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ただ好きなだけ
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次の日もソウは舞台に立っていた。
もちろんセイラというあの男も一緒だ。
なんかいつも近いんだよなぁ。
と思っていると、客席を向いているソウに重なるようにセイラが顔を近付けた。
は!?
今キスしたのか?
そんな演出は聞いてないぞ。
それからも、舞台の上でベタベタと触るわ、イチャイチャはするわで、俺のイライラは最高潮を迎えていた。
歌うだけじゃダメなのか?
そんなイライラした俺に気付いたのだろう。
舞台が終わって劇場から出てきたソウは気まずそうだった。
家に帰る途中。
「怒ってる?」
「怒ってる」
「あれは演出だからさ。本当にはしてないからね?」
「当たり前だ」
「なんかね。最近はあんな感じのも流行ってるんだって。BLってやつ? あ、でも女性のダンサーと絡むこともあるからね? セイラだけじゃないからね?」
それはそれでだが。
「仕方ない。仕事だからな」
「ありがとう。理解してくれて」
「腹は立つけどな。ベタベタ触りやがって……」
「ふふ」
ソウはまた笑っていた。
「でも気を付けろよ? セイラがまだ白だと決まったわけじゃないだろ?」
「うん。そうだけど、多分大丈夫だよ」
「何故わかる?」
「聞いたんだ。オーディションの時からずっと俺のこと見てるよね?って」
「それでなんて?」
「うん。でもオーディションの時からじゃないよって」
「は?」
「俺が広場で歌ってたときから見てたんだって。アリスと知り合うずっと前から」
「なんだと?」
「俺の声や歌い方が好きだって言ってくれてた。自分も歌手や舞台で演技をする人になりたくて俺をずっと見て勉強してたんだって! なんか照れるけど」
照れるなよ。
「それで俺が劇場の人に声をかけられてたのを見て、俺も受けさせてくださいって頼んだんだって! いつか一緒に舞台で歌えたら良いなって思ったらしい」
そっちの方がガチじゃねぇか。
「それで2人とも受かって、今こうして一緒に歌えてるからすごく嬉しいって。アリスと俺が出会う前から俺を見ていたなら多分あいつの手下とかじゃなさそうじゃない? ただ好きなだけだよ」
その方が困る。
「まぁそれは……確かに。でもそれの方が腹立つな。次のエサはあの男にしようか……」
「やめてよー!せっかく人気の2人になってきたのに、1人いなくなったら俺の仕事も減るかもじゃん!」
「そうなのか? それは困るが、あの男……やっぱり次の……」
「ダメだって! 大丈夫! 気を付けるから!」
「あぁ……」
「それに。どんな人が現れても、アリスだけを見てるから心配しないで?」
ソウはまだ不機嫌な俺の手をそっと握って言った。
もちろんセイラというあの男も一緒だ。
なんかいつも近いんだよなぁ。
と思っていると、客席を向いているソウに重なるようにセイラが顔を近付けた。
は!?
今キスしたのか?
そんな演出は聞いてないぞ。
それからも、舞台の上でベタベタと触るわ、イチャイチャはするわで、俺のイライラは最高潮を迎えていた。
歌うだけじゃダメなのか?
そんなイライラした俺に気付いたのだろう。
舞台が終わって劇場から出てきたソウは気まずそうだった。
家に帰る途中。
「怒ってる?」
「怒ってる」
「あれは演出だからさ。本当にはしてないからね?」
「当たり前だ」
「なんかね。最近はあんな感じのも流行ってるんだって。BLってやつ? あ、でも女性のダンサーと絡むこともあるからね? セイラだけじゃないからね?」
それはそれでだが。
「仕方ない。仕事だからな」
「ありがとう。理解してくれて」
「腹は立つけどな。ベタベタ触りやがって……」
「ふふ」
ソウはまた笑っていた。
「でも気を付けろよ? セイラがまだ白だと決まったわけじゃないだろ?」
「うん。そうだけど、多分大丈夫だよ」
「何故わかる?」
「聞いたんだ。オーディションの時からずっと俺のこと見てるよね?って」
「それでなんて?」
「うん。でもオーディションの時からじゃないよって」
「は?」
「俺が広場で歌ってたときから見てたんだって。アリスと知り合うずっと前から」
「なんだと?」
「俺の声や歌い方が好きだって言ってくれてた。自分も歌手や舞台で演技をする人になりたくて俺をずっと見て勉強してたんだって! なんか照れるけど」
照れるなよ。
「それで俺が劇場の人に声をかけられてたのを見て、俺も受けさせてくださいって頼んだんだって! いつか一緒に舞台で歌えたら良いなって思ったらしい」
そっちの方がガチじゃねぇか。
「それで2人とも受かって、今こうして一緒に歌えてるからすごく嬉しいって。アリスと俺が出会う前から俺を見ていたなら多分あいつの手下とかじゃなさそうじゃない? ただ好きなだけだよ」
その方が困る。
「まぁそれは……確かに。でもそれの方が腹立つな。次のエサはあの男にしようか……」
「やめてよー!せっかく人気の2人になってきたのに、1人いなくなったら俺の仕事も減るかもじゃん!」
「そうなのか? それは困るが、あの男……やっぱり次の……」
「ダメだって! 大丈夫! 気を付けるから!」
「あぁ……」
「それに。どんな人が現れても、アリスだけを見てるから心配しないで?」
ソウはまだ不機嫌な俺の手をそっと握って言った。
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