ロールは、何が起きているのか、わからないと言った様子だった。母親に抱きしめられ、キョトンとしている。

「……すごいな。本物だ」

ボーウェルが、優しく微笑んだ。

……私、本当に聖女に?

「みんなを集会場に集めてくれ!パーティだ!」
「はい!」

私はどうしたらいいのかわからなくて、ただロールに視線を送っていた。

ロールがそれに気が付いて、笑ってくれた。

この力があれば、たくさんの人を……。子供たちを、救えるかもしれない。

聖女になることを選んだのは、間違いじゃなかったみたいだ。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

国王ごときが聖女に逆らうとは何様だ?

naturalsoft
恋愛
バーン王国は代々聖女の張る結界に守られて繁栄していた。しかし、当代の国王は聖女に支払う多額の報酬を減らせないかと、画策したことで国を滅亡へと招いてしまうのだった。 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆ ゆるふわ設定です。 連載の息抜きに書いたので、余り深く考えずにお読み下さい。

私を断罪するのが神のお告げですって?なら、本人を呼んでみましょうか

あーもんど
恋愛
聖女のオリアナが神に祈りを捧げている最中、ある女性が現れ、こう言う。 「貴方には、これから裁きを受けてもらうわ!」 突然の宣言に驚きつつも、オリアナはワケを聞く。 すると、出てくるのはただの言い掛かりに過ぎない言い分ばかり。 オリアナは何とか理解してもらおうとするものの、相手は聞く耳持たずで……? 最終的には「神のお告げよ!」とまで言われ、さすがのオリアナも反抗を決意! 「私を断罪するのが神のお告げですって?なら、本人を呼んでみましょうか」 さて、聖女オリアナを怒らせた彼らの末路は? ◆小説家になろう様でも掲載中◆ →短編形式で投稿したため、こちらなら一気に最後まで読めます

追放された聖女ですが辺境領主と幸せになります。禁術で自滅した偽聖女と王太子の完治?無理ですね。

ささい
恋愛
十年間、奇跡を起こせなかった聖女エミリシアは、王太子に追放された。 辺境の村ミューレンベルクで静かに暮らし始めた彼女は、領主レオフィリスの優しさに触れ、心の平穏を取り戻していく。 ある日、村で疫病が発生。子供たちの命を救いたい一心で祈った時、ついに聖女の力が目覚めた。 その後、王都から助けを求める使者が現れる。 追放した王太子とその婚約者候補リディエッタが、禁術の反動で倒れたという。 エミリシアは命を救うため王都へ向かうが、二人の完治は不可能だった。 全てを終え、彼女はレオフィリスと共に愛する村へ帰る。 ◇ 命を見捨てなかった。浄化はした。治癒は。 ◇ ※他サイトにも投稿しております。

悪『役』令嬢ってなんですの?私は悪『の』令嬢ですわ。悪役の役者と一緒にしないで………ね?

naturalsoft
恋愛
「悪役令嬢である貴様との婚約を破棄させてもらう!」 目の前には私の婚約者だった者が叫んでいる。私は深いため息を付いて、手に持った扇を上げた。 すると、周囲にいた近衛兵達が婚約者殿を組み従えた。 「貴様ら!何をする!?」 地面に押さえ付けられている婚約者殿に言ってやりました。 「貴方に本物の悪の令嬢というものを見せてあげますわ♪」 それはとても素晴らしい笑顔で言ってやりましたとも。

【完結】婚約破棄、その後の話を誰も知らない

あめとおと
恋愛
奇跡によって病を癒す存在――聖女。 王国は長年、その力にすべてを委ねてきた。 だがある日、 誰の目にも明らかな「失敗」が起きる。 奇跡は、止まった。 城は動揺し、事実を隠し、 責任を聖女ひとりに押しつけようとする。 民は疑い、祈りは静かに現実へと向かっていった。 一方、かつて「悪役」として追放された令嬢は、 奇跡が失われる“その日”に備え、 治癒に頼らない世界を着々と整えていた。 聖女は象徴となり、城は主導権を失う。 奇跡に縋った者たちは、 何も奪われず、ただ立場を失った。 選ばれなかった者が、世界を救っただけの話。 ――これは、 聖女でも、英雄でもない 「悪役令嬢」が勝ち残る物語。

新しい聖女が優秀なら、いらない聖女の私は消えて竜人と暮らします

天宮有
恋愛
ラクード国の聖女シンシアは、新しい聖女が優秀だからという理由でリアス王子から婚約破棄を言い渡されてしまう。 ラクード国はシンシアに利用価値があると言い、今後は地下室で暮らすよう命令する。 提案を拒むと捕らえようとしてきて、シンシアの前に竜人ヨハンが現れる。 王家の行動に激怒したヨハンは、シンシアと一緒に他国で暮らすと宣言した。 優秀な聖女はシンシアの方で、リアス王子が愛している人を新しい聖女にした。 シンシアは地下で働かせるつもりだった王家は、真実を知る竜人を止めることができない。 聖女と竜が消えてから数日が経ち、リアス王子は後悔していた。

最優秀な双子の妹に婚約者を奪われました。

克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」に同時投稿しています。 第2章、後日談と悪女の陰謀反撃を書くことにしました。

(完)聖女様は頑張らない

青空一夏
ファンタジー
私は大聖女様だった。歴史上最強の聖女だった私はそのあまりに強すぎる力から、悪魔? 魔女?と疑われ追放された。 それも命を救ってやったカール王太子の命令により追放されたのだ。あの恩知らずめ! 侯爵令嬢の色香に負けやがって。本物の聖女より偽物美女の侯爵令嬢を選びやがった。 私は逃亡中に足をすべらせ死んだ? と思ったら聖女認定の最初の日に巻き戻っていた!! もう全力でこの国の為になんか働くもんか! 異世界ゆるふわ設定ご都合主義ファンタジー。よくあるパターンの聖女もの。ラブコメ要素ありです。楽しく笑えるお話です。(多分😅)

処理中です...