命の雫

SHIZU

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あいつ

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俺はソファにユキを座らせた。

もって1時間かそこらだな。

さっきメールをしておいたから、もしソウが間に合えば……

ユキが俺の目を見て話し始める。

「子供の頃、ダメって言われてたのに銀のナイフを鞘から出して遊んでたんだ。それで手を切ってしまった」

「それで?」

「びっくりして泣き叫ぶ俺に気付いた彼が、自分の指を針で刺して、血を僕に舐めさせた。彼は自分の血のことに気付いていたんだ。そして隠れるように暮らしていた」

「そこを父さんに見られたのか?」

「うん。アリスのお父さんは彼を守ろうとしたけど、もう1人それを見ていた人がいた」

「レイクか?」

「わからない。お父さんはあいつとしか言わなかった。もし僕があいつの正体を知ってしまったら、殺されると思ったのか、最後まで教えてくれなかったよ」

「そうか……」

「でもコミュニティの中にいるのは確か。1番怪しいのは、跡を継いでコミュニティを運営しているレイクかなって思って近付いてみた。血液にランクをつけて、荒稼ぎしてるって噂もあったから」

「どうして……」

「わからないけど……でも、レイクはボロを出さなかった」

「それで? 怪しまれて命を狙われていたのか?」

「あいつが狙ってるのは僕じゃない。ソウとアリスだよ。ソウの血を手に入れるにはアリスが邪魔だから」

「じゃあさっきのも?」

「たぶん」

「じゃあ、お前は俺のせいでこんなことに? あんなに中に入ろうとしていたのは、俺が狙われていたからなんだな。それなのに……本当にすまない」

「いいの。僕はずっとアリスに守ってもらってきた。今度は僕が守ろうと思った」

「俺たちはずっと支え合ってきただけだ。俺こそお前に救われていた」

「その言葉だけでも嬉しいよ。あとまだ大事な話がある。あいつは単独犯じゃない。きっと手下を使って命の雫をもつ人間を探している」

「他にもいるのか?」

「何人いるかどこにいるかはわからない。何百年に1度とか何億人に1人とか言われているけど、実際はわからない。だから探そうとしてる。あいつ自身はきっと彼の血を吸ったから不死身だけど、命の雫を探してそれも高値で売ろうとしてるんじゃないかな」

「ソウのことはもう?」

「バレている可能性はあるよ。僕が薔薇を買いに行った日、アリスが怪我をしてあの子が傷を治したでしょ? 僕の体で隠したつもりだったけど、もしかしたら手下に見られたかもしれない。だから劇場に会いに行った」

「どういうことだ?」

「あのメモ。最初に見つけたのは僕なんだ。そして1箇所だけちぎった。あいつに見つかってもバレないように……」

「何を見たんだ?」

あのメモが破れていたのはユキのせいだったのか。




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