一人の子供が聖女になり、聖女を引退するまでの物語。

冬吹せいら

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悪夢

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「お母さん、これは何?」

……あぁ。また同じ夢だ。

「それはね? 私たちの一族に伝わる、聖女様のピアスなの」
「わぁ……。可愛い。付けてもいい?」
「ダメよロベリア。それはね? 十二歳の誕生日に、付けるっていう決まりなの」
「十二歳の誕生日って……。今年だ!」

笑顔ではしゃぐ私。
それを見て、母も優しく微笑んでいる。

誕生日を三日前に控えたあの日、私はとてもワクワクしていた。
月を模ったピアス……。とてもおしゃれ。
これを付ければ、少しは大人っぽく見えるだろうか。

なんてことを、考えながら。


場面は切り替わり、目の前が真っ赤になった。

逃げまどう村人の声。
子供の泣き声。

家が燃えている。
家だけじゃない。村全体が……、火の海だ。

兵に手足を縛られた私と母。
私たちの目の前には、父の死体が横たわっている。

体中を銃で打ち抜かれ、真っ赤になっている父。
私の心は、真っ黒になった。

「ジャネブ・ハニーゴ。そしてその娘、ロベリア・ハニーゴで間違いないな?」

兵の問いかけに、私たちは、怯えながら頷いた。

「この家のどこかに、聖女のピアスがあると聞いた。どこだ?」
「……案内します。ですから、どうか娘の命は」
「わかってる。さっさと案内しろ」
「あの、足が」
「芋虫のように、這いつくばって移動しろ。できるだろう?」
「……はい」

母は私に、微笑みかけてくれた。
そして、体全体を使い、なんとか移動を始めたのだ。



また景色が切り替わる。

「お母さん! 嫌だ!」
「うるさいっ! 騒ぐな!」
「がっ!!」

母と違う馬車に乗せられた私。
必死で抵抗したが、顔面を殴られては、どうしようもない。

その衝撃で、意識を失った。

しばらくしてから、目を覚ますと……。
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