62 / 100
第62話
しおりを挟む
その日、私はある仕事を済ませた。
「お世話になりました、失礼します」
そう言い、アパートの大家さんの部屋から出る。
私はこのアパートから出ることにした。
まあ元から資金難を理由にここに引っ越して来たのでそれがダンジョンによって解決したのなら出て行くのは普通の事だ。
ダンジョンで手に入る資源をコツコツとダンジョンセンターでお金に換え、そして貯金を増やしていたのだ。
ハルカもアヤメもある程度物欲が満たされるとそこまで何か欲しいという事は言わなくなったからね。
おかげで引っ越しに必要な資金も難なく貯まった。
勿論工藤さんや高校生探索者の彼女たちが日曜やたまには平日の放課後に来て採取をしてくれたおかげだ。
アルバイト代はしっかり払わせてもらっている。
アパートを出た私は後ろを歩くハルカに声をかける。
「ハルカ、あの場所に瞬間移動を頼めるかな?」
「ええっ構わないわ」
ハルカがスキルを発動すると視界が一変した。
気がつくと私は日本のとある山奥、そこにある一軒家に来ていた。
ここは私が買った新居である。
ダンジョンセンターへの近さとかならアパートの方が良いのだが、せっかくハルカが瞬間移動を使えるのならこんな風に田舎の山奥にあるようなあのテレビにでも取材を受けそうな一軒家に引っ越しするのもアリかと思ったのだ。
元から理想の一つとして働いてお金に余裕が出来たら田舎の一軒家でのんびりスローライフとかいいねっとそんな夢を見た事もあったし。
当たり前だが実際には色々と田舎には田舎の問題があったりする。
そう言うのを避けるために山奥のこの一軒家に来たのだ。
1人、なんの憂いもなく生活する。
なんかそう言うのに憧れるのが男という生き物なんだ。
「ヒロキ君~本当にここに住むの? 結構虫とか多いわよ?」
「アヤメ、家の中の掃除はもう済んでるかしら?」
家から中から表れたアヤメ、事前にハルカに送ってもらい家の中の内見と掃除を頼んでいたのだ。
ハルカの言葉にアヤメは明後日の方向を見て視線を泳がせてる。
あの様子だと内見はともかく掃除はしていないな。
あともう買ったので内見というのもおかしな話だった。
元から色々な物件を見て回っていて見つけたこの一軒家、周囲に他の人が全く住んでいないという私の求める条件にピッタリだったので直ぐに購入に踏み切った。
まだ荷物とかは運び込んでいないが基本的にあのアパートにあった大半の物はダンジョンの拠点に運び込んでいる。
後は冷蔵庫とか着替えとかをこちらに持ってくればいいだろう。
無論ハルカに助けてもらうつもりだ。
洗濯機は新しいのを買おうと思っている。
「とりあえず今日は家の中を可能な限り 掃除しようと思う、そしてバルさんを使って家の中の虫を殲滅する」
「なんなのそれ?」
家の中の虫を殲滅させるための必殺のアイテムである。
まだ本格的な生活を始める前の今だからこそ躊躇なく使えるアイテムの一つだ。
あとは家の周りに長期間殺虫効果を発揮するタイプの粉状の殺虫剤とか撒いて可能な限り虫たち侵入を阻止しようと思っている。
「ハルカ、悪いけど瞬間移動で買い物に行って欲しいんだ。殺虫剤とバルさんを買ってきて欲しい、その間に私たちは家の中が掃除をする」
「こんな山の中の家を買ったというのに虫に対しての殺意をすごく感じるわね~ヒロキ君…」
それは仕方がないよ。
田舎でのんびりしたい、自然の中で生活したいというのと虫と一緒に生きていきたいというのは全く別の話だ。
虫はノーサンキュー。
わがままかもしれないがそれが人間ってものなのさ。
「分かったわ、ついでに何か食べ物も買ってこようかしら…」
「食べ物ならワタシがキューブ化したやつがいくらでもあるじゃない」
「こっちのコンビニには今まで食べたことないものとかも置いてるかもしれないでしょ? そういうの買ってこようと思うの」
「確かにそれは一理あるわね…」
ダンジョンコアであるハルカとアヤメの食への探究心は大したものだ、日夜スマホでその手の動画を見ては研究をしている。
家の中に入る。
そこにはバケツや雑巾やほうき等が並んでいた。
事前にこっちに持ってきていたお掃除道具だ。
一応は売りに出されていた家なので完全放置というわけではない、家の周りの雑草とかは綺麗に抜いてあったのだが、家の中となると若干ね…。
そこはまあ新築一軒家とかではないのでしょうがない。
値段もだいぶお手頃価格だったし。
「それじゃあ掃除を始めようか」
「了解~!」
ダンジョンの方じゃなく、地球の方での夢のスローライフへ向けての第一歩だ、頑張ろう。
「お世話になりました、失礼します」
そう言い、アパートの大家さんの部屋から出る。
私はこのアパートから出ることにした。
まあ元から資金難を理由にここに引っ越して来たのでそれがダンジョンによって解決したのなら出て行くのは普通の事だ。
ダンジョンで手に入る資源をコツコツとダンジョンセンターでお金に換え、そして貯金を増やしていたのだ。
ハルカもアヤメもある程度物欲が満たされるとそこまで何か欲しいという事は言わなくなったからね。
おかげで引っ越しに必要な資金も難なく貯まった。
勿論工藤さんや高校生探索者の彼女たちが日曜やたまには平日の放課後に来て採取をしてくれたおかげだ。
アルバイト代はしっかり払わせてもらっている。
アパートを出た私は後ろを歩くハルカに声をかける。
「ハルカ、あの場所に瞬間移動を頼めるかな?」
「ええっ構わないわ」
ハルカがスキルを発動すると視界が一変した。
気がつくと私は日本のとある山奥、そこにある一軒家に来ていた。
ここは私が買った新居である。
ダンジョンセンターへの近さとかならアパートの方が良いのだが、せっかくハルカが瞬間移動を使えるのならこんな風に田舎の山奥にあるようなあのテレビにでも取材を受けそうな一軒家に引っ越しするのもアリかと思ったのだ。
元から理想の一つとして働いてお金に余裕が出来たら田舎の一軒家でのんびりスローライフとかいいねっとそんな夢を見た事もあったし。
当たり前だが実際には色々と田舎には田舎の問題があったりする。
そう言うのを避けるために山奥のこの一軒家に来たのだ。
1人、なんの憂いもなく生活する。
なんかそう言うのに憧れるのが男という生き物なんだ。
「ヒロキ君~本当にここに住むの? 結構虫とか多いわよ?」
「アヤメ、家の中の掃除はもう済んでるかしら?」
家から中から表れたアヤメ、事前にハルカに送ってもらい家の中の内見と掃除を頼んでいたのだ。
ハルカの言葉にアヤメは明後日の方向を見て視線を泳がせてる。
あの様子だと内見はともかく掃除はしていないな。
あともう買ったので内見というのもおかしな話だった。
元から色々な物件を見て回っていて見つけたこの一軒家、周囲に他の人が全く住んでいないという私の求める条件にピッタリだったので直ぐに購入に踏み切った。
