あと一週間で、聖女の夫になることができたのに……。残念でしたね。

冬吹せいら

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見るも無残。
トレバー様は、手も足も出ず……。

ガナンドの圧勝だった。

「……これにて、終了とさせていただきます。リアム・ベルリンド、トレバー・シルバード……。両者の国外追放が、ただいま決まりました」

神父様が、言うと、トレバー様が床を強く叩いた。
そして、私を睨みつけた。

「ルイーザ!!!! 全部お前のせいだ! お前が聖女となることを、最初から話しておけば、このようなことにはならなかった!」

……一週間。
たったそれだけ、待てなかったせいで、トレバー様は、地獄に堕ちることになった。

待っていたところで、きっと彼の罪は暴かれ、同じように裁かれていたかもしれないけど。
……いいや、聖女となった私が、彼の心を救っていた可能性もあったのか。

考えたって、仕方のないことだ。
リアムという女に惚れ、気が移ってしまった。

そのリアムにすら、暴力を振るい……。
結果、国外追放。
なんて、しょうもない話なんだろう。

「お前が国を出て行け! 全部お前がダメにした! 僕も! リアムも! お前は人殺しだ! 絶対に許さない……! いつか復讐してやる! 待っていろ!」
「……もう、やめないか」

ガナンドが、トレバーの首を、トンっと叩いた。
すると、トレバーの体の力が抜け……。気絶してしまった。

「……リアムも、眠っているようです。今のうちに、連れて行ってあげてください」

ガナンドの指示で、兵たちが、二人を運び出した。

「……モーデン様。子供たちの国外追放は決まりましたが。両家の扱いは、いかがいたしましょう」
「何も言わずとも……。向こうから、出て行くのではないか。この国に、居場所はないだろう」
「左様ですな……」

神父様が、私の元へやってきて、手を握ってくれた。

「……よく、頑張ってくれた。これからも、同じように、人を裁くことがあるだろう。だが、鬼の心を忘れてはいけない……。君は優秀だ、次もきっと、上手くやれる。誇りに思って……。聖女としての務めを、果たしてくれ」
「……はい。ありがとうございます」
「では、私はこれで」

神父様が、お帰りになられた。

「……ルイーザ」

ガナンドの表情は、とても暗い。
きっと、私の心情を、察してくれているのだろう。

「大丈夫です……。聖女の務めですから。それで……。彼らは、森に捨てられるとのことでしたが……」
「……きっと、ゴブリンに捉えられ、酷い目に遭うだろうね」
「その……。自分で裁いておいて、こんなことを言うのは、間違いかもしれませんが、リアムだけは、更生の余地があるように思えるのです」
「……ルイーザ殿。罪を犯した者を、救う意味などありませんぞ」
「モーデン様……」

聖女として、務めを果たしたことは――。誇るべきはずなのに。
私の心は、沈んだままだった。

「……よく、頑張ったね」

ガナンドが、優しく抱きしめてくれた。
……今だけは、この優しさに、甘えよう。

私はしばらく、彼の胸に、顔を埋めたままでいた。
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