口撃のヤマト~異能を狩る天才~

最十 レイ

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第二章 宝探し

第109話 宝探し終了!

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 何から何まで先読みされた葦原は、静寂の訪れた森で声高らかに笑う。
 音声トラブルも後押ししてか、人目も憚らず、それはそれは盛大に……

 しばらくして気が済んだのか、葦原は大きな息を吐くと共に、言葉を紡ぎ始める。

「……いやぁ~、やられたよ。お前の手のひらの上で、いいように転がされちまったってわけか」
「ああ。オレもやられっぱなしは嫌なんでね。返すべきもんは返させてもらった」

 大和は言うや否や肩を揉みつつ首を回し、疲れ切った双眸で葦原の横をすり抜けていく。

 もう話は終わり。宝探しも、世界のあれこれも、何もかも……
 そんなお互いの背が離れゆく中、葦原は名残惜しむように最後……振り返らぬまま呟く。

「やっぱり俺たちは似た者同士……だよな?」

 微かに届いた問いに、大和はゆるりと歩を止める。
 が、こちらも振り返ることはなく、

「どうだかな。ま、いずれ分かるさ……必ず」

 再び歩き出すと『草創の森』を後にした。



 校庭――

 時刻は十二時二十分。
 私、牧瀬友愛……並びに全校生徒は閉会式の為と校庭へ足を運ぶ。

 ぞろぞろと集っていく生徒たちは、疲労と安堵の混じり合う面持ちで談笑している。
 それもそのはず……蓋を開けてみれば完全失格と呼べるのは、伍堂くんと樫江田先輩なる人だけだからだ。さすが名門校とだけあって優秀ということなのだろう。

「いやぁ~、まさか本当に優勝できるとはな!」
「ほんとほんと! 諦めずに動いといてよかったぁ~」
「こんなにマジになったの初めてだぜ!」
「結構、楽しかったよな!」

 そんな中でも我が二年B組は特段沸き立っていた。
 集っていく度、その輪はどんどん広がっていき、気付けば一つの大きな『絆』に……。この学園でこんな景色を見れる日が来るなんて、正直思わなかった……

「そういえば相沢と蛯原の姿が見当たらねえな?」
「あぁ……あいつら何かドでかい花火打ち上げたとかで、ボロボロのまま病院に搬送されたらしいぜ」
「何やってんだあいつら……。まあ、相沢ならやりかねないけど……」

 と、微かに届いた情報をさらっとスルーする私。どうも蛯原くんが関わると脳が自然にシャットアウトするようだ。仕方ない仕方ない……

「あ、牧瀬ちゃん。お疲れ様」

 だが、そんな閉じられた扉を軽やかに開けたのは、小さく手を振る橋本さん。
 彼女ならいつでも大歓迎。私は自然と頬を緩めつつ、お辞儀と共に橋本さんを迎えた。

「お疲れ様です、橋本さん。体調の方はもう?」
「うん。だいぶ休ませてもらったから今は大丈夫。それで……大和くんは?」

 辺りを見回す橋本さんの問いに答えたのは、先程からそわそわしっぱなしの藤宮さん。

「それがまだ戻ってきてないのよぉ~ぅ! 心配ねぇ……まさか迷子にでもなってるんじゃないかしら⁉」

 あれだけ縦横無尽に走り回っといて、さすがに迷子はないと思うけど……。藤宮さんは大和くんのこととなると少々自分を見失いがちだ。恋する乙女、恐るべし……!

「なんや? そないに心配せんでもワシならちゃーんとここにおるでぇ?」

 すると今度は煙草を咥える伍堂くんがゆるりと登場。火はつけてないからギリギリセーフ……なんてことはなく、普通にアウトである。

「アンタじゃないわよッ‼ アタシが探してるのは慧よ、慧ッ! どこにやったのよぉぉおおおぉお⁉」

 藤宮さんはまるで誘拐された我が子を返してもらわんと奮闘する、母の如き剣幕で伍堂くんの胸倉をぐわんぐわん揺すっている。こちらももうアウト寸前。

「ちょちょちょッ……落ち着かんかい、藤宮……! 兄弟ならすぐにィ……っ!」
「帰ってくる⁉」

 と、一旦揺する手を止める藤宮さん。

「と、思うんやけど……」

 だが、珍しく自信なさげな伍堂くんの返答に――

「アンタ兄弟分なら居場所くらい把握しときなさいよォッ‼ この不良もどきがぁぁあああああッッ‼」

 藤宮さんの揺する手が、より一層激しさを増す。

「痛い痛い痛いっ……! 無茶言うなや! ……ってか、誰が不良もどきやコラァッ! ワシぁ、どっからどう見ても立派な不良やろうが……⁉」
「不良なら咥えてる煙草に火ィくらいつけなさいよッ! 中途半端だわ!」
「いや、そこは普通止める所やろ⁉ なんや⁉ 会えない時間か……? 兄弟と会えない時間がお前をそうさせたんかぁ⁉」

 もはやいつものやり取り? ということにしてスルーする私と橋本さん。
 しかし、さすがに見るに堪えなかったのか、次いで現れた渡くんにより、その怒りは一旦の収束を見る。

「まあまあ、落ち着きたまえ。彼ならもうすぐ――」
「帰ってくるのね⁉」

 そう言いながら渡くんへと掴みかかろうとする藤宮さん。
 渡くんは少々頬を引き攣らせつつ、その両腕を掴み返し、何とか阻止する。

「だ、大丈夫……! ほら、噂をすれば……」

 渡くんの視線を追い、素直に左向け左する藤宮さん。
 するとその先から、微かに「どけどけどけ! 優勝者のお通りだ!」との声が届く。

 生徒たちが道を作るように避けていくと、奥からドヤ顔で先導する神田くん、そしてそれに続く大和くんが帰還を果たした。

「慧……」

 と、その表情を少女漫画の主人公のようにキラキラと輝かせる藤宮さん。

「おう、藤宮。どうかしたのか?」

 大和くんは優勝したというのに相変わらずの澄まし顔。
 幾分か疲労の色を感じさせたが、果たして藤宮さんの反応は……

「ふ、ふん……! 別に? 帰ってくるならさっさと帰ってきなさいよ……バカ」

 素直じゃないなぁ、もう……
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