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学園編-学園武術会
教師(2)
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レインの活躍をそのモニターから見ていた。
一回戦が終了すると……
試合会場に繋がるドアが開錠される音がする。
同時にドアが叩かれ、自分の番かと思ったが……
「……先輩《セティ》……」
不適な笑みでじっとこちらを見ている。
「友達があんたをご指名だ」
そう言ってゲートを開く。
そう目の前に彼女の創り出した扉《トラップ》が広がる。
わざわざ敵の罠《トラップ》に自ら飛び込む……
再び繋がる……学園の何処かにある牢獄。
「レスっ!!」
俺の姿を発見すると慌てて俺のほうに駆け寄ってくる。
「てぇっ」
興奮して鉄格子に触れ、激しい魔力がフィルの身体を襲う。
「おぃ……大丈夫か……」
その言葉をかけるころには……
彼の周囲を漂う瘴気が彼《フィル》の身体に吸収されるように、
身体を回復していく。
「それよりも……前、貸してくれた本、続きないのか?」
そう、俺に尋ねる。
薄暗い部屋……前来たときには無かった、ランプがさっきまで彼が座っていた場所にある。
「あぁ……待ってろ」
自分の趣味に興味を持っている目の前の男に少しだけ嬉しくなっていた。
・
・
・
しばらく貸した本について二人で熱く語っていた……
だが……そんな二人だけの時間もそう許しはしない。
近づく足音……
今さら身を隠すことも、セティの創り出した扉《トラップ》まで戻ることも難しい……
「…………なぜ……あんたが……」
その俺の言葉に……
「……それは、こっちの台詞だ……どうやって此処までたどり着いた……あんたはまだ決勝戦に……」
出会うはずのない人物に驚くように……
「あんたは……勇者《ライト》側……じゃないの……か?」
これまでの出来事を振り返りながら……
「あんたは……学園側の敵としてその身を学園に置いていたんじゃないのか、先生《フレア》!?」
そう……目の前の女性に尋ねる。
「……そうだ、私は魔王《かれ》を抹消するために、国の特殊部隊から派遣されているスパイだよ」
そう自分の招待を明かす。
「……そんなあんたがなぜ一人で……」
その言葉に……少しさびしそうに笑う。
「……そろそろ、消えるんじゃないかって……代えを……」
手にしていたランプを少し上にあげる。
そして、狙ったように鉄格子の中のランプのロウが尽き火が消える。
「……なんで」
敵《あなた》が……魔王《かれ》の世話みたいことを……
「……余りにも呆気なさ過ぎたのさ……」
そう……全ての答えだと言う様に……なんの答えにもならない回答……
「最初は命令《かれ》を遂行《ころす》つもりだったさ……」
そう本人を目の前に……
・
・
・
魔王としての能力《ちから》が発症したのは1年くらい前だ……
自分がそんな存在《まおう》だったんだと思いだしたのはそれくらいだ……
魔王《それ》は世界が討伐する対象だ……
もちろんその理由を担うだけ世界への厄災を振舞う存在だ……
最初は……どうなったのか……知らない。
死しても……その魔王《そんざい》は世界の瘴気を取り込み復活を遂げる。
さすがに人間で言う命を落とすほどの身体の損傷には、
何十年、何百年という月日がかかる。
そして……復活したところで……
数年過ぎる頃には、その年代を生きる勇者が僕を殺しに来る。
繰り返し……
そんな……僕を……
「キミの力が必要だ……わたしたちがキミを保護しよう」
そう……名乗り出たのがこの学園の学園長なる人物。
そして、そんな僕から産まれる瘴気……
世界に危害を加えるそれさえも学園は利用し、
事実……この学園のお陰で魔王による被害は出ていなかった。
だが……それは生徒という被害者を除けばの話だ……
もちろん……世界も……勇者もその存在を許しはしない……
この学園が魔王を隔離している事を知った国は、
ブレイブ家、勇者の血を引く生徒と数名の特殊部隊《フレア》を学園に送り込み調査を開始する。
トップクラスの特殊部隊で訓練を受けた彼女《フレア》に、学園を騙しそこまで潜り込むことなど、割と容易だった。
「……お前が魔王……か」
自分の監視も含めその世話《やくめ》を請け負った教師《フレア》
「だれ……?」
何も信じない目……で彼女を見る。
「フレア=インストラクトだ……」
そう教師は名乗る。
興味なさそうに顔を伏せる。
最小限の会話と……世話……そんな短い二人の生活が始まる。
そして、その運命の日もそう長く無かった。
一週間もしない間……
勇者《ライト》の姿は無い……
最小限の人間……一緒に忍び込んだ特殊部隊の仲間数名を集め……
フレアは魔王《かれ》の居る部屋を訪れる……
そう短い間だった……
多分……それは私《フレア》の勘違いなのだろう……
フレアの訪れに……いつも通り無表情《うれしそう》に……
フレアの裏切りに……いつもの事だと無表情《かなしそう》に……
その瞳がそう一瞬私に告げた気がした……
……目覚めて間もない能力《ちから》とはいえ……
そんな私たちに抗う事くらい簡単なのではないか……
そう疑問に思いながらも……
男は抵抗するそぶりも無い……
「なぜだ……」
そうフレアがフィルに尋ねる……
「なぜ……?その疑問に答えを出せればお前たちは満足するのか……」
そう返される。
死してその魂を構築する間も……生きてこの世界を阻害し続ける事も……
僕の生も死もこの世界と僕の利害は一致しない。
「どうして……」
明らかにフレアが動揺するように……
「躊躇するな……あんたが僕の存在をどう改めようと、僕がこの世界に無意識に及ぼす危害は変わらない」
そう……無表情《かなしそう》に告げる……
「もっと……私たちを脅迫しろっ……もっと……自分に命乞いをしろっ」
そう襟元を掴みあげる。
自分《フレア》にもその言葉の意味が理解できていない……
その資格があるのに……その権利があるのに……
「相応しい言葉は……僕の望まない言葉だ……相応しくない言葉は……誰にも届かない……そう何度も拒絶されてきたんだ……」
全てを悟ったように……全てを諦めたように……
バシンッという音が響き渡り……
自分《フィル》の頬がぶたれたことに気がつくのに少し時間を要した。
「……なんのつもりだ」
そう……フレアを睨み付ける。
「……お前はこんな場所に閉じ込められているが……本来は特別組《わたしのクラス》の生徒だ……教師としての立場として言う」
そう……目の前の魔王《おとこ》を恐れることなく……
「命を大切にしろっ」
そう自分でも矛盾した行為と言葉に笑いそうになる。
自分でも無責任な言葉だと思う……
「……できるわけ……ないだろ……」
そう……無表情で……伝う涙を隠すことなく……フィルが告げる。
「……魔王《おまえ》は……私達《そこらのやつ》よりずっと……人間らしいさ」
そう……フレアが彼に告げ……
「なっなにを」
同じ特殊部隊の一人がそのフレアの行為に驚き声を出す。
館内に響く警報……
壁に設置された警報を鳴らすボタン……ガラスに覆われていたそのボタンをガラスを砕くように拳を振り下ろしボタンを押す。
現れる学園の教師と学園長……
「……学園の侵入者を確保しました」
そうフレアは自首するように、自ら招待を明かす特殊部隊のバッジを掲示するように自分とその仲間を学園に売った。
捕らえられた仲間がどうなったのかはわからない……
裏切った私……もちろん同じ罪を負わなければならない……
「……先生《そのひと》は……これからも僕の世話役として置いてくれ」
そう……フィルが学園長に乞う。
「……なにを……こいつはお前を……」
殺すためにいるような人間だぞと……忠告する。
「……いいと言っている……」
それが僕がお前らに協力する条件だと……
それが……学園が彼女《フレア》に迂闊に処罰できない理由……
それでも、どうにか彼女《フレア》を処分したい学園は、
あらゆる、学園の競技などに理由をつけ、彼女を学園から追い出そうとしてきた……
・
・
・
そんな話をフレアが語る……
……学園が彼女をその権限で処罰できなかった理由が……
人のことが言える立場じゃない……それでも……
「あんた……何がしたいんだよっ」
そうフレアに言っていた……
「……俺に……特別組《おれたち》に揃って卒業しようって話してくれたんじゃなかったのかよ!」
そう感情的に言う……が……
彼女は確か……そんな事は口にしていない……
彼女の言葉を勝手にそう俺が汲み取っただけだ……
「やめろっ……やめてくれっ」
そうフレアも感情的に叫び
「……短い……お前と同じで私の教師生活など……本業のオマケのようなもので……特別組《おまえたち》など……どうでもいいはずだった……」
そう叫ぶ。
「どうせ……仲間《どうりょう》を裏切った私は……学園の外に出ればその身を追われる立場だ……」
そう自分には、学園にもその外にも居場所が無いと自覚する。
「わからない……わからないんだっ……いくら考えても、魔王《こいつ》もお前たちも……特別組《みんな》を守る方法がわからないんだよっ」
そう感情的に……
「……いくら、方法を考えても魔王とお前たちを天秤に架ける手段しか……出てこないんだよ、両方を助けるなんて方法がないんだよ」
……そう叫ぶ。
「……その瘴気を止める方法が無い限り……どうしても魔王《こいつ》は世界に共存できない……そして……そんな彼を生徒を学園が利用し続ける……」
そう……嘆くように……
「……簡単だよ……断つべきものは……目の前にある」
そう……俺達《ふたり》が見つめる己《もの》を指す。
頭では必死に否定する……
それでも……その場の沈黙は、その答えを物語っている……
両方守る方法があるのなら……とっくにそうしている……
そうしていただろう……
……決断しろよ……俺《レス》……
扉《トラップ》を潜り……個室に戻る……
自分《おれ》を信じ……戦っている友《ヴァニ》の姿がある……
答えは……決まっている。
俺の目的《こたえ》は彼ら……彼女たちを英雄にする……
この世界で俺はそう約束《ちかった》した。
一回戦が終了すると……
試合会場に繋がるドアが開錠される音がする。
同時にドアが叩かれ、自分の番かと思ったが……
「……先輩《セティ》……」
不適な笑みでじっとこちらを見ている。
「友達があんたをご指名だ」
そう言ってゲートを開く。
そう目の前に彼女の創り出した扉《トラップ》が広がる。
わざわざ敵の罠《トラップ》に自ら飛び込む……
再び繋がる……学園の何処かにある牢獄。
「レスっ!!」
俺の姿を発見すると慌てて俺のほうに駆け寄ってくる。
「てぇっ」
興奮して鉄格子に触れ、激しい魔力がフィルの身体を襲う。
「おぃ……大丈夫か……」
その言葉をかけるころには……
彼の周囲を漂う瘴気が彼《フィル》の身体に吸収されるように、
身体を回復していく。
「それよりも……前、貸してくれた本、続きないのか?」
そう、俺に尋ねる。
薄暗い部屋……前来たときには無かった、ランプがさっきまで彼が座っていた場所にある。
「あぁ……待ってろ」
自分の趣味に興味を持っている目の前の男に少しだけ嬉しくなっていた。
・
・
・
しばらく貸した本について二人で熱く語っていた……
だが……そんな二人だけの時間もそう許しはしない。
近づく足音……
今さら身を隠すことも、セティの創り出した扉《トラップ》まで戻ることも難しい……
「…………なぜ……あんたが……」
その俺の言葉に……
「……それは、こっちの台詞だ……どうやって此処までたどり着いた……あんたはまだ決勝戦に……」
出会うはずのない人物に驚くように……
「あんたは……勇者《ライト》側……じゃないの……か?」
これまでの出来事を振り返りながら……
「あんたは……学園側の敵としてその身を学園に置いていたんじゃないのか、先生《フレア》!?」
そう……目の前の女性に尋ねる。
「……そうだ、私は魔王《かれ》を抹消するために、国の特殊部隊から派遣されているスパイだよ」
