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①
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新井林忠正は苦り切っていた。
忠正はひと月ほど前に近隣の杜山藩から新井林藩に婿入りしたばかりであった。生家である六万石の杜山藩に対し、新井林藩は三万石と小藩ではあったが、三男坊として生まれた忠正には過ぎた縁談だった。次兄が同じ三万石の旗本に縁付いた事も含め、自分たちの両親はよく頑張ってくれたと感謝の念に抱かずにはいられなかった。
もちろんそれは忠正の資質に惚れ込んだ、新井林藩当主の強い願いがあったからこそなのだが。
新井林藩の亡き当主、篤乃守が幼少の折から利発な忠正を気に入り、是非にと、生まれたばかりの一人娘との縁組を強く望んだからだった。もちろん両親は諸手を挙げて快諾した。三男坊の行く末が早々に安泰になるのだから、喜びは大層なものだった。親心として間違っても冷や飯食いになど、させたくはなかったのだから。
こうして幼き2人の間にめでたく婚約が整ったのである。
以来、忠正は新井林藩の当主となるべく教育を施され育ってきた。
そして一先年、篤乃守が急逝すると、喪が明けるのを待ちかねたように、一人娘の初姫との婚儀が迅速に執り行われたのである。
ーー全く馬鹿馬鹿しい。
口にこそ出さなかったが、今度ははっきりした言葉で、忠正は胸の中でもう一度毒づいた。
赤ん坊の時、ただ一度あっただけの旧藩主の忘れ形見の初は、少しばかり知能の未発達な姫であったのだ。容姿も取り分け美しいとも言えない。まあ愛嬌があるというくらいだろう。
どうりで自分を送り出すとき、両親の物言いが随分と歯切れが悪かったのも頷ける。
ーー「あの姫は、うむ、良い姫ぞ。うむ、その少し何というか、、ではあるが、とにかく心優しい姫ぞ。奢ったとこなど微塵もごさらん」
そうだろうな。少し足りないのだからと、忠正の唇の端が自嘲的に歪められた。
「浅川、そこのところを今一度、申せ」
吃とした忠正の声が部屋に響き渡った。執務室には家老の浅川半太夫、用人の柱谷外記、郡奉行の長岡三左衛門、勘定奉行の大見健之介が召集されていた。
「は、ですから昨年と一昨年の凶作続きにより、わが藩の現状は、、」
額の汗を拭いながら、家老の浅川が言葉を探しあぐねている。
「端的に申せ」
忠正の声が気短にとんだ。
「は、ですから、わが藩の財はこの書面通り、言うなれば借財ばかりなのでございます」
「藩の窮状をみかねての、返済遅延の了承は得ております」用人の柱谷が援護に参加した。
「借財に、、その返済の遅滞とは、、馬鹿を申すな」
ぴしり、と忠正の声が鞭のように空気を切り裂いた。見渡すと家老は恐縮して平伏し、郡奉行と勘定奉行はぶるぶると身体を震わせていた。用人の柱谷だけが面をあげ見据えており、忠正は舌打ちしたくなるのを、どうにか堪えた。
私は体よく愚鈍な姫だけでなく、とんでもない貧乏藩までも押し付けられたのだなと、憮然な面持ちで首を1つ横に振った。曖昧な笑みを浮かべていた国元の両親が、ただただ恨めしい。
忠正は正式に新井林藩の藩主となってから、精力的に藩政を調べ上げ、その財政難に衝撃を受けた。生家も財政は苦しいものだったが、これに比べれば裕福にさえ思えてくる。それ程までに逼迫し困窮していた。
ーー義父上が長患いで執政に携われなかったのが、事態の悪化を招いてしまったのだろう。
それで打開策を打つべく、早速に要職達を集め、事の仔細を聴取していたのである。
「殿はこの地にいらしたばかりで、ここ数年の干ばつの窮状をご存じではいらっしゃらないのです」
慇懃に用人の柱谷外記が言葉を発した。忠正はじろりと柱谷を睨めつけると、郡奉行の長岡三左衛門に向き直った。
「この帳簿を見る限りでは、備蓄米は三年前には存在している事になっておる」
