あと一週間で、聖女の夫になることができたのに……。残念でしたね。

冬吹せいら

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裏切り

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「皆さま……。本日は、パーティにお集まりいただきまして、本当にありがとうございます」

会場全体から、惜しげもなく拍手が送られた。
それを受けて、リアムが小さくお辞儀をする。

「このような、素晴らしきパーティを開いていただいたことは……。とても光栄です」

今日は、オーデンバム学園の卒業式。

その後、首席で卒業した、伯爵家の令嬢、リアム・ベルリンドを祝うパーティが行われていた。

リアムは卒業後、大国に移住し、エリート令嬢としての道を歩むことが決まっている。

移住した先で、王族と結婚するもよし。
はたまた、著名な学者や、剣士と結婚し、彼らを支え、歴史に名を残すも良し。

引く手数多。選び放題の人生。

――それなのに、リアムの表情は晴れなかった。

「う……。うぅ」

突然泣き出したリアム。
会場がざわつき始める。

しばらくして、檀上に……。
侯爵家の令息、トレバー・シルバードが、姿を現した。

「皆、静粛に」

その一声で、会場が静まり返った。

「リアムは……。首席であるがゆえに、たくさん妬まれ、恨まれてきた」

またしても、ざわつきが起こった。

「……信じたくはないが。その嫌がらせは、私にもっとも近しい人物によって、主に行われてきたらしい」

一斉に、視線が一か所に集まった。

トレバーの婚約者、ルイーザ・サンセット。

子爵家の令嬢である彼女は、学園で常にリアムと成績を争った、優秀な生徒である。

視線を向けられたルイーザは、何のことかわからず、困惑した。

「この学園の首席の座は……。主に、リアムとルイーザ。二人によって、争われてきた。……嫉妬する気持ちはわかるが、君が彼女にしてきた仕打ちは、到底許されるものではない」

トレバーの語気が強まるのに比例して、リアムも大げさに泣き始める。
そんなリアムの肩を、トレバーが優しく抱き寄せ……。

告げた。

「私……。トレバー・シルバードは、ルイーザ・サンセットとの婚約を破棄する!」

今日一番のざわつきが、会場全体から起こった。
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