騎士団長の溺愛~一途な思い

ブラウン

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婚約破棄

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「ルイーザ、貴様との婚約破棄をする。そしてこの健気でかわいいフローラを婚約者にする」

 学園卒業パーティで私は婚約者であり、この国の第三王子のイーサン様に蔑まれた目で見られた。金髪、バイオレットの瞳。王家特有の瞳だ。王族の血をひくものはバイオレットの瞳を持つ。

 そして隣にはゆるふわな女の子の肩を抱き寄せている。この子は誰?

 目の前にいるイーサン様とは、8歳の時から王命により婚約者となった。王命というよりはイーサン様が私を好きになり、第三王子妃の選考時期と重なり、イーサン様の婚約者となった。現在王家は王太子を決めていないため王子妃は王妃教育も課せられた。王子妃の人となりも王太子選考に加算されるため、王子妃も必死である。
 
 ただただイーサン様のために、イーサン様を補佐するため様々な教育をした。それ以外でも剣術、魔術、語学、影の者たちとの指導もされた。薬学でポーション作りもマスターしていた。いつ、いかなる時でも、対処できるように教育された。本当に辛かった。
 
 王子妃、そして王妃となるものは表情を出してはいけない。常に周囲の動向を把握しなさい、と言われ続けていた。

 現王妃様を見る限り屈託なく笑顔を振りまいている。しかし目は笑っていないことが分かる。国王陛下は、王妃様を愛しているので、笑顔の種類を把握しているらしい。絆が二人にはあるということだ。そういう夫婦になりたいと思っていた。

 イーサン様は私のそういった教育のことを全く知ろうとしない。始めは私のことを好きだったかもしれない。ただ教育が進むにつれ、会う頻度が少なくなり、表情を出さない指導を受けているため、イーサン様と久しぶりにお会いしても、会話は続かず、私に表情がないため、イーサン様はすぐ席を立って出て行ってしまう。

 学園での私は王太子妃教育があるため、すぐ王宮に行ってしまう。イーサン様とは全く会わない日々が続いていた。

 そんな状況のなか、イーサン様は学園でフローラ トリカーブスト男爵令嬢と仲良くなる。きっかけは入学式の時、フローラが木から降りられなくなった猫を助けるため、木に登り、自分が降りられなくなってしまい、イーサン様に助けられた。その時に涙目ながら屈託なく笑うフローラに心を奪われ、次第に愛し合うようになったということだった。そして、私がフローラのことをいじめているという噂が出始めたという。

 私はそれを弟から聞き、何、そのベタな話。それって、私、悪役令嬢ってことになっているの?あれ?悪役令嬢って何?

 それから私の頭に膨大な記憶が流れてきた。そして私は倒れた。

 私は、独身を謳歌していた30歳独身。謳歌していたというのは誇張。仕事に没頭しすぎて振られるパターンがほとんどだった。毎日0過ぎに帰宅。土日出社もある。あの会社はブラック企業だったわね。家と会社の行き来の繰り返し。たまに飲みの行く程度。

 唯一の楽しみは転生小説を読むことだった。そして自分がそこに行ったら何になりたいか妄想することが好きだった。ファンタジー、チート、悪役令嬢。考えたら暗いわね。

 もしも、自分が転生した場合を考えて様々な知識の本を読み、料理もするようになった。あまりにも現実がひどい有様なので精神は現実逃避をしていたのだろう。正直ヤバい状況だった。その状況下の妄想での私は転生したらモブがいいなあ、モブでいいのよ。この小説に転生したら、冒険者ギルドの受付がいいな、食堂兼宿屋の娘がいいなぁ、など妄想をしていた。妄想をしている時は別人になって生活している自分がいる。

 最近、妄想する小説は、悪役令嬢もので第三王子の婚約者だったが、婚約者は別の女性を好きになり、その女性を苛め抜き、婚約破棄、断罪される話だ。でも私は、そこに少しだけ描写に出る不器用な騎士団長との恋を妄想していた。モブの伯爵令嬢と騎士団長。女性騎士と騎士団長。女魔導士と騎士団長。その騎士団長は絶対、恋のお相手。

 その小説の世界観は、細見がイケメン、マッチョは不人気。マッチョは格好いいわよ。筋肉隆々で鍛え抜かれた筋肉。それに抱きしめられる妄想。もう末期よね。

 忙し過ぎて小説も読めない、妄想もできない日々。残業続き寝不足がたたり、工事現場の穴に落ちてしまった。

 そこからの記憶が途切れている。ああ、私、そこでなくなってしまったの?

 私はルイーザ ライラックス。この小説の悪役令嬢となっていた。えええええええええ?


 
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