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第三章:新しい生活
3-3お食事会
しおりを挟む今晩は久しぶりにトランさんの仲間が集まってみんなで食事をする事になっている。
「うわ~、皆さんお久しぶり!」
「お久しぶりです、エシアさん、テルさん、ホボスさん!」
私たちがコモン語で挨拶するとみんなにっこりと笑て答えてくれる。
「リルとルラも元気そうで何よりだ」
「だいぶコモン語も上達したんじゃねえか?」
「うむ、流石はロナンの指導だな」
みんなコモン語で喋っているけど今は何を言っているかはっきりと分かる。
ホボスさんだけはちょっとなまりが有るので聞き取りにくい時があるけど、何を言っているかは分かるので大丈夫。
「みんな、この休みの間はどうだった?」
トランさんがそう聞くと皆さんにっこりと笑いながら新調した鎧や武器を見せてくれる。
「いやはや、リルとルラには礼を言わなければな。装備も良いモノが手に入った」
「まったくだぜ、見て見ろよこの靴! なめした皮に滑り止めの天然ゴムが縫い付けてあるから音もたてずに動けるぜ!」
「そうだな、おかげで骨休みも出来たものだ」
それを聞いてトランさんもにっこりと笑う。
そしてメニューを見ながらオーダーを始める。
「地竜の買取のお陰で僕らも大金が入ったからね。リルとルラにはギルドから足りなかった現金分が来月届くらしいから証書と取り換えに行こう」
トランさんはにこにこしながら注文をする。
「あ、トランさんあたしお肉食べたい!」
「こ、こらルラ! すみませんわがまま言って」
「ルラは成長期だからたくさん食べるのかな? 大丈夫みんなもお肉とか沢山注文するからね。あ、でもリルは果物とかの方が良いのかな?」
トランさんは笑顔で私に聞いて来てくれる。
確かにお肉も食べるけど、脂っこすぎて沢山は食べれない。
トランさんの言う通り果物の方が食べやすいもんね。
私は頷きお願いをする。
「すみません、果物もお願いします」
「うん、分かった。後はそうだなぁ~」
言いながら次々と注文をしてそしてお酒なんかも持って来てもらうけど流石に私たちは果物ジュースにしてもらう。
「なんだリルとルラは飲めないのか?」
「エシア、いくら見た目が人間の成人を迎えた頃とは言え二人はまだまだ子供なんだよ? お酒なんか飲ませちゃだめだよ」
エシアさんは乾杯の音頭を取りながらがぶがぶとお酒を飲み始める。
そして私たちがお酒で無いのに気付いて先程の質問。
「あたしお酒飲んでみたいかな?」
「ルラ、やめときなさいって。いくら体は大きく成ったって私たちにはまだ早いって」
「そうだね、ルラ、せめてあと百年は我慢した方が良いよ? 若い時にお酒を飲むと若木は上手く成長できなくなるからね。幹がある程度大きく成るまでお酒はやめた方が良いよ?」
トランさんにもそう言われルラは唇を尖らせるけど素直に「はーい」とか返事をする。
うーん百年は我慢って、見た目は人間の成人年齢くらいだけど中身がまだまだお子様だって事だよね?
そう言えば、昔シャルさんに泉で沐浴しながら聞いた事が有るっけ。
エルフの女性は生理が来るのが大体百歳から二百歳くらいからだって言っていた。
ルラは何の事かさっぱりわからなかったけど、私がすぐにピンと来た。
だって、あの日とかエルフって無いのかと思うくらい少ないから。
あの時はたまたまシャルさんが生理が来て泉で体を洗わなかったので不思議に思っていたらその話だ。
それまでよく泉で会うのにその日はシャルさんは沐浴をしなかった。
どうしてかって聞いたら、一年に一度あるか無いかの生理が来たらしい。
エルフの女性は一年に一度しか生理が来ない。
生前の私にしてみればうらやましい話だけど、体が樹木に近いせいで子供を作るタイミングが一年にその頃しか機会が無いそうだ。
だからエルフはなかなか人口が増えないのだとか。
あの時はルラは何を言っているのかちんぷんかんぷんだったけど、後でお母さんにそんな話を聞かされ更に首をかしげてたっけ。
もともとが男の子だし、小学一年生になったばかりだったから余計に分からなよね。
でも私はそう言った意味でトランさんが諭してくれている事に思わず赤面をしてしまった。
だって、そう言ったことを踏まえてのお話なのだろうから。
トランさんにしてみれば私たちは三歳児のエルフ。
詳しく説明したって理解できないだろうからあの世界に在るもう一つの私たちである「命の木」を例えで言ってくれているのだ。
「あと百年かぁ~。人間の世界で百年もいないだろうからお酒はまだまだ先かぁ~」
「そうだね、ルラがお酒飲めるようになったら村に戻って一緒に飲もうか?」
トランさんは笑いながらそう言う。
それを聞いて私も慌ててトランさんにお願いをする。
「ト、トランさん! お酒飲めるようになったら私も一緒に飲んでいいですか!?」
ルラと二人っきりでトランさんがお酒なんか飲むなんて許せない!