そう自分の招待を明かす。
「……そんなあんたがなぜ一人で……」
その言葉に……少しさびしそうに笑う。
「……そろそろ、消えるんじゃないかって……代えを……」
手にしていたランプを少し上にあげる。
そして、狙ったように鉄格子の中のランプのロウが尽き火が消える。
「……なんで」
敵《あなた》が……魔王《かれ》の世話みたいことを……
「……余りにも呆気なさ過ぎたのさ……」
そう……全ての答えだと言う様に……なんの答えにもならない回答……
「最初は命令《かれ》を遂行《ころす》つもりだったさ……」
そう本人を目の前に……
・
・
・
魔王としての能力《ちから》が発症したのは1年くらい前だ……
自分がそんな存在《まおう》だったんだと思いだしたのはそれくらいだ……
魔王《それ》は世界が討伐する対象だ……
もちろんその理由を担うだけ世界への厄災を振舞う存在だ……
最初は……どうなったのか……知らない。
死しても……その魔王《そんざい》は世界の瘴気を取り込み復活を遂げる。
さすがに人間で言う命を落とすほどの身体の損傷には、
何十年、何百年という月日がかかる。
そして……復活したところで……
数年過ぎる頃には、その年代を生きる勇者が僕を殺しに来る。
繰り返し……
そんな……僕を……
「キミの力が必要だ……わたしたちがキミを保護しよう」
そう……名乗り出たのがこの学園の学園長なる人物。
そして、そんな僕から産まれる瘴気……
世界に危害を加えるそれさえも学園は利用し、
事実……この学園のお陰で魔王による被害は出ていなかった。
だが……それは生徒という被害者を除けばの話だ……
もちろん……世界も……勇者もその存在を許しはしない……
この学園が魔王を隔離している事を知った国は、
ブレイブ家、勇者の血を引く生徒と数名の特殊部隊《フレア》を学園に送り込み調査を開始する。
トップクラスの特殊部隊で訓練を受けた彼女《フレア》に、学園を騙しそこまで潜り込むことなど、割と容易だった。
「……お前が魔王……か」
自分の監視も含めその世話《やくめ》を請け負った教師《フレア》
「だれ……?」
何も信じない目……で彼女を見る。
「フレア=インストラクトだ……」
そう教師は名乗る。
興味なさそうに顔を伏せる。
最小限の会話と……世話……そんな短い二人の生活が始まる。
そして、その運命の日もそう長く無かった。
一週間もしない間……
勇者《ライト》の姿は無い……
最小限の人間……一緒に忍び込んだ特殊部隊の仲間数名を集め……
フレアは魔王《かれ》の居る部屋を訪れる……
そう短い間だった……
多分……それは私《フレア》の勘違いなのだろう……
フレアの訪れに……いつも通り無表情《うれしそう》に……
フレアの裏切りに……いつもの事だと無表情《かなしそう》に……
その瞳がそう一瞬私に告げた気がした……
……目覚めて間もない能力《ちから》とはいえ……
そんな私たちに抗う事くらい簡単なのではないか……
そう疑問に思いながらも……
男は抵抗するそぶりも無い……
「なぜだ……」
そうフレアがフィルに尋ねる……
「なぜ……?その疑問に答えを出せればお前たちは満足するのか……」
そう返される。
死してその魂を構築する間も……生きてこの世界を阻害し続ける事も……
僕の生も死もこの世界と僕の利害は一致しない。
「どうして……」
明らかにフレアが動揺するように……
「躊躇するな……あんたが僕の存在をどう改めようと、僕がこの世界に無意識に及ぼす危害は変わらない」
そう……無表情《かなしそう》に告げる……
「もっと……私たちを脅迫しろっ……もっと……自分に命乞いをしろっ」
そう襟元を掴みあげる。
自分《フレア》にもその言葉の意味が理解できていない……
その資格があるのに……その権利があるのに……
「相応しい言葉は……僕の望まない言葉だ……相応しくない言葉は……誰にも届かない……そう何度も拒絶されてきたんだ……」
全てを悟ったように……全てを諦めたように……
バシンッという音が響き渡り……
