口撃のヤマト~異能を狩る天才~

最十 レイ

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第二章 宝探し

第110話 閉会式

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 藤宮さんのツンデレっぷりが炸裂したのち、しばしして閉会式が執り行われる。
 校長先生からの有難いお言葉を頂戴するが、みんな疲れ切っている所為かほとんど話半分。校長先生もそれを察したのか、早々に話を切り上げ、優勝者の表彰へ。

「優勝者は二年B組総大将――大和慧くん!」

 校長先生から大和くんの名が挙がるなり、過去一の盛り上がりを見せる我らが二年B組。
 朝礼台に上がった大和くんは賞状を受け取ると、どこか微妙な面持ちで校長先生と握手を交わしていた。

 レクリエーション初の優勝者とあってか、頻りにカメラのフラッシュをたく先生方。
 しかし、こんな時でも大和くんは変わらず不愛想で、結局ただの一度も笑みを見せることなく、朝礼台から去ることとなった。

「以上を持ちましてレクリエーション『宝探し』を終了いたします。午後の授業はありませんので、今日は一日しっかりと身体を休めてですね、明日の授業にも臨んでいただければと思います。では本日はお疲れ様でした!」

 小田池先生の号令ののち、ぞろぞろと解散していく生徒たち。
 だが、我々二年B組だけは大和くんを囲み、勝利の余韻へと浸っていた。

「お前、少しくらい笑えよ大和! 優勝者なんだからさ~!」

 呆れつつも笑みを零す神田くんを皮切りに、

「おめでとう……大和くん!」

 画星くんも、

「フン! 少シクライハ認メテヤロウ!」

 若干ショート気味? の斎王くんですら大和くんを称えていた。
 そして祝福はそれだけに留まらず……

「本当に凄いよ、大和くん!」
「いやぁ~、優勝したって聞いた時はマジで痺れたぜ!」
「お前に付いて来て良かったわ!」

 他のクラスメイトも大和くんを受け入れ始めていた。

「いや、お前らが居なかったら恐らく優勝はできなかった……。恩に着る」

 そんな彼らに対し大和くんは、小さくだが頭を下げてみせる。
 もう特段珍しくもないその行動に、

「そりゃ、こっちのセリフだ」
「うんうん! そうだよ!」
「みんなで掴み取った優勝さ」

 皆は笑みで返しつつ、肩や背に手を添えていた。

「本当に良かった……」

 一つになったクラスを輪の外から見て、私は友達ができた息子に安堵する、母のように顔を綻ばせていた。
 それは私だけでなく、当初から一緒に居た橋本さんや藤宮さんもそう。渡くんも何処か感慨深げに彼を見ていた。

「ゔゔゔぅぅ~……ほんどによがっだわねぇ~……」

 そしてもう一人、この光景を見て泣いている方がいた。……っていうか、滝先生だった。

「あの……大丈夫ですか、滝先生?」

 私はハンカチを差し出そうとするも、今はスーツ姿ゆえ、結局手持ち無沙汰に。

「ゔん……大和ぐんが来たどぎはどうなるがど思っだげどぉ……。みんな仲良ぐなっでよがっだぁぁ~……!」

 と、珍しく感情を曝け出す滝先生。
 藤宮さんは「意外と感情豊かだったのね、滝ちゃん……」と、やれやれ感満載で笑っていた。

「わかるでぇ~、滝ちゃん……その気持ち! よっしゃ分かった! そういうことならいっちょ、打ち上げやったろうやないか!」

 そんな中、いつの間にか参戦する伍堂くん。
 我らが打ち上げ番長はうんうん頷くなり、天高く拳を掲げている。

「いや、脈絡なさすぎでしょ⁉ っていうか、そもそもアンタうちのクラスじゃないでしょうが。関係なくない?」

 となれば当然、藤宮さんから信頼と実績を兼ね備えたツッコミが飛ぶというもの。相変わらずの迎撃っぷりだ。

「関係なくないやろ⁉ ワシかて襲い来る樫江田の足止めをやなぁ――」
「樫江田くんは最初っから君目当てだったから、足止めとはちょっと違うと思うけどね」

 次いで伍堂くんの意見をバッサリ切り捨てたのは、ポケットに手を突っ込む渡くん。こちらも変わらずスマートである。

「そない言い方ないやろぉ……。お前かて滝ちゃんの奢りで打ち上げ行きたないんか?」
「滝先生の奢りで?」
「せや! 滝ちゃんの奢りで! のう、滝ちゃん?」

 それを受けた滝先生は肩をぐるんぐるん回すと――

「さーてと! 残った仕事……片付けますか!」

 クラウチングスタートからのダッシュで、校内へと走り去っていった。

「あ、逃げよった! ったく、ノリ悪いのう滝ちゃんは……」

 伍堂くん、さすがに四十人分の奢りは誰でも逃げ出すって……。食べ放題だったとしても6桁は優に超えそうだし……

「おい、伍堂。今、打ち上げとか何とかって聞こえたが?」

 と、問うたのは輪の中から出てきた大和くん。

「おう、兄弟。そのつもりやったんやが、滝ちゃんに逃げられてしもうてのう。どうしたもんかと……」

 伍堂くんは伍堂くんで気持ちよく返したかったのだろうが、その面持ちにはあからさまに陰りが見えている。が――

「え! 打ち上げ⁉」
「行きたい行きたい!」
「ここで帰る選択肢はないっしょ!」

 それに反して他のみんなは、顔を見合わせながら打ち上げムードに。

 確かにこの機を逃したくないのも事実。だが……

「でも、当日でこの大人数だぜ? 予約とかできんのかよ?」

 そう。結局この問題が立ち塞がる。神田くんが代弁してくれた。

 一転、みんなは腕を組み、『う~ん……』と頭を捻り始める。
 暫し続くと思われたこの沈黙。しかし、前回の打ち上げメンバーだけは違った。

 大和くんを筆頭に、私、藤宮さん、伍堂くんは、へと視線を注いでいたのだ。
 そうなると気付いた橋本さんもそれに続き、神田くんも我らの視線の先を追うと、皆も彼の方へ……

 彼は視線を彷徨わせると、仕方なしと大きな溜息を一つ。

「じゃあ、僕の行きつけの店……行く?」

 こうして我々はまた渡くんに連れられ、どことも知れぬ打ち上げ会場へ行くことになった。
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