明晰夢

赤花雪夜

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お花見

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それからの日は早くも四日へと流れる。
真っ白でシンプルなワンピースを身に纏い母と姉の前で可愛らしくくるっと周り両手を広げ笑顔を振りまく愛。二人に「どう? どう?」と期待に満ちた目線で見つめると春は「可愛いよ」と言いながら麦わら帽子を愛の頭に被せ、雪は手に持って調整していた一眼レフで愛をカメラに一枚収めた。
黒い重箱に風呂敷で包み持った春は「では、行こうか」と声を張ると愛と雪は片手で握り拳を作り上に突き上げ「いざ、お花見ー!」と愛だけ叫んだ。

外に出れば桜の木という木が全て美しく咲き誇りお花見日和であった。
小さい頃、まだ愛と雪が幼かった時よく遊んでいた公園には他の木に負けないぐらい大きくて立派な桜の木が一本ある。
三人はその公園に向かって歩いていた。
愛は春に引っ付き、春はそんな愛に話を合わせてながら歩き、雪は二人の姿を写真で撮ったり、桜の風景を撮ったりと歩いていた。
暫く歩くと公園に着くなり愛は我先にと桜の下に行き陣取っていた。
愛は「早く早く!」と急かすと二人はゆっくりと歩きながら愛がいる桜の木に向かった。
引いたレジャーシートに座り愛が最も楽しみにしていたお弁当が置かれた。
愛はお弁当箱を開けようとすると春と雪が待ったと止める。
雪は少し離れた場所にカメラを設置し春は愛の側による。
「三人で写真撮るからお弁当はちょっと待って」
優しく微笑みながら囁くように言われた愛は春に寄りかかる。
カメラを設置しタイマーをセットして急いで二人の所まで早足で行き愛の隣に座り三人で写真を撮る。
カシャリ
シャッターの音が聞こえると雪はすぐにカメラの所に戻り綺麗に撮れてるか確認すると……
「見て、綺麗に撮れたわ!」
そう言いながら雪は愛達にカメラの画面を見せた。
カメラの画面に映る三人は満開な桜の木を背に花弁に包まれ幸せそうに笑う三人が綺麗に撮れていた。
「これ、写真に欲しい!」
「そうだね。私も欲しいな」
「じゃあ三枚ね。新しい写真立てを買わないといけないわ」
雪の言葉に二人も新しい写真立てが欲しくなり、春は「明日は新しい写真立てを買いに行こうか」と提案し二人は賛成した。
春はやっとお弁当の蓋を取り、愛は中を覗くと「おぉ~!」と声を上げる。
中には愛や雪がリクエストしたハンバーグや甘そうな玉子焼き、アスパラガスのバター炒めが入っていた。
そして二段目にはおにぎりやいなり寿司がぎゅうぎゅうに詰められていた。
愛は割り箸を割って「頂きます!」と元気よく言うが一向に食べようとしなかった。何故ならどれから先に食べようかと悩みに悩んでいたからだ。
春と雪は小さく笑って愛が持ってる紙皿に春は甘い玉子焼きを、雪はハンバーグをと愛が好きなものを乗せた。
「ゆっくり食べなさい。お弁当は逃げないしまだまだ沢山あるから」
「そうよ。せっかくのお花見なんだから」
愛は嬉しそうに笑い好きなハンバーグを一口で食べて片方の頬がリスのように大きくなると雪は見逃さぬようにカメラを構えて愛が食べてる姿を撮った。愛は恥ずかしそうに顔を隠しながら「撮らないで」と言うが雪はそれでもなにかあれば愛の写真を取り続けた。
「雪、撮ってないで雪も食べな」
アスパラガスや玉子焼き等おかずを乗せた紙皿と割り箸を雪に渡し雪は少し残念そうにしながらカメラを置いておかずが乗った紙皿と割り箸を受け取った。三人は桜を見ながらお弁当を食べ進め他愛無い話しをし自販機の缶ジュースを飲んでゆっくり三人はお花見を楽しんだ。
時間もかなり経ちそろそろお開きにしようかと春がそういうと二人は立ち上がり三人で後片付けをした。ゴミを袋に入れてゴミ箱に、レジャーシートを折り畳み、荷物を持って三人で家に帰る。
「ママ、お姉ちゃん。また来年お花見しようね」
三人は並んで歩き、家に帰った。
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