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攻防九日目 午後
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ふむふむ。
医者と思われる方は、私の顔を見て少し考えたような素振りをし、そして言いました。
「少し二人にならんかね?」
この人は信頼できそうです。なんせ、あの変人さんたちが連れてきた人ですからね。私のことであれだけ大人気なく喧嘩をしますし、ヤンデレっとぽいし、親ばかっぽいし…
私なんだかんだあの人たちの事信用…いや、諦めてるんですね、きっと。もうどうしようもないほど私に執着していますから…
普通は貴族とスラムの子なんて一生会わないものなんですが…
それがたとえ実の娘であっても。
あぁ本当に、
しつこい!えぇ、知ってますよ。そんなこと。
うざいっ!それも知ってます。
自由に生きていられればそれでいいし、面倒ごとは嫌いなんです!
それなのに、なんで医者なんて連れてくるんでしょう?
病気になれば、お金の無駄、とか面倒だから、とかで諦めてもらえると思ったのに…!
ついでに変人さんたちの声も姿も聞こえないので一石二鳥だとも思ったのに…!
そういうふうに、最高の場合を100%として、1%の確率で、そうなるかもって思っていたのに!
どうして予想を裏切らないんですかっ!この変人さんたちは…!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「……わたしの愛娘を男と二人きりなんて、いくらお前でも…」
「珍しく同意見だね。私の運命の人と二人きりなんて許さないよ?」
はっ…日頃のストレスでつい思考が明後日に…
ですが、せっかく話がわかりそうで、ある程度の権力のある人と二人きりになれるんですから、なんとか許しを得なければ…!
ここは渾身のうるうるおねだりポーズ!
二人と目を合わせて…
「私ね、その人と二人きりになりたいの。いい?(うるうる)」
「ゔっ(天使…!)」
「やばい、抱きつきたい。」
「私の娘になんて無礼なっ!」
「なんのことかい?(笑)」
「さぁ?(怒)」
え~と…逆効果だったのでしょうか?余計に面倒くさくなりました。でも、この人達に私の渾身のうるうるおねだりポーズって効果抜群なんですよね。
もう一回やってみましょ☆
今度は二人の服の橋を掴んで、くいくいしながら…
「ねぇ、二人きり、だめ?(うるうる)」
「ゔっ」「可愛い……」
「お・ね・が・い♥(うるうる)」
「……いいぞ。」「少しだけなら、私もいい。」
ぃよっしゃあ!やりましたよー!私すごくないですか?スラムの人間という分際で、お貴族様に勝ちました!
………冷静に考えると…ろくにお風呂にも入ってなくて臭くて、仕事で泥まみれ、ボサボサの髪にボロボロの服…
これって立派な不敬罪じゃないですかっ!
どうしましょう?私まだ死にたくありませんよ?
そういえば変人さんたちが連れてきた従者らしき人たちに冷たい目で見られているような…
ど、どうしましょう。………もういいや☆
スラムの人間だからしょうがないっ!
うんうん、しょうがないっ!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「こんにちは。」
お医者さんとやっと二人きりになりました!
挨拶もしてもらいました。目上の人からやってもらうなんて、一生に一度あるかないか…
ってこれも立派な不敬罪ですよっ!
ああ……もう嫌…とりあえず、
「私のためにこのようなところまで起こしいただき、感謝の念がたえません。」
お医者さんは私のこの渾身の挨拶に少し驚いてますね。
まぁ、そうですよね。スラムの子供がこんな言葉を知っているなんてね。
母に教えてもらったんですよ!
「驚きました。ここまでしっかりした挨拶ができるとは…」
ん?今お医者さんなんか言いました?
「!こほん。それで、貴方はどうして仮病を?」
「ゔっ」
やはりバレますか。仮病だと。
「スラムの子供として育った身ですから、貴族様という高貴な人の煩いとならぬよう、早く離れられるようにです。」
「たとえそれが親子であっても、ですか?」
「当たり前じゃないですか。
スラムの住んでた妾との子を独断で引き取ったなんて話聞きませんし、正妻であっても聞いたことないです。
スラムで育ったらスラムの子、なんです。貴族様との身分差は測りしれません。正直言って、なにかに利用しようとしているか、奴隷不足とかの解消に売られるとか…そんなことしか思いつきません。」
それを聞いて、お医者さんは興味深そうに目を細めています。
「なるほど。でも玉の輿ですよ?」
「スラムの子は、今日生きるだけでもやったなんです。生きることに精一杯で、そんな夢を見る暇もないんです。」
「そうですか…わかりました。私からあなたにあのお二方のことを強要はしないようにしましょう。そして私は、もし貴方が貴族社会に入ったら、全力で助けることを約束します。」
「え、あ、はぁ。ありがとうございます?」
私が貴族社会に入るなんて…ないと思いますけどね☆
「今日はもう撤退するようにしますから、ゆっくり休んでくださいね。」
「わかりました。」
それは純粋に助かります!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
そして変人さん率いる集団は帰っていきました。
ものすごい一日でした。
「おやすみー☆」
くけー。私の意識は途切れました。
医者と思われる方は、私の顔を見て少し考えたような素振りをし、そして言いました。
「少し二人にならんかね?」
この人は信頼できそうです。なんせ、あの変人さんたちが連れてきた人ですからね。私のことであれだけ大人気なく喧嘩をしますし、ヤンデレっとぽいし、親ばかっぽいし…
私なんだかんだあの人たちの事信用…いや、諦めてるんですね、きっと。もうどうしようもないほど私に執着していますから…
普通は貴族とスラムの子なんて一生会わないものなんですが…
それがたとえ実の娘であっても。
あぁ本当に、
しつこい!えぇ、知ってますよ。そんなこと。
うざいっ!それも知ってます。
自由に生きていられればそれでいいし、面倒ごとは嫌いなんです!
それなのに、なんで医者なんて連れてくるんでしょう?
病気になれば、お金の無駄、とか面倒だから、とかで諦めてもらえると思ったのに…!
ついでに変人さんたちの声も姿も聞こえないので一石二鳥だとも思ったのに…!
そういうふうに、最高の場合を100%として、1%の確率で、そうなるかもって思っていたのに!
どうして予想を裏切らないんですかっ!この変人さんたちは…!
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「……わたしの愛娘を男と二人きりなんて、いくらお前でも…」
「珍しく同意見だね。私の運命の人と二人きりなんて許さないよ?」
はっ…日頃のストレスでつい思考が明後日に…
ですが、せっかく話がわかりそうで、ある程度の権力のある人と二人きりになれるんですから、なんとか許しを得なければ…!
ここは渾身のうるうるおねだりポーズ!
二人と目を合わせて…
「私ね、その人と二人きりになりたいの。いい?(うるうる)」
「ゔっ(天使…!)」
「やばい、抱きつきたい。」
「私の娘になんて無礼なっ!」
「なんのことかい?(笑)」
「さぁ?(怒)」
え~と…逆効果だったのでしょうか?余計に面倒くさくなりました。でも、この人達に私の渾身のうるうるおねだりポーズって効果抜群なんですよね。
もう一回やってみましょ☆
今度は二人の服の橋を掴んで、くいくいしながら…
「ねぇ、二人きり、だめ?(うるうる)」
「ゔっ」「可愛い……」
「お・ね・が・い♥(うるうる)」
「……いいぞ。」「少しだけなら、私もいい。」
ぃよっしゃあ!やりましたよー!私すごくないですか?スラムの人間という分際で、お貴族様に勝ちました!
………冷静に考えると…ろくにお風呂にも入ってなくて臭くて、仕事で泥まみれ、ボサボサの髪にボロボロの服…
これって立派な不敬罪じゃないですかっ!
どうしましょう?私まだ死にたくありませんよ?
そういえば変人さんたちが連れてきた従者らしき人たちに冷たい目で見られているような…
ど、どうしましょう。………もういいや☆
スラムの人間だからしょうがないっ!
うんうん、しょうがないっ!
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「こんにちは。」
お医者さんとやっと二人きりになりました!
挨拶もしてもらいました。目上の人からやってもらうなんて、一生に一度あるかないか…
ってこれも立派な不敬罪ですよっ!
ああ……もう嫌…とりあえず、
「私のためにこのようなところまで起こしいただき、感謝の念がたえません。」
お医者さんは私のこの渾身の挨拶に少し驚いてますね。
まぁ、そうですよね。スラムの子供がこんな言葉を知っているなんてね。
母に教えてもらったんですよ!
「驚きました。ここまでしっかりした挨拶ができるとは…」
ん?今お医者さんなんか言いました?
「!こほん。それで、貴方はどうして仮病を?」
「ゔっ」
やはりバレますか。仮病だと。
「スラムの子供として育った身ですから、貴族様という高貴な人の煩いとならぬよう、早く離れられるようにです。」
「たとえそれが親子であっても、ですか?」
「当たり前じゃないですか。
スラムの住んでた妾との子を独断で引き取ったなんて話聞きませんし、正妻であっても聞いたことないです。
スラムで育ったらスラムの子、なんです。貴族様との身分差は測りしれません。正直言って、なにかに利用しようとしているか、奴隷不足とかの解消に売られるとか…そんなことしか思いつきません。」
それを聞いて、お医者さんは興味深そうに目を細めています。
「なるほど。でも玉の輿ですよ?」
「スラムの子は、今日生きるだけでもやったなんです。生きることに精一杯で、そんな夢を見る暇もないんです。」
「そうですか…わかりました。私からあなたにあのお二方のことを強要はしないようにしましょう。そして私は、もし貴方が貴族社会に入ったら、全力で助けることを約束します。」
「え、あ、はぁ。ありがとうございます?」
私が貴族社会に入るなんて…ないと思いますけどね☆
「今日はもう撤退するようにしますから、ゆっくり休んでくださいね。」
「わかりました。」
それは純粋に助かります!
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そして変人さん率いる集団は帰っていきました。
ものすごい一日でした。
「おやすみー☆」
くけー。私の意識は途切れました。
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