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第66話
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とてもめんどくさそうな相手であった黒山が消えて私たちはダンジョンセンターを後にした。
しかし上司である黒山とのやり取りを考えると後で月城さんには謝罪しておく必要があるかな。
あの手の人間は蛇か何かみたいに自身がやられた事を忘れずに復讐する機会を狙う輩がいるからね。
しかしその話は後にしよう。
ハルカに頼んで人目がないところで瞬間移動を使ってもらい、まずは私が買った新居にご案内する。
「あっ明かりが全くありません」
街灯とかないからね、家の明かりだけがある闇の世界。
それが田舎の山の上である。
「ここは田舎の山の中ですから」
「へえっけど結構いい感じの家ですね…」
「ありがとうございます」
電気をつけてスタンバっていた我が家を工藤さんに褒められてちょっと嬉しい。
ちなみに月城さんにはハルカが瞬間移動を使えることを話した時もだいぶ驚かれた。
ここで先ほどの黒山とやらとのやり取りについては謝罪しておこう。
流石にああいう真似をすると今後の月城さんの立場にもマイナスな影響があると思ったからな。
しかし月城さんはむしろちょっとスッキリしましたと言われてしまった。
今以上に悪くなる事が特に思い浮かばないそうだ。
大分ストレスがきてるのだろうな。
そんな事を思いながら新居の案内も程々に済ませ、早速話をダンジョンに移す。
事前に工藤さんとの話して私がダンジョンを所有してるとかについては一切話していないことを伝えられている。
話したのはストレス発散にダンジョンに行こうとだけだそうだ。
もちろん月城さんはそんなの危険過ぎますと拒否、そこをなんとか丸め込んだと工藤さんは言っていた。
ならそこら辺の根拠を私の方から直接話そう。
「月城さん、少しですか?」
「はい何ですか?」
「まずハルカを見てもらったら分かる通り、私にもいくつか秘密があります」
「そうですね。ダンジョンセンターに一定間隔で持ち込まれる様々な資源からも何かあるとは以前から思ってましたよ」
流石は月城さんだ、鋭い。
…いや私がそこら辺の脇が甘すぎるだけか?
「その秘密っていうのは私のスキル『ダンジョン』です。単純に言えば私は自分個人でダンジョンを持っているわけです」
「ダッ…ダンジョンをですか!?」
月城さんがとても驚いたような顔をする。
確かに『ダンジョン』というスキルはかなり珍しいスキルだからな。
驚くのも仕方ない。
「つまり一河さんが持ち込んできた ダンジョンの資源は全て…」
「はいっ私が所有しているダンジョンから持ってきたものです」
「なるほど、合点が行きました」
「そしてそのダンジョンには他にもいくつか特徴があります。その一つがそこに出現するモンスターが人間を襲うことはまずないということです」
「……そんなダンジョンが有り得るんですか?」
「少なくとも私がそのダンジョンで資源を採取してる時にモンスターに襲われたことは一度もありません。私と一緒にダンジョンで活動をしてくれてる工藤さんやハルカも同様です」
月城さんは信じられないという表情である。
それはそうだろうな。
「モンスターが人を襲わないなんて…そんな夢のようなダンジョンがあるなんて 信じられません」
「なら一度行ってみるしかないですねハルカ、あのバッジを月城さんにも渡してもらえるかな?」
「わかったわ、既に新作を用意してるの」
ハルカが懐から取り出したのは月城さんをちびキャラにデフォルメしたようなヤツのバッチだった。
以前は黒いただのバッチだったのだが、それを見た赤城響がバッチのデザインに対して何やら言ったのだ、ボソッと。
それを聞いたハルカが意識したのだろう。
後日バッチのデザインを変えてきた、私とアヤメ以外の皆にそれぞれ新デザインのバッチを渡していた。
それぞれ持っている人の姿をアニメ風のちびキャラにデフォルメしたバッチであり以前のより好評だった。
ちなみに赤城響のバッチだけは少しデザインが違う。
顔はかわいいアニメキャラなのだが体がどういうわけかやたらとムッキムキだった。
彼女はそれに対して異義を言ったのだがハルカは笑顔でそれを無視した。
ということがあったのだ。
月城さんのは普通のちびキャラだからよかった。
「それじゃあまずは ダンジョンに行きましょうか、ダンジョンゲート」
私がスキルを発動する。
ダンジョンに入り口が我が新居内に現れる、それで月城さんは私の言葉が妄言の類ではないことを理解したのか息を飲んでいた。