自分《フィル》の頬がぶたれたことに気がつくのに少し時間を要した。
「……なんのつもりだ」
そう……フレアを睨み付ける。
「……お前はこんな場所に閉じ込められているが……本来は特別組《わたしのクラス》の生徒だ……教師としての立場として言う」
そう……目の前の魔王《おとこ》を恐れることなく……
「命を大切にしろっ」
そう自分でも矛盾した行為と言葉に笑いそうになる。
自分でも無責任な言葉だと思う……
「……できるわけ……ないだろ……」
そう……無表情で……伝う涙を隠すことなく……フィルが告げる。
「……魔王《おまえ》は……私達《そこらのやつ》よりずっと……人間らしいさ」
そう……フレアが彼に告げ……
「なっなにを」
同じ特殊部隊の一人がそのフレアの行為に驚き声を出す。
館内に響く警報……
壁に設置された警報を鳴らすボタン……ガラスに覆われていたそのボタンをガラスを砕くように拳を振り下ろしボタンを押す。
現れる学園の教師と学園長……
「……学園の侵入者を確保しました」
そうフレアは自首するように、自ら招待を明かす特殊部隊のバッジを掲示するように自分とその仲間を学園に売った。
捕らえられた仲間がどうなったのかはわからない……
裏切った私……もちろん同じ罪を負わなければならない……
「……先生《そのひと》は……これからも僕の世話役として置いてくれ」
そう……フィルが学園長に乞う。
「……なにを……こいつはお前を……」
殺すためにいるような人間だぞと……忠告する。
「……いいと言っている……」
それが僕がお前らに協力する条件だと……
それが……学園が彼女《フレア》に迂闊に処罰できない理由……
それでも、どうにか彼女《フレア》を処分したい学園は、
あらゆる、学園の競技などに理由をつけ、彼女を学園から追い出そうとしてきた……
・
・
・
そんな話をフレアが語る……
……学園が彼女をその権限で処罰できなかった理由が……
人のことが言える立場じゃない……それでも……
「あんた……何がしたいんだよっ」
そうフレアに言っていた……
「……俺に……特別組《おれたち》に揃って卒業しようって話してくれたんじゃなかったのかよ!」
そう感情的に言う……が……
彼女は確か……そんな事は口にしていない……
彼女の言葉を勝手にそう俺が汲み取っただけだ……
「やめろっ……やめてくれっ」
そうフレアも感情的に叫び
「……短い……お前と同じで私の教師生活など……本業のオマケのようなもので……特別組《おまえたち》など……どうでもいいはずだった……」
そう叫ぶ。
「どうせ……仲間《どうりょう》を裏切った私は……学園の外に出ればその身を追われる立場だ……」
そう自分には、学園にもその外にも居場所が無いと自覚する。
「わからない……わからないんだっ……いくら考えても、魔王《こいつ》もお前たちも……特別組《みんな》を守る方法がわからないんだよっ」
そう感情的に……
「……いくら、方法を考えても魔王とお前たちを天秤に架ける手段しか……出てこないんだよ、両方を助けるなんて方法がないんだよ」
……そう叫ぶ。
「……その瘴気を止める方法が無い限り……どうしても魔王《こいつ》は世界に共存できない……そして……そんな彼を生徒を学園が利用し続ける……」
そう……嘆くように……
「……簡単だよ……断つべきものは……目の前にある」
そう……俺達《ふたり》が見つめる己《もの》を指す。
頭では必死に否定する……
それでも……その場の沈黙は、その答えを物語っている……
両方守る方法があるのなら……とっくにそうしている……
そうしていただろう……
……決断しろよ……俺《レス》……
扉《トラップ》を潜り……個室に戻る……
自分《おれ》を信じ……戦っている友《ヴァニ》の姿がある……
答えは……決まっている。
俺の目的《こたえ》は彼ら……彼女たちを英雄にする……
この世界で俺はそう約束《ちかった》した。
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