家に帰ると推しがいます。

4.同棲

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　風呂を出る頃には、身体はすっかり温まっていた。スウェットとTシャツに着替えた総司は、キッチンへと移動する。
　置かれていた皿にはラップが掛かっていて、黄色が透けて見えていた。

「すごい、オムライス！」

　ラップを剥がすと、綺麗な楕円形のオムライスが現われた。まだ温かさが残っているので、そのまま食べることにする。
　リビングのローテーブルへと移動し、テレビをつけた。適当なバラエティを選ぶ。オムライスの写真を忘れずに撮り、スプーンで一口食べた。

「うん、美味しい」

　総司は一人呟いた。
　卵は柔らかく、とろりとしている。卵の下のケチャップライスには、チキンやにんじん、コーンが入っていた。総司はオムライスに夢中になり、あっという間に平らげた。
　その後は満足感に浸りながら、テレビやドラマを見て、のんびりと過ごす。

「そろそろ寝るか……」

　独り言をつぶやき、総司は寝床の準備をする。
　イオが来てから基本的には、イオが寝室のベッドで、総司がリビングの端っこで雑魚寝している。雑魚寝と言っても、敷布団を引いているので、寝心地は悪くない。
　イオに言われた通り、洗濯機を回しておいた総司は、布団に倒れ込んだ。重い身体が布団に沈む。ゴロゴロと寝転がりながら、スマホを見ていると、寝室のドアが少し開いていることに気付いた。

（珍しい……）

　イオが来るまでは、寝室とリビングの間のドアは開けっ放しだった。しかし、寝室の主がイオになってからは、イオがきっちりと閉めていることがほとんどだ。総司としても、ドアは閉めてもらったほうがありがたい。

（バイト前で慌ててたのかな）

　総司は起き上がって、ドアに近づく。そのまま閉めようと思ったが、ほんの少し興味が湧いた。中を見たくなったのだ。

（いや、駄目だろ）

　首を振り、ドアの取手を掴み、閉めようとする。が、意思に反して、手は動かない。取手を掴んだまま、総司は熟考することになる。

（もともとは俺の部屋なんだから、中を見るくらい大丈夫だって。でも、今はイオくんが使ってるんだから、勝手に見るのは失礼だ。もし、部屋が荒らされてたらどうする？イオくんはそんなことしない！）

　心の中で、自らと押し問答をした後、総司は寝室に入ることに決めた。興味が抑えられなかったのだ。

（イオくん、ごめん）

　謝ったところで意味はないが、総司はイオに謝罪の念を飛ばして、ドアを開けた。