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別れる前にエッチする百合カップル(2/2)
しおりを挟む肌にかかる息は偽物ではないと思う。
きっとハルは、興奮してくれているし、私を欲して触れてくれている。
何度肌を重ねても、初めての時と変わらず落ちてくる髪のやり場に困るハル。
ふるふると首を振って、髪を払いながら、触れる手はいつも優しい。肌を撫でるハルの髪の感触も私は一生忘れられないと思う。
『嫌いになったわけじゃないけど、もう別れよう』
ハルは苦しそうに言った。私を傷つけると思うと、倍の痛みを感じながら言葉を紡いでくれる。
本心ではないから、という意味での苦しさではない。
すれ違ったまま離れていく気持ちに気づきながらも、いつか持ち直すんじゃないかって淡い期待をしていた。そんな期待は、ハルの短い言葉で簡単に裏切られた。
この言葉が出てしまった時点で、もう戻らない。
だから最後に愛されたいと思った。私に触れるうちに汗ばんでいく肌に触れたかった。
「じらしっ・・・焦らしてるのっ?」
「そういうわけじゃないけど、早く欲しいの?」
濡れそぼったそこに触れてこないハル。首を振ると、耳に湿った感触と熱い息がかかる。縁や裏側が好きなのを知っているからか、耳たぶをゆるゆると舐めて舌先で縁をくすぐってくる。
迫ってくる快楽がわかっているから、余計に神経を集中させてしまって増幅して。
「はっ・・・・・・あ、だめぇ」
強すぎるくらいの快感に助けを求めるようにハルの背中に回した手に力を込める。汗が滲んだ肌を愛おしいと思う。このままでいられたら、と。
そんな思いも束の間、くちゅりと音を立ててハルは情けないほどに濡らしたそこに触れる。溢れ出す愛液をすくっては、一番敏感な突起をくるくるとなぞって。
「あっ・・・・・・きもちっ、そこきもちぃ」
「そだね、きもちよさそ」
素っ気なく見せるところもずっと変わらない。耳には荒い息がかかっているし、声も興奮を抑えるように震えている。
ナカを探る指の感触も懐かしいくらいなのに、身体は良く覚えていた。すぐに良いところを撫でこすられて、足先にどんどん力が入る。
私のことを少しでも忘れないように、そんな気持ちを込めて背中に立てる爪にも力がこもった。
ハルの指のカタチがわかるほど、自身がそれを締め付けてしまっていることがわかる。
羞恥と私のことをよく知る指が忙しなく動き回るうちに、限界はすぐ来てしまった。
身体の奥の熱が弾けるように果てたとき、悲しいくらい全身から力が抜けてしまった。
最後だから、最後だと思ったから、私も気持ちが昂ぶっていたことに気づくのは思いのほか寂しいい。
ハルは何か言いたげに、緩く体重をかけて覆い被さったまま。こういう肝心なときに何も言えないところも、愛おしかった。額や背中に、私よりもたくさん汗をかいているところだって。
全部全部が『愛おしかった』。けどそれは、私を要らないと言うあなたを引き留めるほどのものではなかった。
「ハル、私たち別れよっか」
失恋の悪いところ―――。どれくらい相手のことを愛していたかわかってしまう。
おしまい
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