そうだな?と睨むと、長岡が「そうでございます」と神妙に頷いた。肥った丸い身体が小さく縮んだ。
「なのに!何故翌年にはきれいさっぱりと消えているのだ?今一度説明せよ」
「何度も申し上げまするように、腐ったのでございます」
「ほほう、全てがと申すか?」
「全てにござります」
ひらすら平伏する長岡に対し、柱谷が落ち着き払った様子で、その後を引き継いだ。
「この藩は盆地ゆえ湿度が高いのでございます。勿論対策はしておりますが限界がござります。どうしても傷みやすいのは必然。しかもその年は長雨続きで土砂崩れがあり申し、すべてはその際にやられてしまったのです。しかも、それ以降は干ばつ続きで備蓄をする余裕もなかったのでございます」
忠正はもう一睨みすると軽く右手を振った。
「もうよい。しかし何という貧乏藩だ」
忠正の呟きに家老の浅川が首をすくめ、用人の柱谷が眉を潜めた。
驚くほど逼迫している藩財政を不審に思い、忠正はありとあらゆる帳簿を丹念に調べ上げ、でき得る限りの調査をしつくしていた。それこそ藩要職以外の、街の材木問屋や左官屋、大工に至るまでくまなく聞き込みをし、場合によっては詰問を繰り返していた。しかし徹底的に洗い直してみても、どこにも不正も着服の欠片も見当たらない。新井林藩は正真正銘の貧乏藩だった。
「増税するしかないか」
苦渋を含んだ声音で、忠正は四人を均等に見据えた。この状態で増税は民にとっては余りに酷な話だ。忠正は唇をギュッと引き締めた。
「むやみに税を上げるは、人民を苦しめるばかりでございます。どうかご容赦を」
「他に手立てがあるというのか」
またこいつか、と忠正はうんざりした。そんな事はとうに理解している。打つ手が何もないからこその苦しい選択に他ならないのだ。
用人の柱谷外記は、事あるごとに忠正に反駁してくる。若いながらも切れ者と評判の男で、亡き藩主の信頼も厚かったという。確かに有能な人物のようだが、この男に冷静沈着な顔と声で、ずらずらと正論を叩き出されるのは、何とも気分の悪いものだった。
「殿はここ数年の凶作の現状をご存じないのでございまする。民は疲弊しきっております」
「⋯もうよい」
まだまだ続きそうな柱谷の言葉を遮ると、ぴしり、と忠正は束さんだ紙を、手の平に打ちつけた。
「分かった。ならば早急に案を講じねばならぬ。各々心せよ」
下がれ、と言い放つと忠正は袴を捌いて勢いよく立ち上がった。急ぎ退出しかける忠正に、すいっと柱谷が歩みより、それから慇懃に声を低めた。
「殿の身の回りのお世話に、ご推薦申し上げたい女御がおりまする」
「⋯⋯どういう意味だ」
思わず忠正の頬が羞恥に赤く染まった。
「そのままの意味でございます。ご不便なきよう側仕えにと」
「そんな者は要らぬ」
低く押し殺した声に怒気が潜んだ。
忠正は屹と柱谷を睨みつけると、ドタドタと足音を立てながら去っていった。遠ざかる忠正を見送る柱谷の瞳が、柔らかく温かくそばめられた。
⋯⋯⋯⋯
雪解けの水がちろちろと歌うように樋を流れていた。溜池に水を集めている樋である。忠正はほうっと安堵の息を吐いた。今年こそは何としても干ばつを逃れたいと、小さなせせらぎの音を祈るような思いで聞いていた。
少し前までは辺り一面が真綿のように真っ白であったが、最近はその白い雪を押し分けて、処々に緑色の小さな芽が顔を覗かせ始めている。万作の黄色の花もちらほら咲き出し、高潔そうな白い山々が次々に、黄色や緑色に塗り替わっていこうとしていた。
北国の新井林藩にも、緩やかに春が訪れ始めていた。
ーー春がきて花の時期が過ぎると、いよいよ田植えの時期がくる。
忠正はともすれば轍に足を取られそうになりながら、ゆっくりと歩を進め、辺り一帯を眺め渡した。この国に来てから、もう幾度目かの微行である。いつも国元から共にきた近侍一人を伴っての散策であるから、側近たちの口やかましい事はこの上なかった。しかし、村々や街の現状を視察するのに、大勢でちゃらちゃらと廻っていたのでは、正しく現状把握など出来はしない。今日も幼少からの家臣、氏家是近を連れているのみである。
