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第一幕:【魔盗団】殲滅作戦編
ラフィーナの仕事 前編
しおりを挟む「ん・・・」
夕陽が窓から覗いている。薬品独特の匂いが充満する広い部屋。暖かな温もりに包まれている感覚に心地良さを感じつつラフィーナは自分が何処かの部屋のベッドで眠っていることに気づく。
「ここは・・・」
「やぁ、お目覚めかい。ここは医務室だよ、ラフィーナちゃん♪」
「…見たくもない奴の姿が見えるので、きっとまだ私は悪夢にうなされているようです」
疑問に答えた男性を見て、ラフィーナはまだ夢の中にいるんだ、と自己暗示をかける。しかし、悲しい事にこれは現実。嫌われている男性こと【シン・ストレリチア】はダボッとした白衣の袖を口元に当ててニヘラと笑う。ラフィーナがシエンの次に嫌いな人物。そんな彼は嫌われているのがわかっていながらも絡んでくるのでタチが悪い。
「とりあえず、体に痛みはない感じみたいだね。うんうん、まぁ、当然と言っちゃ当然なんだけど。なんせ僕は東西南北の全治療術士において天才と言われている治療術のスペシャリストだからね♪」
シンが自分で言うように、彼は【怠惰の天才】という異名で呼ばれている東西南北の都において誰もが知る超天才治療術士として有名だ。
「本来なら面倒臭いの一言で一蹴する所だったんだけど、シエン君の頼みなら仕方ないかなってね。てことで後であの子に治療費払うよう言っといてよ」
「私が嫌いな人の伝言を1番嫌いな人に伝えると思ってるなら頭イカれてますね。自分で伝えやがれください」
中指をシンに立てた後、ベッドから立ち上がる。
「あ、そうそう。君達が助けた駆け出し君達が『助けてくれてありがとうございました』だってさ」
「…そうですか。別に私と先輩は仕事の障害を排除しただけなので助けたつもりはありません。ただ、その感謝の言葉は仕方が無いので受け取っておきます」
感謝されて照れるわけでも喜ぶわけでもなく、ラフィーナは表情一つ変えずに医務室を出た。そして、どうせ報告に関してはシエンがしているだろう、と思ったラフィーナはイドルの部屋に行かずにいつも通りの仕事に戻る。と言っても、彼女の仕事は料理や酒を運んだりするウェイトレスではなく、ましてやクエストの受付嬢でもない。
「あの、すみません」
「はい、なんですか?」
ふと、冒険者の青年に声をかけられるラフィーナ。それに対し、シエンに見せるような無表情ではなく、ニコニコとした眩しく可愛らしい笑顔を浮かべた。
「えーと、他の職員さんに聞いたら、昇級試験担当がラフィーナさんと聞きまして…」
「えぇ、私が昇級試験担当のラフィーナです」
青年冒険者が発した【昇級試験】。それは各冒険者級が上の級に上がるために必要な試験のことだ。因みにギルド職員雇用条件は【S級冒険者及びギルド統括者に勧誘された者】となっている。要するにここ、冒険者ギルド【クレイセルド】の職員の大半がS級冒険者だ。因みにシンやユナ、シエンに関しては、イドルが勧誘した職員である。
「折り入ってお願いがあるのですが…昇級試験を受けたいんです。それで、今からでも大丈夫ですか?」
本来であれば受付時間は昼までとなっているのが決まりだったが、この時間まで意識を失っていた自分が悪い、と考えるラフィーナは今回ぐらいは良いだろう、と了承する。
「それではまず、冒険者カードの提示をお願いします」
「は、はい!」
青年冒険者は腰のポーチから【冒険者カード】を取りだし、ラフィーナに手渡す。そしてそのカードに記載された全ての情報を【全能ノ魔眼】を発動させ、不正するために使用した魔法等の痕跡がないかを隅々まで確認する。暫くして、一息ついたラフィーナは青年冒険者【アルメ・セネクトス】に冒険者カードを返す。
「アルメ・セネクトスさんは冒険者級Aなので、S級になる為の試験を受けていただきます。私についてきてください」
ラフィーナはアルメにそう言って、とある場所へと向かい始めた。
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