まだ荷物とかは運び込んでいないが基本的にあのアパートにあった大半の物はダンジョンの拠点に運び込んでいる。
後は冷蔵庫とか着替えとかをこちらに持ってくればいいだろう。
無論ハルカに助けてもらうつもりだ。
洗濯機は新しいのを買おうと思っている。
「とりあえず今日は家の中を可能な限り 掃除しようと思う、そしてバルさんを使って家の中の虫を殲滅する」
「なんなのそれ?」
家の中の虫を殲滅させるための必殺のアイテムである。
まだ本格的な生活を始める前の今だからこそ躊躇なく使えるアイテムの一つだ。
あとは家の周りに長期間殺虫効果を発揮するタイプの粉状の殺虫剤とか撒いて可能な限り虫たち侵入を阻止しようと思っている。
「ハルカ、悪いけど瞬間移動で買い物に行って欲しいんだ。殺虫剤とバルさんを買ってきて欲しい、その間に私たちは家の中が掃除をする」
「こんな山の中の家を買ったというのに虫に対しての殺意をすごく感じるわね~ヒロキ君…」
それは仕方がないよ。
田舎でのんびりしたい、自然の中で生活したいというのと虫と一緒に生きていきたいというのは全く別の話だ。
虫はノーサンキュー。
わがままかもしれないがそれが人間ってものなのさ。
「分かったわ、ついでに何か食べ物も買ってこようかしら…」
「食べ物ならワタシがキューブ化したやつがいくらでもあるじゃない」
「こっちのコンビニには今まで食べたことないものとかも置いてるかもしれないでしょ? そういうの買ってこようと思うの」
「確かにそれは一理あるわね…」
ダンジョンコアであるハルカとアヤメの食への探究心は大したものだ、日夜スマホでその手の動画を見ては研究をしている。
家の中に入る。
そこにはバケツや雑巾やほうき等が並んでいた。
事前にこっちに持ってきていたお掃除道具だ。
一応は売りに出されていた家なので完全放置というわけではない、家の周りの雑草とかは綺麗に抜いてあったのだが、家の中となると若干ね…。
そこはまあ新築一軒家とかではないのでしょうがない。
値段もだいぶお手頃価格だったし。
「それじゃあ掃除を始めようか」
「了解~!」
ダンジョンの方じゃなく、地球の方での夢のスローライフへ向けての第一歩だ、頑張ろう。
3
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ
ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。
見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は?
異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。
鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双
四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。
「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。
教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。
友達もなく、未来への希望もない。
そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。
突如として芽生えた“成長システム”。
努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。
筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。
昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。
「なんであいつが……?」
「昨日まで笑いものだったはずだろ!」
周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。
陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。
だが、これはただのサクセスストーリーではない。
嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。
陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。
「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」
かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。
最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。
物語は、まだ始まったばかりだ。
死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜
のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、
偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。
水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは――
古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。
村を立て直し、仲間と絆を築きながら、
やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。
辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、
静かに進む策略と復讐の物語。
【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~
ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。
王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。
15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。
国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。
これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる