嫌われ王子はしてはいけない恋をした。 ~彼と私の1年間~

虹色金魚

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16、(終)嫌われ王子はしてはいけない恋をした。

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「ユノ様。 ユーノ、こちらを向いて?」

 白いタキシードの男性の横に並んだユノは、緊張でお相手を見ることが出来なかったのだが、横から突然懐かしい、夢にまで見た低くて穏やかな声が聞こえてくる。

 幻聴を疑ったユノは耳を触ってみるも、

「ユノ? 大丈夫?」

 という心配そうな声に、ゆっくりと目線を動かす。


 そこに居たのは……


「えっ、じゃっ、ジャス先生?!」


 白いタキシードはユノの黒いタキシードと対になっているようで、光沢があるエメラルドで同じ刺繍が入っていて、ジャスの美しさを更に高めている。メガネ無しの青い切れ長の瞳は穏やかに微笑んでいた。

「ふふふっ、やっとこちらを見てくれた。そうだよ、ユノ。それから初めまして。私が婚姻相手のジャスウェルだよ。ブローチ、付けててくれてありがとう。そのタキシードも最高にユノに似合ってる。私の目に狂いは無かったな。今日のユノはいつもに増して格好いいし可愛らしい。」

 パッとジャスを見上げれば、ジャスはいたずらに成功したかのようなあの笑みを浮かべていた。ユノは驚いて……でもとっても嬉しくて……エメラルドの瞳は最大限に大きく見開かれ、ボタボタと涙が溢れて止まらなくなってしまった。

「わわっ! ユノ!!」

 ジャスはーージャスウェルは、式の手順などを全てぶっ飛ばしてユノを抱き寄せて背中を擦った。ユノはもう2度と無理だろうと思っていた、ジャスウェルの爽やかな香りを胸一杯に吸い込み、大好きな暖かい体温に包まれ、ジャスウェルの背中を何度も撫でて本物であることことを確認する。

 ザワッとする教会内だが、1つ1つの囁きを拾えば、それは前向きなものだった。


「ジャスウェル殿下が……!!!」
「師団長が穏やかに微笑んでる……!!俺もう死ぬかも……!!!」
「師団長のあの顔ヤバぁい!!」
「うわぁ……」
「副師団長!! マジで良かったですね!!」
「ジャスウェル殿下、幸せなのねぇ。わたくし、大変嬉しいわ。」
「ジャスウェル、あんな顔もできたのか……!」
「悔しいが認めよう……。」
「ずっと想ってたんでしょ? 本当に良かったわね。」
「今日は旨い酒が飲めるぞ。」



 そして何故かその囁きはだんだん指笛まで聞こえてくる拍手喝采となり、主役ジャスウェルが手を上げて納める事態となった。


 その日執り行われた、皇帝の弟、ジャスウェルの結婚式は、貴族にも国民にもそれはそれは祝福されて幕を閉じた。パレードで国民にお披露目された、お相手のユノ殿下の愛らしさや、初めて見るあのジャスウェル殿下のあの甘い顔。

 街は1日2日お祭り騒ぎとなり、翌年から春のその日は祝日になった。この日に式を執り行うと2人にあやかれて幸せになれる、という都市伝説まで生まれ、毎年この日は街中至るところで華やかに着飾った人々が式が挙げ、ハッピースプリングと呼ばれるようになっていた。









~おしまい~






ーーーーーーーーーーーーーーーー




 これにておしまいです。

 お気に入り登録、しおり、エールを送って下さった方、ここまでお読み下さった方、本当にありがとうございました!!

ユノは毎日幸せを噛み締めて暮らしていくと思います。

おまけも書いてあるので、明日のお昼12時に投稿します☆こちらもよろしくお願いします。

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