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第一幕:【魔盗団】殲滅作戦編
死闘 ①
しおりを挟む「よりにもよって【禁忌指定魔獣】のお出ましとはな。誰だよ、コイツの封印解いた馬鹿は」
シエンは拳銃を手にため息をつく。
「ちょっと先輩。何戦う気満々でいるんですか」
「はァ? 何ってこいつ倒さないと仕事やれねえだろ」
馬鹿な事を言うラフィーナに呆れた返事をしたシエンは、吹き飛んだ【グリフェンリード】の方角に向けて魔弾を放った。しかしその魔弾が【グリフェンリード】に届くことは無かった。何故なら、
「よいしょー」
カキーンっとラフィーナが銃剣をバットの様な感覚で振り抜いて魔弾を打ったからだ。暫しの静寂。それは一瞬。
「えーと…ラフィーナさん?君は何してるのかな?」
「何って、魔弾を打ち返しました」
「それは見ればわかるよ!? 聞きたいのはなんで打ち返したのかって事!」
「いや、先輩のカッコイイ姿なんて見たくないので。それに先輩に手柄横取りされるのも癪だったからです」
悪びれもなくそんな事を言うラフィーナ。こんな時まで平常運転な後輩に呆れると言うより尊敬してしまう。だが、そんな漫才をしている間に【グリフェンリード】は体勢を直してしまった。本来、上級を超える魔獣辺りからは核を砕くまでは攻撃の手を止めないのがセオリーだ。というのも、一瞬でも隙が生まれれば、即座にそこを突かれるからだ。上級越えの魔獣の一撃一撃は致命傷に陥る可能性もある為、一分一秒でも油断はできないのが当たり前。
「…はァ。アイツが体勢整え直したのはお前のせいだからな」
「黙ってください。というかむしろ呼吸せずに私の戦いでも見ててくださいよ、先輩」
「はいはい、じゃあお前に任せる。俺はあの子達でも介護してるわ」
相も変わらず無理難題を押し付けてくるお馬鹿な後輩に任せて、シエンは気を失っているカズト達の様子を見に向かった。それを確認したラフィーナは銃剣を剣形態に切り替えて【グリフェンリード】の動向を伺う。互いに互いの攻撃を警戒し合う。そして、最初に痺れを切らしたのは【グリフェンリード】だ。
『グオオオオオオオオオ!!』
丸太並みの腕によって握られた巨大な骨の両刃剣を以て上空へと打ち上げるように振るう。喰らえば一溜りもない一撃。防御するという考えを捨てるのが前提条件。こんな重撃を喰らえば人間の骨が耐えれるわけが無い。腕の骨が一瞬で砕けて得物を握れなくなり敗北だ。元々真正面から受け止めたり受け流したりするのが嫌いなラフィーナは自身に支援魔法【神速】をかけ、目にも止まらぬ早さでバックステップして打ち上げ攻撃を避ける。それにより獲物を失った両刃剣は空を切り、一瞬の隙が生まれる。そこを見逃さずにラフィーナが懐へと潜り込み、銃剣を振り抜く瞬間、【グリフェンリード】の巨体が青白いスパークを放ち始め、0.5秒経過した辺りで雷爆が起きた。それを至近距離で目にしたラフィーナは、
「--!?」
即座に反応して距離を取ろうとするが間に合わない。勢いを緩めずに懐に加速し銃剣を振り抜く動作をした時点で回避行動をとるのは不可能だ。しかし、それは1人だったらの話。
「--っう」
眩いほどの青白いスパークが消えた後、ラフィーナがいた場所にあったのは彼女の死体ではなく、黒い球体だった。その球体は生き物のように蠢き、突然、穴が空いて無傷のラフィーナが吐き出された。そして、黒い球体は役目を終えたのか、地面へと消えていった。
「助かりました、先輩」
ラフィーナはカズト達を治療しているシエンにそうお礼を言って、再度、銃剣を銃形態に切りかえた。というのも、近接では分が悪いからだ。【グリフェンリード】は近接パターンが【両刃剣による攻撃】と【雷爆】の二種。他にもあると想定した場合、近接戦で勝てる見込みは少ない。賭けのような戦いを好まないラフィーナは、相手の土俵に立って戦うようなことはしない。どんな時でも自分が有利な状況で一方的に圧勝するのが彼女のスタイルだ。それに彼女は近接よりも遠距離の方が大得意だったりする。
「早く仕事を終えたいので、さっさとくたばりやがれください」
ラフィーナはそう言って銃撃を開始する。放たれる弾丸の一発一発が【グリフェンリード】に触れては巨大な爆発を引き起こす。しかし、それをものともせずに【グリフェンリード】は右手を前にかざした。刹那--ラフィーナの真横を青白いレーザーが通り過ぎた。それは一本だけではない。次々と踊るように曲がりくねり縦横無尽に青白いレーザーが彼女を襲う。避けようにも法則性のないレーザーの通過点を予想するのは無理がある。徐々に頬を肩を脇腹をレーザーが掠めていく。触れる度に焼けるような痛みがラフィーナを虐げる。
「…イライラします。なんなんですか、このデタラメな射撃は!!」
普段キレることの無いラフィーナだが、唯一キレることがあるとすれば、デタラメな事に対してだ。どんなことでもデタラメだとイライラしてしまうのが彼女。今回の敵はあまりにも彼女と相性が悪い。
「あららー、相当激おこだなアイツ」
ガチギレ状態のラフィーナを久々に見たシエンは、おっかねえ、とカズト達を守るように張っていた防御壁の強度を上げる。なぜ強化したのかと言うと、今の状態のラフィーナが次に起こす行動は敵のデタラメさを更に超えるデタラメで乱暴で力技という普段の彼女にはあまりにも不釣り合いな行動に移すからだ。
「【千銃剣錬成】!!」
ラフィーナがそう叫んだ。すると、千本の銃剣が銃形態状態で彼女の背後に現れた。これが彼女の本領発揮だ。
「これが本当のデタラメな射撃です。身をもって学べ、魔獣」
毒舌を浴びせると共に、中指を立てた瞬間、千本の銃剣の銃口が火を吹いた。
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