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15、嫌われ王子はしてはいけない恋をした。
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「私たちはここまでです。」
「いってらっしゃいませ、ユノ様。」
リリアとナーナが頭を下げ、ユノを見送る。
スワニ帝国の帝都スワニにある、スワニ城の側に、必ず王族が挙式を執り行うという荘厳な教会がある。ティティ教会と言う所で、外観は真っ白でどこかメルヘンチックさが漂う……最早もう1つの小さめな城、と紹介されたほうがしっくりくる建物だ。
ユノはその一室で着替えていたが、バージンロードへ続く扉の少し前で、この心強いリリアとナーナとはしばしのお別れらしい。
「はい。 行って参ります。」
シェールズ国からの付き添いや、式への出席がないことを事前に聞いていたユノは、名実ともに1人で、今後の人生を共にしなければならない伴侶の元へ行く。
ここへ来て心細くなってしまったユノは、胸元の白鳥へと手を伸ばしかけて、その手をキュッと握り込んだ。
いつまでもジャス先生に頼ってちゃダメだ……。前を見なければ。と強く思ったから。
青いベールの下からキッとバージンロードへ向かう扉を睨み付け、歩き出す。
例え望まれていなくとも、ジャスから授かった教えを無駄にはしたくなかった。
教会の者により開け放たれた豪華な両開きの大きな扉の奥は、流石魔法の国だ。 柔らかに光る玉や、美しい花玉のようなブーケのようなものが天井高いところを浮き、そこからいい香りのする花びらがヒラヒラと枚落ちてくる。そして教会の内部の装飾は美しく、木の温もりも伝わってくる。それは絵に書いたような美しさと、豪華に着飾った人、人、人。
一瞬圧倒されかけたユノは、ハッと己の役目を思い出し、素晴らしい生演奏の中、練習したようにしずしずとバージンロードへ踏み出した。
「あの方がシェールズ国の秘宝……?」
「美しい銀髪ですこと。 ウーライ様を思い出します。」
「可愛らしい方ですこと。」
「あら? あのブローチ、ご覧になって?」
「まぁ! あれは……!」
「ジャスウェル殿下は幸せ者ですわね。」
おほほ、うふふ、と貴婦人方の密やかな囁き声が耳に入る。
何故平民であるはずの母の名前、ウーライが囁かれているのか。ユノは疑問を感じたが、今はそれどころではない。
ジャスウェル殿下……それがこのバージンロードの先に居る方の名前なのだろうが、ジャスと名前が被っていることに気付いて心臓がバクバクしてくる。
まさか……。 ジャス先生が王族……な訳……ないだろ?
変な期待を持たないように、心の中でブンブン頭を降って希望の芽を刈り取る。
バージンロードの先に見えるのは、白いタキシードを着た男性の後ろ姿で、黒髪。
いや、ジャスと背格好は似ているが、黒髪が多い国なのかもしれない。
ユノは何度も深呼吸しながら、その天使の輪がくっきりしている黒髪を見つめてゆっくりバージンロードを歩いた。
「いってらっしゃいませ、ユノ様。」
リリアとナーナが頭を下げ、ユノを見送る。
スワニ帝国の帝都スワニにある、スワニ城の側に、必ず王族が挙式を執り行うという荘厳な教会がある。ティティ教会と言う所で、外観は真っ白でどこかメルヘンチックさが漂う……最早もう1つの小さめな城、と紹介されたほうがしっくりくる建物だ。
ユノはその一室で着替えていたが、バージンロードへ続く扉の少し前で、この心強いリリアとナーナとはしばしのお別れらしい。
「はい。 行って参ります。」
シェールズ国からの付き添いや、式への出席がないことを事前に聞いていたユノは、名実ともに1人で、今後の人生を共にしなければならない伴侶の元へ行く。
ここへ来て心細くなってしまったユノは、胸元の白鳥へと手を伸ばしかけて、その手をキュッと握り込んだ。
いつまでもジャス先生に頼ってちゃダメだ……。前を見なければ。と強く思ったから。
青いベールの下からキッとバージンロードへ向かう扉を睨み付け、歩き出す。
例え望まれていなくとも、ジャスから授かった教えを無駄にはしたくなかった。
教会の者により開け放たれた豪華な両開きの大きな扉の奥は、流石魔法の国だ。 柔らかに光る玉や、美しい花玉のようなブーケのようなものが天井高いところを浮き、そこからいい香りのする花びらがヒラヒラと枚落ちてくる。そして教会の内部の装飾は美しく、木の温もりも伝わってくる。それは絵に書いたような美しさと、豪華に着飾った人、人、人。
一瞬圧倒されかけたユノは、ハッと己の役目を思い出し、素晴らしい生演奏の中、練習したようにしずしずとバージンロードへ踏み出した。
「あの方がシェールズ国の秘宝……?」
「美しい銀髪ですこと。 ウーライ様を思い出します。」
「可愛らしい方ですこと。」
「あら? あのブローチ、ご覧になって?」
「まぁ! あれは……!」
「ジャスウェル殿下は幸せ者ですわね。」
おほほ、うふふ、と貴婦人方の密やかな囁き声が耳に入る。
何故平民であるはずの母の名前、ウーライが囁かれているのか。ユノは疑問を感じたが、今はそれどころではない。
ジャスウェル殿下……それがこのバージンロードの先に居る方の名前なのだろうが、ジャスと名前が被っていることに気付いて心臓がバクバクしてくる。
まさか……。 ジャス先生が王族……な訳……ないだろ?
変な期待を持たないように、心の中でブンブン頭を降って希望の芽を刈り取る。
バージンロードの先に見えるのは、白いタキシードを着た男性の後ろ姿で、黒髪。
いや、ジャスと背格好は似ているが、黒髪が多い国なのかもしれない。
ユノは何度も深呼吸しながら、その天使の輪がくっきりしている黒髪を見つめてゆっくりバージンロードを歩いた。
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