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第5話:毒を喰らう晩餐 ―食卓の下の共犯者―
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第5話:毒を喰らう晩餐 ―食卓の下の共犯者―
数日後、恐れていた、あるいは心のどこかで渇望していた招待状が届いた。
「主人が出張から戻ったので、お礼に皆でお食事でもどうですか?」
彼女からのLINE。画面を見つめる僕の指先が、わずかに震える。横では妻が「わあ、嬉しい!あそこの旦那さん、いい人だもんね」と、純粋な喜びの声を上げていた。
彼女の家のダイニングテーブルは、暖色のライトに照らされ、幸福の象徴のように整えられていた。
正面には、彼女の旦那。がっしりとした体格で、いかにも誠実そうな男だ。その隣で、彼女はエプロン姿で甲斐甲斐しく料理を運んでいる。
「この前は家内と子供がお世話になったみたいで。本当にありがとうございました」
旦那がビールを注ぎながら、僕に深く頭を下げた。
「いえ、そんな……こちらこそ、雨宿りまでさせていただいて」
喉を通るビールが、まるで劇薬のように熱い。僕のすぐ隣では、妻が彼女の作ったローストビーフを絶賛し、子供たちはリビングの隅で無邪気に遊んでいる。
その時だった。
テーブルの下で、何かが僕の膝に触れた。
最初は、偶然かと思った。だが、その感触はしなやかに、這い上がるように僕の太ももを撫で上げた。
視線を上げると、彼女は旦那と笑顔で談笑している。だが、テーブルの下にある彼女の素足は、僕のズボンの上から、あの「お掃除」をした場所を正確に、執拗に圧迫し始めていた。
「……っ」
息が止まりそうになる。
「パパ? どうしたの、顔赤いよ。また飲みすぎ?」
妻が心配そうに覗き込んでくる。
「ああ、いや……少し、エアコンが効きすぎているかな」
僕は必死で紳士の仮面を保つ。しかし、彼女の足先は大胆さを増し、僕のチャックの辺りを器用に愛撫し始めた。
「そういえば、あの日のお掃除……本当に大変だったのよねぇ」
彼女が、ワインを一口含みながら、何気ない風を装って言った。
旦那が笑って応える。
「掃除? 誰が?」
「隣のご主人が手伝ってくれたのよ。ねえ?」
彼女の視線が、獲物を追い詰める蛇のように僕を射抜いた。
「ええ……。まあ、少し、汚れが酷かったので」
僕は乾いた声で答える。足元では、彼女のつま先が僕のモノをぐりぐりと踏みつけている。その刺激と、目の前で微笑む旦那への罪悪感が混ざり合い、僕のモノは最悪なタイミングで硬さを増していく。
「パパって、家でも掃除なんてしないのに。珍しいわね」
妻の冗談めかした言葉が、ナイフのように胸に突き刺さる。
「あら、とっても……『熱心』にお掃除してくださったわよ。隅々まで、綺麗に」
彼女はそう言うと、テーブルの下で僕の足の間に自分の足を深く割り込ませた。
その瞬間、彼女の瞳に宿ったのは、愛欲ではなく、僕を完全に支配しているという優越感。そして、いつこの平穏を壊してやろうかという、狂気じみた愉悦だった。
僕は気づいた。
彼女にとって、あの行為は「愛」でも「欲」でもない。
自分の夫と、僕の妻。この二人の「何も知らない善人」を目の前にして、その裏で僕を弄ぶ。この『地獄の構図』そのものを彼女は味わっているのだ。
「……すみません、少しお手洗いを」
限界だった。僕は逃げるように席を立った。
廊下へ出ると、冷や汗が背中を伝った。
(帰らなきゃ。今すぐ家族を連れて、この家から逃げなきゃ……)
そう思った瞬間、背後でドアが静かに閉まる音がした。
振り返ると、そこには彼女が立っていた。
「……な、何を」
「主人、お酒強いからしばらくあそこから動かないわよ」
彼女は僕の胸に手を置き、そのまま僕を廊下の壁に押し付けた。
「ねえ……奥様の前で、あんなに固くしちゃって。変態ね、あなた」
リビングからは、妻と彼女の旦那の笑い声が聞こえてくる。
僕は恐怖した。同時に、その恐怖に比例して、僕の身体は彼女を激しく求めていた。
僕はもう、光の当たる場所には戻れない。
