息抜きで異世界へ

どらいあい

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閑話 女神ネビウス

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 ふうっ今回はテンバー地方での冒険を楽しめたな。僕は今草原とほぼ一体化した電車の傍にいる。
 テントやらなんやらを片付けてリュックサックにしまう、そろそろ一度日本に戻ろうと思うのだ。

 冒険者ギルドやマコラ、それとポンコツちゃんにも少しの間アガーム大陸から離れる事は説明してある。息抜きは異世界アレクサンドで十分に出来たのでここからは社会人おじさんとしてまた頑張ろうかと思っている。

 リュックサックを背負い、動きそうもない電車に乗り込む。適当な席に腰を降ろす。
「…………それじゃあネビウス様、お願いします」

『───分かったよ~』
 電車の窓から見える景色が一変した。
 窓から見えるのはいつぞや見た青空と違いオレンジ色の夕焼け空。あと眼下には何処までも続く水平線である。

 電車も普通の一両車に戻り、当たりまでのように線路もない空を進んでいる。しばし空の旅を楽しむと下に見覚えのある駅が見えてきた。
 電車はその駅で止まる、僕が降りると電車の扉が閉まり再び発車した。

 電車は空を進みやがて小さな点となるのだろう。
 僕は駅で待つ女神ネビウス様に話し掛けた。
「こんにちは、ネビウス様」
『うんっこんにちは。今回の冒険も色々大変だったみたいだね』

「今回は死にかけましたからね~」
『油断大敵だよ?幾ら私の持ち物を貸してると言っても君はあっさり死ぬ人間なんだからね?』

 ネビウス様には向こうでした冒険の話をテントで休む時に色々と話している。心配をかけてしまった様だ。
「すみません、今後は気をつけます」
『うんうん、はじめ君が死んだら僕にご馳走を用意してくれる人が居なくなるか困るんだからね』

 僕は異世界アレクサンドでゲットした様々な食材を入れた物が一切劣化しない魔法のリュックサックに入れている。
 それらは女神ネビウス様に振る舞う為に集めている、生き返らせたり異世界に行かせてもらっているのでそれの御礼のつもりなのだ。

 ………と言っても大半は飯処とかで調理された物をタッパーに入れてあるだけである。僕の素人料理よりも遥かに美味いから仕方ないよね。

「それじゃあ早速準備しますね、今回は色々と料理をしてもらいましたよ」
『それは楽しみだね~』

 お皿を用意してタッパーを並べる、中の料理を更に盛り付けるのが僕の主な仕事だ。
 名刀秋刀魚に特選王マツタケ、他にもほんのり甘芋や栗魔導師の栗などもある。あとは洞窟サザエとか魔物キノコ達もだ。

 マツタケご飯や栗の甘露煮に焼き秋刀魚にキノコたっぷりのシチューにサザエのつぼ焼き、豊富な秋の味覚の料理が並ぶ。それを美味そうに食べていくネビウス様である。
 僕も料理を戴く、うんうん美味いね。

 そして料理を食べ終わる頃にはこの不思議な駅の回りは真っ暗になっていた。しかし夜空は満天の星空なので足元が普通に見えるくらい明るい。

 僕は星空を見上げる、本当にここは不思議な空間だ。ネビウス様が創った空間なのかな?まあ説明されても僕には分からないけど。
『はじめ君、そろそろ元の世界に帰るかい?』
「はいっそれじゃあお願いします」

『それで?今度はいつ頃ここに来るつもりなんだい?』
「そうですね……正直しばらくは日本で仕事に集中するつもりですね。今回は少し大変でしたけど十分に息抜きにはなりましたし」

 今は日本は秋、今度来るのは冬かな?十二月に入ってからだとおもうんだよね。
『そう……ならその時を楽しみにしてるよ。頑張って働きなよ。はじめ君』

 ネビウス様みたいな美人な女神に応援されると、不思議とストレスと疲れしかない仕事も頑張ろうって気分になる。
「はい、またアレクサンドで心置きなく息抜きをしたいですからね」

 そしてネビウス様が指をならす、女神様の力で気がついたら日本のアパートの狭い部屋にいた。
 駅の掲示板に書いて貼っておいた日に戻って来てるのでこれから冬まで頑張って働く事になる。

 今日は休みだ。戻る時間は午前五時と書いていたのでスマホを確認すると確かに午前五時だった。

「よしっ早速………寝るか」

 頑張るのは明日からである。
 
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