私だってトランさんともっと仲良くなりたいもん!!
私がそう言うとトランさんはきょとんとして笑いながら言う。
「うん、分かった。約束するよ。君たちがお酒を飲めるようになったら必ず村に戻って一緒に乾杯しよう!」
トランさんはそう言いながらコップをかかげる。
私もルラもジュースのコップをかかげて乾杯をしながら約束をする。
そして楽しいお食事会が始まるのだった。
* * * * *
「ふうぅ、だいぶ飲んだね」
「大丈夫ですかトラン?」
なんだかんだ言いながら大騒ぎになっておいしい料理を食べ、大いに飲んで騒いで気が付けばそろそろお開きの時間になっていた。
結構みんなで飲んだからトランさんもだいぶ酔っている。
ロナンさんだけは自重していたみたいでほろ酔いで済んでいる様だ。
「うん、飲み過ぎたみたいだ。エシア、そろそろお開きにするかい?」
「まだまだぁ! おい、追加の酒を頼む!!」
「まだ飲むのかよ? 俺はもう無理だぞ~」
「ふむ、俺もそろそろきつくなってきた」
トランさんがみんなに聞くとまだまだエシアさんだけは元気だった。
でもテルさんやホボスさんはそろそろ限界の様でコップの中身も減らなくなってきている。
「うーん、流石にきついよ。僕はそろそろ上に行くね」
「あ、トランさん大丈夫ですか?」
立ち上がるとよろけるトランさんに私は思わず手を伸ばす。
そしてふらつくトランさんの腕を肩に乗せてよろけるのを手助けする。
「ちょうどいいリル、トランを部屋まで連れて行ってやってくれないか?」
ロナンさんにそう言われ私は頷く。
もう流石にトランさんも限界っぽいしね。
「ん、じゃあそろそろあたしも部屋に戻る。お姉ちゃん手伝うよ」
「ありがとう、ルラ。それじゃあトランさん部屋に戻りますよ?」
「ごめんね、リル。助かる」
ふらつく足取りを支えて私とルラ、そしてトランさんは先に部屋に戻る事にした。
なんかエシアさんが寂しそうにしているけど今はトランさん優先だもん。
私たちは皆さんに挨拶しながら階段を上り始める。
「う~ん、リルは良いお嫁さんになるねぇ~」
どきっ!
トランさんはそんな事を言いながらふらふらと階段を上る。
私は心臓がどきどきと高鳴ってトランさんを見る。
「な、なれますか?」
「うん、なれるよ~」
何が嬉しいのかトランさんは笑いながらそう言う。
私はそんなトランさんを見ながら思わず口を滑らす。
「じゃ、じゃあ私が大人になったらトランさんのお嫁さんにしてくれます?」
「ん~? いいよぉ~。じゃあリルは大人になったら僕のお嫁さんだね~、はははははは!」
言ってから私は顔がどんどん熱くなってくるのが分かる。
そして心底嬉しさがこみ上げてくる。
トランさんが大人になったら私をお嫁さんにしてくれる!
なにこれ!?
もう、本当に!?
う、うれしい!!
「あ~、お姉ちゃんトランさん好きだからってお嫁さんになるの?」
「う、うふふふふふっ、うん! なる! トランさんのお嫁さんになっちゃう!!」
ニマニマが止まらない。
生前に彼氏なんかできた事無かったし、結婚なんて夢にも思わなかった。
でも今トランさんが私が大人になったらお嫁さんにしてくれるって言ってくれた!
もうそれだけで私は有頂天になり全てが新鮮に見える。
「あ~お姉ちゃんそっちあたしたちの部屋だよ? トランさんの部屋となり」
「あ、ああぁっ! そ、そうだっけ!? ト、トランさん部屋に着きましたよ?」
「うん、ありがとう。流石は僕のお嫁さんだね~。じゃあ、お休み~」
パタン。
トランさんはそう言って部屋に入って行った。
それをずっと見ていた私はふるふると震える。
「お姉ちゃん?」
「ル、ルラ。トランさんが最後に何言ったか聞こえた?」
「あ~、『流石は僕のお嫁さんだね~』だっけ?」
私は思わずルラ背中を叩く。
「もう、もう、もうぅぅううううぅっ! 僕のお嫁さんだって! きゃーっ! もう私お嫁さん? ねえルラ、私お嫁さんだって!!」
「はいはい、分かったから大人しく部屋入ろうよ。廊下で騒ぐと他の人の迷惑になるよ?」
最高の気分な私を引き連れてルラは私たちの部屋に私を引っ張っていくのだった。
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