彼女の細い指が僕のベルトを解く音を聞きながら、僕はゆっくりと、自ら深淵へと足を踏み出していった。
(第6話へ続く)
数日後、恐れていた、あるいは心のどこかで渇望していた招待状が届いた。
「主人が出張から戻ったので、お礼に皆でお食事でもどうですか?」
彼女からのLINE。画面を見つめる僕の指先が、わずかに震える。横では妻が「わあ、嬉しい!あそこの旦那さん、いい人だもんね」と、純粋な喜びの声を上げていた。
彼女の家のダイニングテーブルは、暖色のライトに照らされ、幸福の象徴のように整えられていた。
正面には、彼女の旦那。がっしりとした体格で、いかにも誠実そうな男だ。その隣で、彼女はエプロン姿で甲斐甲斐しく料理を運んでいる。
「この前は家内と子供がお世話になったみたいで。本当にありがとうございました」
旦那がビールを注ぎながら、僕に深く頭を下げた。
「いえ、そんな……こちらこそ、雨宿りまでさせていただいて」
喉を通るビールが、まるで劇薬のように熱い。僕のすぐ隣では、妻が彼女の作ったローストビーフを絶賛し、子供たちはリビングの隅で無邪気に遊んでいる。
その時だった。
テーブルの下で、何かが僕の膝に触れた。
最初は、偶然かと思った。だが、その感触はしなやかに、這い上がるように僕の太ももを撫で上げた。
視線を上げると、彼女は旦那と笑顔で談笑している。だが、テーブルの下にある彼女の素足は、僕のズボンの上から、あの「お掃除」をした場所を正確に、執拗に圧迫し始めていた。
「……っ」
息が止まりそうになる。
「パパ? どうしたの、顔赤いよ。また飲みすぎ?」
妻が心配そうに覗き込んでくる。
「ああ、いや……少し、エアコンが効きすぎているかな」
僕は必死で紳士の仮面を保つ。しかし、彼女の足先は大胆さを増し、僕のチャックの辺りを器用に愛撫し始めた。
「そういえば、あの日のお掃除……本当に大変だったのよねぇ」
彼女が、ワインを一口含みながら、何気ない風を装って言った。
旦那が笑って応える。
「掃除? 誰が?」
「隣のご主人が手伝ってくれたのよ。ねえ?」
彼女の視線が、獲物を追い詰める蛇のように僕を射抜いた。
「ええ……。まあ、少し、汚れが酷かったので」
僕は乾いた声で答える。足元では、彼女のつま先が僕のモノをぐりぐりと踏みつけている。その刺激と、目の前で微笑む旦那への罪悪感が混ざり合い、僕のモノは最悪なタイミングで硬さを増していく。
「パパって、家でも掃除なんてしないのに。珍しいわね」
妻の冗談めかした言葉が、ナイフのように胸に突き刺さる。
「あら、とっても……『熱心』にお掃除してくださったわよ。隅々まで、綺麗に」
彼女はそう言うと、テーブルの下で僕の足の間に自分の足を深く割り込ませた。
その瞬間、彼女の瞳に宿ったのは、愛欲ではなく、僕を完全に支配しているという優越感。そして、いつこの平穏を壊してやろうかという、狂気じみた愉悦だった。
僕は気づいた。
彼女にとって、あの行為は「愛」でも「欲」でもない。
自分の夫と、僕の妻。この二人の「何も知らない善人」を目の前にして、その裏で僕を弄ぶ。この『地獄の構図』そのものを彼女は味わっているのだ。
「……すみません、少しお手洗いを」
限界だった。僕は逃げるように席を立った。
廊下へ出ると、冷や汗が背中を伝った。
(帰らなきゃ。今すぐ家族を連れて、この家から逃げなきゃ……)
そう思った瞬間、背後でドアが静かに閉まる音がした。
振り返ると、そこには彼女が立っていた。
「……な、何を」
「主人、お酒強いからしばらくあそこから動かないわよ」
彼女は僕の胸に手を置き、そのまま僕を廊下の壁に押し付けた。
「ねえ……奥様の前で、あんなに固くしちゃって。変態ね、あなた」
リビングからは、妻と彼女の旦那の笑い声が聞こえてくる。
僕は恐怖した。同時に、その恐怖に比例して、僕の身体は彼女を激しく求めていた。
僕はもう、光の当たる場所には戻れない。
彼女の細い指が僕のベルトを解く音を聞きながら、僕はゆっくりと、自ら深淵へと足を踏み出していった。
(第6話へ続く)
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