「それでは行きましょうか」
「……はい」
そして我々は再びダンジョンへと向かった。
しかし上司である黒山とのやり取りを考えると後で月城さんには謝罪しておく必要があるかな。
あの手の人間は蛇か何かみたいに自身がやられた事を忘れずに復讐する機会を狙う輩がいるからね。
しかしその話は後にしよう。
ハルカに頼んで人目がないところで瞬間移動を使ってもらい、まずは私が買った新居にご案内する。
「あっ明かりが全くありません」
街灯とかないからね、家の明かりだけがある闇の世界。
それが田舎の山の上である。
「ここは田舎の山の中ですから」
「へえっけど結構いい感じの家ですね…」
「ありがとうございます」
電気をつけてスタンバっていた我が家を工藤さんに褒められてちょっと嬉しい。
ちなみに月城さんにはハルカが瞬間移動を使えることを話した時もだいぶ驚かれた。
ここで先ほどの黒山とやらとのやり取りについては謝罪しておこう。
流石にああいう真似をすると今後の月城さんの立場にもマイナスな影響があると思ったからな。
しかし月城さんはむしろちょっとスッキリしましたと言われてしまった。
今以上に悪くなる事が特に思い浮かばないそうだ。
大分ストレスがきてるのだろうな。
そんな事を思いながら新居の案内も程々に済ませ、早速話をダンジョンに移す。
事前に工藤さんとの話して私がダンジョンを所有してるとかについては一切話していないことを伝えられている。
話したのはストレス発散にダンジョンに行こうとだけだそうだ。
もちろん月城さんはそんなの危険過ぎますと拒否、そこをなんとか丸め込んだと工藤さんは言っていた。
ならそこら辺の根拠を私の方から直接話そう。
「月城さん、少しですか?」
「はい何ですか?」
「まずハルカを見てもらったら分かる通り、私にもいくつか秘密があります」
「そうですね。ダンジョンセンターに一定間隔で持ち込まれる様々な資源からも何かあるとは以前から思ってましたよ」
流石は月城さんだ、鋭い。
…いや私がそこら辺の脇が甘すぎるだけか?
「その秘密っていうのは私のスキル『ダンジョン』です。単純に言えば私は自分個人でダンジョンを持っているわけです」
「ダッ…ダンジョンをですか!?」
月城さんがとても驚いたような顔をする。
確かに『ダンジョン』というスキルはかなり珍しいスキルだからな。
驚くのも仕方ない。
「つまり一河さんが持ち込んできた ダンジョンの資源は全て…」
「はいっ私が所有しているダンジョンから持ってきたものです」
「なるほど、合点が行きました」
「そしてそのダンジョンには他にもいくつか特徴があります。その一つがそこに出現するモンスターが人間を襲うことはまずないということです」
「……そんなダンジョンが有り得るんですか?」
「少なくとも私がそのダンジョンで資源を採取してる時にモンスターに襲われたことは一度もありません。私と一緒にダンジョンで活動をしてくれてる工藤さんやハルカも同様です」
月城さんは信じられないという表情である。
それはそうだろうな。
「モンスターが人を襲わないなんて…そんな夢のようなダンジョンがあるなんて 信じられません」
「なら一度行ってみるしかないですねハルカ、あのバッジを月城さんにも渡してもらえるかな?」
「わかったわ、既に新作を用意してるの」
ハルカが懐から取り出したのは月城さんをちびキャラにデフォルメしたようなヤツのバッチだった。
以前は黒いただのバッチだったのだが、それを見た赤城響がバッチのデザインに対して何やら言ったのだ、ボソッと。
それを聞いたハルカが意識したのだろう。
後日バッチのデザインを変えてきた、私とアヤメ以外の皆にそれぞれ新デザインのバッチを渡していた。
それぞれ持っている人の姿をアニメ風のちびキャラにデフォルメしたバッチであり以前のより好評だった。
ちなみに赤城響のバッチだけは少しデザインが違う。
顔はかわいいアニメキャラなのだが体がどういうわけかやたらとムッキムキだった。
彼女はそれに対して異義を言ったのだがハルカは笑顔でそれを無視した。
ということがあったのだ。
月城さんのは普通のちびキャラだからよかった。
「それじゃあまずは ダンジョンに行きましょうか、ダンジョンゲート」
私がスキルを発動する。
ダンジョンに入り口が我が新居内に現れる、それで月城さんは私の言葉が妄言の類ではないことを理解したのか息を飲んでいた。
「それでは行きましょうか」
「……はい」
そして我々は再びダンジョンへと向かった。
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