マイダンジョン育成中

どらいあい

文字の大きさ
63 / 100

第63話

しおりを挟む
「……ふう疲れた」

 何とか家の掃除が一段落ついた。
 掃除道具箱を洗ったり片付けたりしながらハルカを待つ。
 するとちょうどいいタイミングでハルカが戻ってきた。

「どう掃除の方は終わった?」

「今一段落ついたところだよ」

「そうっお疲れ様、それじゃあお昼ご飯を買ってきたから食べましょうか」

「賛成、ワタシもお腹ペコペコだよ~」

 そして私たちはお昼ご飯を食べる。
 何か新しい物をみたいな話をしていたけど特に目新しいやつはなかったんだな。

 私は生姜焼き弁当。
 ハルカは唐揚げ弁当。
 アヤメはカツ丼を渡される。
 それぞれの好みをハルカが熟知しているので特に文句はなかった。

 そしてお昼ご飯を食べ終わり一息つく。
  ハルカには頼んでおいた殺虫剤とかバルさんとかも買ってきてくれていた。

 これでこの家の中にまだ隠れているかもしれない虫たちを殲滅出来る。

「それじゃあこの殺虫剤の粉を家の周りに巻いてくるよ」

「その殺虫剤って効果があるの?」

「結構効果があるさ、これを使って地上からの虫の侵入を防いでそしてバルさんを使って家の中にいる虫たちを殲滅するんだ」

 このコンボで大抵の虫は掃除されるだろう。

 だが問題は空を飛んでくるタイプだな。
 こいつに関してはどうしようもないのでいざとなればハルカかアヤメにあの銃になってもらい、窓とかから侵入してきた虫は撃ち払うしかないな。

 そんな物騒なことを考えながら殺虫剤を手にして家の周りを歩く。
 ぐるっと回ってみるとわかるが、やっぱりそこまで大きな家というわけではないな。

 ラグネシアのあのご立派すぎるお城を見た時にも思ったが、やっぱり私みたいな小市民にはこのくらいの大きさの家で十分なのだ。

 何と言うか大きすぎる家は心が落ち着かないし寝付きが悪くなりそうな気がするものなのだ。
 こういう家の方が落ち着くのである。
 ダンジョンゲートを使えばいつでもダンジョンには行けるわけだしね。

 わざわざあのアパートに工藤さんたち に来てもらってダンジョンに行くというのも変に目立っている気がしたからな…悪い意味で。

 だからこそ引っ越しして周囲に他の人がいない一軒家を探したのだ。
 周りの人間の視線を気にするのは本当に気疲れするからね。

 ストレス社会を生きてるから仕方のないかもしれないけど、そんな感じだからこそダンジョンで生活する時間の方が少しずつ多くなってしまうのだろう。
 恐るべしストレス社会。

「……よしっ殺虫剤の散布も終わったし今日する仕事はこれで終わりかな、後はもうバルさんをセッティングしてダンジョンの方でゆっくり休もうか」

 と思っていた時である。
 私のスマホに電話があった。

「はいもしもし一河です」

 その電話の相手は工藤さんである。
 いくら私でも非通知だったり知らない電話番号にそんなホイホイ出たりはしない。

「もしもし一河さんですか?」

「はいそうですけど…」

「実は少し相談したいことがあってお電話させてもらいました」

「何ですか?」

 工藤さんが私に相談だなんて珍しいことがあるものだ。

 もちろん彼女には日頃ダンジョンの採取を手伝ってもらったりよくわからないダンジョン資源の知識についても教えてもらったりと色々お世話になっているし何かしら手を貸せることがあれば力になりたい。
 そして工藤さんからの話というのに私は耳を傾けた。

「……月城さんですか?」

「はいそうなんです、実は彼女が…」

 月城さんは覚えている。
 私がダンジョンセンターに行くと受付 を担当している職員さんだ。

 金髪碧眼の綺麗な女性で私がダンジョン探索者として初心者用のダンジョン講習を受けた時にそこの教官役をしていた女性である。

 そういう意味では意外とお世話になっているかもと思える人だ。

 まあその時には既にダンジョンをゲットしてしまった私はダンジョン探索者として他のダンジョンに行くこともなく今に至るわけだが…。

 まあそれはいいだろう。
 「彼女がどうかしたんですか?」とさらに質問したら工藤さんが説明してくれた。
 どうも月城さん、ダンジョンセンターで働いていたら直属の上司が変わったらしい。
 しかもその上司が結構に中々な人物らしく日々ストレスが溜まっているそうだ。

 元よりダンジョン探索者である工藤さんと月城さんは見知った間柄らしく一緒に話をすることもたまにあるらしく、そんな時に彼女から愚痴がみたいな話を聞かされたとか。

 ただ近頃はそれでも限界らしく今の仕事を転職すべきかどうか真剣に相談されたらしい。

 そこになぜ私の元に話が回ってきたかというと今の月城さんに必要なのは疲れた心を癒してくれるストレスフリーな場所なのではと思ったそうだ。

 つまるところ我がダンジョンのセラピーパワーを使って彼女の心を癒してあげたいという話である。
 要は月城さんを我がダンジョンに招待してあげてもいいかって話ね。

 個人的には別に良いと思う、月城さんについてそこまで知ってる訳じゃないけどこの社会は下で働く人間にはどこまでも容赦がない事は知っているのだ。

 私は早々にリタイヤした社会、そんな社会で日々を頑張る彼女は素直に凄いと思う、そんな人の助けになるのなら喜んで我がダンジョンに招待したい。
 …それに月城さんは美人だしね、おっと本音が…いけませんな。

 しかしこれは私個人の意見だ。
 やはりハルカとアヤメにも話をするしかないな。

 工藤さんには2人に話をするので一度電話を切る旨を伝えスマホをしまった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ

ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。 見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は? 異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。 鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。

スライム退治専門のさえないおっさんの冒険

守 秀斗
ファンタジー
俺と相棒二人だけの冴えない冒険者パーティー。普段はスライム退治が専門だ。その冴えない日常を語る。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双

四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。 「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。 教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。 友達もなく、未来への希望もない。 そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。 突如として芽生えた“成長システム”。 努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。 筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。 昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。 「なんであいつが……?」 「昨日まで笑いものだったはずだろ!」 周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。 陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。 だが、これはただのサクセスストーリーではない。 嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。 陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。 「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」 かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。 最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。 物語は、まだ始まったばかりだ。

死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜

のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、 偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。 水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは―― 古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。 村を立て直し、仲間と絆を築きながら、 やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。 辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、 静かに進む策略と復讐の物語。

【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~

ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。 王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。 15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。 国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。 これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。  

処理中です...