「分かるか?是近」
「何が?でござりましょう」
まだ水の張られていない田に、低く靄が立ち込めていた。忠正は後ろに控えている是近を振り向くと、たちまち身体に纏わりついていた靄が、四方へと不規則に揺らめきながら霧散していった。
「灌漑設備だ」
その時、「殿」「殿!」と忠正を連呼する早馬が駆けてきた。
「何事だ」
城からの使いである。使者は忠正の御前に到着すると、急ぎ馬から降りて辞儀を尽くした。
「は、奥方様が殿の不在にご不安になられ、城中を探しておられます。何とぞ急ぎお帰りを」
使者の弱り果てた声音に、忠正の眉がしかめられた。おそらく初は大騒ぎで城のあちこちを探し廻っているのだろう。
「分かった。是近、馬を」
言うなり忠正はさっと馬上の人となり、急ぎ城へと馬を走らせた。
どかどかと足を踏み鳴らして帰城した忠正を、妻の初が嬉しそうに迎えた。
「何事ですか?初どの」
「ああ初は待ってたのぇ。殿様は今日、初と遊んでくれるお約束ですぇ」
確かに初にねだられ、面倒になった忠正は、そんな約束をしたような気もしたが、不機嫌になるのは隠せなかった。忠正の様子に初仕えの老婆が慌てて、とりなしにかかった。
「まあまあ、初様。御殿様はお忙しいのですから、、お遊び相手でしたら小百合を呼びましょう」
「殿様がいいの」
狼狽えた老婆がしきりに初を宥めるが、初は「殿様がいいの」の一点張りで一向に埒があかない。
必死になだめ続ける老いた初仕えに、「よい」と忠正は片手をあげて制した。
「分かりました。初どのは私と遊びたくて、それで早馬でわざわざ私を捜されたのですね」
忠正は皮肉まじりに渋面をつくったが、初は意に介さず「そうよ」と嬉しそうに微笑んだ。
忠正はやれやれと諦めた体で、「何がなさりたいのですか?」と初の前に座った。初は目を輝かせ、いそいそと道具箱をもってくると、中味をずらりと並べ始めた。どれもこれも、ままごとの遊び具である。
「殿様、どれがいい?」
婚儀をすませても二人はいつもこんな具合だった。初の心はまだまだ無邪気な幼子のままで、初にとっての忠正は夫ではなく、好もしい遊び相手にすぎなかった。
「殿様などと呼ぶな。忠正でよい」
忠正の声はどうしても素っ気なくなる。知能の遅れている初に、殿様と呼ばれると、どうしてか不快になってしまうのだ。
これでは、と忠正の脳裏に先日の柱谷外記の言葉が蘇った。
ーー側仕えか。確かにこれでは誰にでも分かるのだろうな。
夫婦になったといえ相手はこの初である。当然のごとく二人に契りはなく他人であった。
一目瞭然なのだろうな、と忠正は憂鬱になった。
「忠正さま。どれがいい?」
初が熱心に遊戯道具に魅入っている。
「これだ」
忠正はあやとりを無造作に掴むと、乱暴に糸に指を手繰らせた。
柱谷や初に表しがたい憤りを覚えるが、とにかく今は藩政が第一だった。
ーーそうだ。閨のことより今は藩を大事に考えるべきなのだ。そうだ、閨どころではないのだ。
忠正は柱谷の提案をどこか惜しむ自分を叱咤し戒めた。それに勧められるまま側女をおいて、色好みの藩主と噂でもされたら、それこそ堪らない。
初が忠正のつくる鶴が可笑しいと、声をあげて笑っている。
ーーいい気なものだな。
頭では分かっているつもりなのだが、それでも理不尽な思いは拭えない。忠正はやり場のない感情を持て余してしまうのだった。
⋯⋯⋯⋯
「溜池の補修はどうなっておる?」
忠正のぴしりとした声が部屋に響き渡った。執務室にはいつものように、家老の浅川、用人の柱谷、郡奉行の長岡、そして勘定奉行の大見健之介が集められていた。みな一様に緊張した面持ちである。
雪が溶けてすぐに忠正は、山からの清水を溜めている池の補修に取り掛かっていた。季節は若葉の頃を迎え、いよいよ田植えの時期が差し迫っている。
今年の夏も干ばつで田畑がやられたならば、この藩は絶望的状況に追い込まれてしまうだろう。何としても水の確保が最優先的事項であった。
「まことに夏はすぐでございますからな」
浅川半太夫が鶴のように細い身体を、大きく前後に揺すった。
「東と北にある溜池を検分し、水の流出がないか急ぎ調べさせております。既に何か所か見つかり、簡易の処置を施しておりまする」
用人の柱谷外記が簡潔に現段階を報告し、忠正は頷いた。
「ですが、あくまで応急処置にすぎませぬ。改めて補修を致しませんことには、この夏を乗り切るのは難しかろうと存じます。つきましては、殿。修繕用の板が間に合いませぬ」
柱谷の発言に、勘定奉行の大見が慌てたように口を挟んだ。
「とてもとても出せるお金はございません。柱谷さま」
「備蓄米用の蔵板も腐っておりまして、そちらにも板は入り用です」
郡奉行の長岡が沈鬱に進言し、太い猪首を垂れた。しばし部屋に沈黙が降りた。
「まずは溜池が先じゃろうな」
静寂を浅川が破ると、皆一同に頷いた。
「御家老の言う通りでございましょう。収穫がなくば備蓄のしようもかないませぬ」
柱谷がしたりと賛同を示し、忠正を仰ぎみた。
「うむ、溜池が最優先だ。備蓄蔵が使い物にならぬなら、その蔵から使える板を溜池に回せ」
「はは、直ちに」
長岡と大見が柱谷の指示を受けながら早速に退室し、柱谷と浅川が相談しながら後に続いた。これから修繕にかかる人員の編成と手順に取り掛かかるのだ。
忠正はほうっと長い溜息をつくと庭に降り立った。午後の陽が緩やかに山の稜線を浮かび上がらせている。
すると、「忠正さま」とすかさず初の声がかかった。どうやら皆が退室するのを待っていたものらしい。
「忠正さま。御用はおすみかちら?」
「何用ですか?初どの」
「花湯を用意しましたのぇ、初は」
何ですかそれは、とぶっきらぼうに答えて忠正は立ち去ろうとしたが、初が袖を掴んで離さない。
「こっちよ。忠正さま。初が用意ちたのよ」
仕方なく袖を引かれるまま付いていくと、そこは湯殿だった。
「何のまねですか?初どの」
貴方と遊んでいる暇はないのだと、思わず強くなる口調に初が涙ぐんだ。
「初が用意ちたのよ、忠正さま」
「⋯もうよい」
根負けして湯殿に入り、衣類を脱いだ忠正だったが、足を踏み入れて少しばかり驚いた。
そこには湯舟いっぱいに、色とりどりの花弁が浮かんでいた。傾きかけた陽を受けて、赤や黄、薄桃などの色がたうたうように揺らめいている様は、まるで錦絵のように美しい。
忠正はそうっと花びらを流さぬよう湯に身体を滑り込ませると、たちまち花弁が纏わりついてきて、何やらくすぐったい。
目の前にも、ひらひらと黄色や桃色の花びらが降っていた。顔を上げると竹竿に籠が括られており、籠には花びらがこんもりと積まれていた。竹竿が揺れるたびに、1枚1枚と花びらが舞い降りてくる。
ーー良いものだな。
忠正は素直な気持ちで、ゆっくりと手のひらで花びらをすくってみた。
ーーうむ、良いものだ。
花びらから、ほんのりと甘い香りが漂い、忠正はうっとりと瞼を閉じた。
突然、頓狂な声が響いてきた。
「まあまあ、初さま、何てことを!何をなさっておいでですか」
その途端、「きゃあ」と初の短い悲鳴があがり、どさりと籠が頭上から落ちてきて、忠正はすっかり花びらにまみれた。
ーーふむ、初が降らせていたのか。
「ごめんなさい」と、ちっとも悪気のない声が扉のすき間から聞こえてくる。
「よい。いい気持ちだ」
「そうでちよう?忠正さまはいっつも怖いお顔から、ごきげんなおりまちた?忠正さま。忠正さまはお花見していなかったでちよう。初が用意しましたのぇ」
「初さま、はしたのうございます」と追い立てる声がして、初がしきりに言い返している。何を言っているのか聞き取れなかったが、忠正は心の中までもが、じんわりと温もっていくのを覚えた。柔らかく、そして心地よい温かさを全身に感じていた。
ーーふむ、優しい人なのだな。
それに案外と可愛い顔をしておるではないかと、忠正はそっと微笑んだ。
忠正はひと月ほど前に近隣の杜山藩から新井林藩に婿入りしたばかりであった。生家である六万石の杜山藩に対し、新井林藩は三万石と小藩ではあったが、三男坊として生まれた忠正には過ぎた縁談だった。次兄が同じ三万石の旗本に縁付いた事も含め、自分たちの両親はよく頑張ってくれたと感謝の念に抱かずにはいられなかった。
もちろんそれは忠正の資質に惚れ込んだ、新井林藩当主の強い願いがあったからこそなのだが。
新井林藩の亡き当主、篤乃守が幼少の折から利発な忠正を気に入り、是非にと、生まれたばかりの一人娘との縁組を強く望んだからだった。もちろん両親は諸手を挙げて快諾した。三男坊の行く末が早々に安泰になるのだから、喜びは大層なものだった。親心として間違っても冷や飯食いになど、させたくはなかったのだから。
こうして幼き2人の間にめでたく婚約が整ったのである。
以来、忠正は新井林藩の当主となるべく教育を施され育ってきた。
そして一先年、篤乃守が急逝すると、喪が明けるのを待ちかねたように、一人娘の初姫との婚儀が迅速に執り行われたのである。
ーー全く馬鹿馬鹿しい。
口にこそ出さなかったが、今度ははっきりした言葉で、忠正は胸の中でもう一度毒づいた。
赤ん坊の時、ただ一度あっただけの旧藩主の忘れ形見の初は、少しばかり知能の未発達な姫であったのだ。容姿も取り分け美しいとも言えない。まあ愛嬌があるというくらいだろう。
どうりで自分を送り出すとき、両親の物言いが随分と歯切れが悪かったのも頷ける。
ーー「あの姫は、うむ、良い姫ぞ。うむ、その少し何というか、、ではあるが、とにかく心優しい姫ぞ。奢ったとこなど微塵もごさらん」
そうだろうな。少し足りないのだからと、忠正の唇の端が自嘲的に歪められた。
「浅川、そこのところを今一度、申せ」
吃とした忠正の声が部屋に響き渡った。執務室には家老の浅川半太夫、用人の柱谷外記、郡奉行の長岡三左衛門、勘定奉行の大見健之介が召集されていた。
「は、ですから昨年と一昨年の凶作続きにより、わが藩の現状は、、」
額の汗を拭いながら、家老の浅川が言葉を探しあぐねている。
「端的に申せ」
忠正の声が気短にとんだ。
「は、ですから、わが藩の財はこの書面通り、言うなれば借財ばかりなのでございます」
「藩の窮状をみかねての、返済遅延の了承は得ております」用人の柱谷が援護に参加した。
「借財に、、その返済の遅滞とは、、馬鹿を申すな」
ぴしり、と忠正の声が鞭のように空気を切り裂いた。見渡すと家老は恐縮して平伏し、郡奉行と勘定奉行はぶるぶると身体を震わせていた。用人の柱谷だけが面をあげ見据えており、忠正は舌打ちしたくなるのを、どうにか堪えた。
私は体よく愚鈍な姫だけでなく、とんでもない貧乏藩までも押し付けられたのだなと、憮然な面持ちで首を1つ横に振った。曖昧な笑みを浮かべていた国元の両親が、ただただ恨めしい。
忠正は正式に新井林藩の藩主となってから、精力的に藩政を調べ上げ、その財政難に衝撃を受けた。生家も財政は苦しいものだったが、これに比べれば裕福にさえ思えてくる。それ程までに逼迫し困窮していた。
ーー義父上が長患いで執政に携われなかったのが、事態の悪化を招いてしまったのだろう。
それで打開策を打つべく、早速に要職達を集め、事の仔細を聴取していたのである。
「殿はこの地にいらしたばかりで、ここ数年の干ばつの窮状をご存じではいらっしゃらないのです」
慇懃に用人の柱谷外記が言葉を発した。忠正はじろりと柱谷を睨めつけると、郡奉行の長岡三左衛門に向き直った。
「この帳簿を見る限りでは、備蓄米は三年前には存在している事になっておる」
そうだな?と睨むと、長岡が「そうでございます」と神妙に頷いた。肥った丸い身体が小さく縮んだ。
「なのに!何故翌年にはきれいさっぱりと消えているのだ?今一度説明せよ」
「何度も申し上げまするように、腐ったのでございます」
「ほほう、全てがと申すか?」
「全てにござります」
ひらすら平伏する長岡に対し、柱谷が落ち着き払った様子で、その後を引き継いだ。
「この藩は盆地ゆえ湿度が高いのでございます。勿論対策はしておりますが限界がござります。どうしても傷みやすいのは必然。しかもその年は長雨続きで土砂崩れがあり申し、すべてはその際にやられてしまったのです。しかも、それ以降は干ばつ続きで備蓄をする余裕もなかったのでございます」
忠正はもう一睨みすると軽く右手を振った。
「もうよい。しかし何という貧乏藩だ」
忠正の呟きに家老の浅川が首をすくめ、用人の柱谷が眉を潜めた。
驚くほど逼迫している藩財政を不審に思い、忠正はありとあらゆる帳簿を丹念に調べ上げ、でき得る限りの調査をしつくしていた。それこそ藩要職以外の、街の材木問屋や左官屋、大工に至るまでくまなく聞き込みをし、場合によっては詰問を繰り返していた。しかし徹底的に洗い直してみても、どこにも不正も着服の欠片も見当たらない。新井林藩は正真正銘の貧乏藩だった。
「増税するしかないか」
苦渋を含んだ声音で、忠正は四人を均等に見据えた。この状態で増税は民にとっては余りに酷な話だ。忠正は唇をギュッと引き締めた。
「むやみに税を上げるは、人民を苦しめるばかりでございます。どうかご容赦を」
「他に手立てがあるというのか」
またこいつか、と忠正はうんざりした。そんな事はとうに理解している。打つ手が何もないからこその苦しい選択に他ならないのだ。
用人の柱谷外記は、事あるごとに忠正に反駁してくる。若いながらも切れ者と評判の男で、亡き藩主の信頼も厚かったという。確かに有能な人物のようだが、この男に冷静沈着な顔と声で、ずらずらと正論を叩き出されるのは、何とも気分の悪いものだった。
「殿はここ数年の凶作の現状をご存じないのでございまする。民は疲弊しきっております」
「⋯もうよい」
まだまだ続きそうな柱谷の言葉を遮ると、ぴしり、と忠正は束さんだ紙を、手の平に打ちつけた。
「分かった。ならば早急に案を講じねばならぬ。各々心せよ」
下がれ、と言い放つと忠正は袴を捌いて勢いよく立ち上がった。急ぎ退出しかける忠正に、すいっと柱谷が歩みより、それから慇懃に声を低めた。
「殿の身の回りのお世話に、ご推薦申し上げたい女御がおりまする」
「⋯⋯どういう意味だ」
思わず忠正の頬が羞恥に赤く染まった。
「そのままの意味でございます。ご不便なきよう側仕えにと」
「そんな者は要らぬ」
低く押し殺した声に怒気が潜んだ。
忠正は屹と柱谷を睨みつけると、ドタドタと足音を立てながら去っていった。遠ざかる忠正を見送る柱谷の瞳が、柔らかく温かくそばめられた。
⋯⋯⋯⋯
雪解けの水がちろちろと歌うように樋を流れていた。溜池に水を集めている樋である。忠正はほうっと安堵の息を吐いた。今年こそは何としても干ばつを逃れたいと、小さなせせらぎの音を祈るような思いで聞いていた。
少し前までは辺り一面が真綿のように真っ白であったが、最近はその白い雪を押し分けて、処々に緑色の小さな芽が顔を覗かせ始めている。万作の黄色の花もちらほら咲き出し、高潔そうな白い山々が次々に、黄色や緑色に塗り替わっていこうとしていた。
北国の新井林藩にも、緩やかに春が訪れ始めていた。
ーー春がきて花の時期が過ぎると、いよいよ田植えの時期がくる。
忠正はともすれば轍に足を取られそうになりながら、ゆっくりと歩を進め、辺り一帯を眺め渡した。この国に来てから、もう幾度目かの微行である。いつも国元から共にきた近侍一人を伴っての散策であるから、側近たちの口やかましい事はこの上なかった。しかし、村々や街の現状を視察するのに、大勢でちゃらちゃらと廻っていたのでは、正しく現状把握など出来はしない。今日も幼少からの家臣、氏家是近を連れているのみである。
「分かるか?是近」
「何が?でござりましょう」
まだ水の張られていない田に、低く靄が立ち込めていた。忠正は後ろに控えている是近を振り向くと、たちまち身体に纏わりついていた靄が、四方へと不規則に揺らめきながら霧散していった。
「灌漑設備だ」
その時、「殿」「殿!」と忠正を連呼する早馬が駆けてきた。
「何事だ」
城からの使いである。使者は忠正の御前に到着すると、急ぎ馬から降りて辞儀を尽くした。
「は、奥方様が殿の不在にご不安になられ、城中を探しておられます。何とぞ急ぎお帰りを」
使者の弱り果てた声音に、忠正の眉がしかめられた。おそらく初は大騒ぎで城のあちこちを探し廻っているのだろう。
「分かった。是近、馬を」
言うなり忠正はさっと馬上の人となり、急ぎ城へと馬を走らせた。
どかどかと足を踏み鳴らして帰城した忠正を、妻の初が嬉しそうに迎えた。
「何事ですか?初どの」
「ああ初は待ってたのぇ。殿様は今日、初と遊んでくれるお約束ですぇ」
確かに初にねだられ、面倒になった忠正は、そんな約束をしたような気もしたが、不機嫌になるのは隠せなかった。忠正の様子に初仕えの老婆が慌てて、とりなしにかかった。
「まあまあ、初様。御殿様はお忙しいのですから、、お遊び相手でしたら小百合を呼びましょう」
「殿様がいいの」
狼狽えた老婆がしきりに初を宥めるが、初は「殿様がいいの」の一点張りで一向に埒があかない。
必死になだめ続ける老いた初仕えに、「よい」と忠正は片手をあげて制した。
「分かりました。初どのは私と遊びたくて、それで早馬でわざわざ私を捜されたのですね」
忠正は皮肉まじりに渋面をつくったが、初は意に介さず「そうよ」と嬉しそうに微笑んだ。
忠正はやれやれと諦めた体で、「何がなさりたいのですか?」と初の前に座った。初は目を輝かせ、いそいそと道具箱をもってくると、中味をずらりと並べ始めた。どれもこれも、ままごとの遊び具である。
「殿様、どれがいい?」
婚儀をすませても二人はいつもこんな具合だった。初の心はまだまだ無邪気な幼子のままで、初にとっての忠正は夫ではなく、好もしい遊び相手にすぎなかった。
「殿様などと呼ぶな。忠正でよい」
忠正の声はどうしても素っ気なくなる。知能の遅れている初に、殿様と呼ばれると、どうしてか不快になってしまうのだ。
これでは、と忠正の脳裏に先日の柱谷外記の言葉が蘇った。
ーー側仕えか。確かにこれでは誰にでも分かるのだろうな。
夫婦になったといえ相手はこの初である。当然のごとく二人に契りはなく他人であった。
一目瞭然なのだろうな、と忠正は憂鬱になった。
「忠正さま。どれがいい?」
初が熱心に遊戯道具に魅入っている。
「これだ」
忠正はあやとりを無造作に掴むと、乱暴に糸に指を手繰らせた。
柱谷や初に表しがたい憤りを覚えるが、とにかく今は藩政が第一だった。
ーーそうだ。閨のことより今は藩を大事に考えるべきなのだ。そうだ、閨どころではないのだ。
忠正は柱谷の提案をどこか惜しむ自分を叱咤し戒めた。それに勧められるまま側女をおいて、色好みの藩主と噂でもされたら、それこそ堪らない。
初が忠正のつくる鶴が可笑しいと、声をあげて笑っている。
ーーいい気なものだな。
頭では分かっているつもりなのだが、それでも理不尽な思いは拭えない。忠正はやり場のない感情を持て余してしまうのだった。
⋯⋯⋯⋯
「溜池の補修はどうなっておる?」
忠正のぴしりとした声が部屋に響き渡った。執務室にはいつものように、家老の浅川、用人の柱谷、郡奉行の長岡、そして勘定奉行の大見健之介が集められていた。みな一様に緊張した面持ちである。
雪が溶けてすぐに忠正は、山からの清水を溜めている池の補修に取り掛かっていた。季節は若葉の頃を迎え、いよいよ田植えの時期が差し迫っている。
今年の夏も干ばつで田畑がやられたならば、この藩は絶望的状況に追い込まれてしまうだろう。何としても水の確保が最優先的事項であった。
「まことに夏はすぐでございますからな」
浅川半太夫が鶴のように細い身体を、大きく前後に揺すった。
「東と北にある溜池を検分し、水の流出がないか急ぎ調べさせております。既に何か所か見つかり、簡易の処置を施しておりまする」
用人の柱谷外記が簡潔に現段階を報告し、忠正は頷いた。
「ですが、あくまで応急処置にすぎませぬ。改めて補修を致しませんことには、この夏を乗り切るのは難しかろうと存じます。つきましては、殿。修繕用の板が間に合いませぬ」
柱谷の発言に、勘定奉行の大見が慌てたように口を挟んだ。
「とてもとても出せるお金はございません。柱谷さま」
「備蓄米用の蔵板も腐っておりまして、そちらにも板は入り用です」
郡奉行の長岡が沈鬱に進言し、太い猪首を垂れた。しばし部屋に沈黙が降りた。
「まずは溜池が先じゃろうな」
静寂を浅川が破ると、皆一同に頷いた。
「御家老の言う通りでございましょう。収穫がなくば備蓄のしようもかないませぬ」
柱谷がしたりと賛同を示し、忠正を仰ぎみた。
「うむ、溜池が最優先だ。備蓄蔵が使い物にならぬなら、その蔵から使える板を溜池に回せ」
「はは、直ちに」
長岡と大見が柱谷の指示を受けながら早速に退室し、柱谷と浅川が相談しながら後に続いた。これから修繕にかかる人員の編成と手順に取り掛かかるのだ。
忠正はほうっと長い溜息をつくと庭に降り立った。午後の陽が緩やかに山の稜線を浮かび上がらせている。
すると、「忠正さま」とすかさず初の声がかかった。どうやら皆が退室するのを待っていたものらしい。
「忠正さま。御用はおすみかちら?」
「何用ですか?初どの」
「花湯を用意しましたのぇ、初は」
何ですかそれは、とぶっきらぼうに答えて忠正は立ち去ろうとしたが、初が袖を掴んで離さない。
「こっちよ。忠正さま。初が用意ちたのよ」
仕方なく袖を引かれるまま付いていくと、そこは湯殿だった。
「何のまねですか?初どの」
貴方と遊んでいる暇はないのだと、思わず強くなる口調に初が涙ぐんだ。
「初が用意ちたのよ、忠正さま」
「⋯もうよい」
根負けして湯殿に入り、衣類を脱いだ忠正だったが、足を踏み入れて少しばかり驚いた。
そこには湯舟いっぱいに、色とりどりの花弁が浮かんでいた。傾きかけた陽を受けて、赤や黄、薄桃などの色がたうたうように揺らめいている様は、まるで錦絵のように美しい。
忠正はそうっと花びらを流さぬよう湯に身体を滑り込ませると、たちまち花弁が纏わりついてきて、何やらくすぐったい。
目の前にも、ひらひらと黄色や桃色の花びらが降っていた。顔を上げると竹竿に籠が括られており、籠には花びらがこんもりと積まれていた。竹竿が揺れるたびに、1枚1枚と花びらが舞い降りてくる。
ーー良いものだな。
忠正は素直な気持ちで、ゆっくりと手のひらで花びらをすくってみた。
ーーうむ、良いものだ。
花びらから、ほんのりと甘い香りが漂い、忠正はうっとりと瞼を閉じた。
突然、頓狂な声が響いてきた。
「まあまあ、初さま、何てことを!何をなさっておいでですか」
その途端、「きゃあ」と初の短い悲鳴があがり、どさりと籠が頭上から落ちてきて、忠正はすっかり花びらにまみれた。
ーーふむ、初が降らせていたのか。
「ごめんなさい」と、ちっとも悪気のない声が扉のすき間から聞こえてくる。
「よい。いい気持ちだ」
「そうでちよう?忠正さまはいっつも怖いお顔から、ごきげんなおりまちた?忠正さま。忠正さまはお花見していなかったでちよう。初が用意しましたのぇ」
「初さま、はしたのうございます」と追い立てる声がして、初がしきりに言い返している。何を言っているのか聞き取れなかったが、忠正は心の中までもが、じんわりと温もっていくのを覚えた。柔らかく、そして心地よい温かさを全身に感じていた。
ーーふむ、優しい人なのだな。
それに案外と可愛い顔をしておるではないかと、忠正はそっと微笑んだ。
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