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2部 3章
魔女vs魔女
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「それで、どうする?」
「私一人で行くよ、でないとエリンシアが……」
「でも、確実に罠よ?」
「うん、それでも行かなきゃ……エリンシアをこのままにはしていられない」
全員が石になったエリンシアを見る。
優しい微笑みを浮かべる彼女を見てみんなが辛そうな顔をした。
「なら、二手に分かれるっていうのは、どうかな?」
クオンが提案をする。何人かを残した上で私にも護衛をつけるというのだ。
確かに、それもいいかもしれないけれど……。
「ううん、駄目だよ。きっとアイツはエリンシア達を壊すために何か仕掛けてくる……その時、ここにいる人数が足りなくてエリンシア達を救えなかったらきっと私は後悔する」
「でも……」
「大丈夫だよ、クオン。私は負けない……あんな奴に負けるもんか!絶対エリンシアを助けるよ!」
「カモメ……わかった、カモメを信じる」
「ありがとうクオン」
「なら決まりね、あの魔女はカモメに任せるわ………その代わり私達は絶対にここの石像にされた人たちを護る」
「うん、よろしく」
ディータがそう言うと、パーティメンバーの皆とメリッサが頷いてくれた。
ローラは頷きはしなかったが、ここから逃げる気もないようだ。
なんだかんだ、付き合いがいいよねローラは……。
「それじゃ、私は行ってくる……みんなも気を付けて」
「ええ、解ったわ」
みんなに見送られると私は魔女の待つ西の洞くつへと向かう。
洞くつ……どれくらいの大きさの洞くつかは分からないが……洞くつの中で戦闘となればあまり派手な技は使えない……相手も合成魔法を使う上に、エリンシアを倒すほどの相手だ……苦戦は免れないだろう。
メリッサに聞いた話によれば影の魔法を使い赤い魔力を放つと言う……赤い魔力……私が闇の魔法を使うようになって魔力が黒くなったことを考えると……赤い魔力を使う災厄の魔女も何かしら特別な魔法を使えるはずである……私の魔法は女神であるディータに教えてもらったものだ……もしかしたら、あの魔女にもそういう存在がいるのかもしれない……油断は出来ないね。
エルフの集落を出て、しばらく西へ進むと、魔女の言う通り洞くつの入り口らしいものが見つかった。
私は警戒をしながらも、洞くつの中へと入っていく。
まわりが暗かったため灯りの魔法を使い回りを照らす。
照らした瞬間モンスターにでも襲われるかもと思い、バトーネも構えていたのだが、どうやらそんなことはなかったようだ。
一本道を8分程歩くと、少し大きめの空洞へと出る。
そこに、災厄の魔女はいた。
「いらっしゃい、待っていたわよ」
魔女はまだそれほど時間が経っていないにも関わらず、すでにエリンシアとの戦いでの疲労が回復しているように見えた。一体どうやって?
「ふふふ、私が回復しているのが不思議かしら?簡単な事よ、このアイテムを使って魔力を回復させたのよ」
そう言うと、手に持っていた空の瓶を見せると、それをこちらに放り投げる。
私はそれを受け取らず避けると、瓶はそのまま地面に落ち割れた。
「さあ、もう一度あなたに聞くわ……私と一緒に来ない?あなたも人間にひどい目にあわされた経験……あるでしょ?」
「………あるよ」
「でしょ、人間ってひどいわよね……自分たちと少し違うだけでそれを迫害し、利用する……本当に最低!自分たちの利益しか目がないんだから」
「それは違うよ」
「あら、何が違うのかしら?」
「確かに、そういう人間もいるよ……すごく酷いことをする人間も……でも、そういう人だけじゃない。他人に優しくして勇気を振り絞って前を向いている人間もいる……私はそういう人の優しさに何度も救われてきた………だから、私はあなたの仲間になんてならない……私は冒険者……星空の太陽のパーティリーダーだよ!困っている人を助けて、仲間と一緒に笑い合って苦しい時も分かち合う」
「ふんっ……どうせ、貴方の仲間も貴方を裏切るのよ……ココアのように」
「……ココア?」
そう言うと、魔女はもう私の問いには答えず、ゆっくりと座っていた玉座から立ち上がった。
「ふふ、まあいいわ……それならあなたには絶望を上げる……あなたの仲間には死んでもらうわよ」
「何をする気!」
「災厄の影よ!邪の王の導きに寄りて、わが敵を払え!!」
災厄の魔女が声を上げると、不気味な光があたりに広がる。
私は、何が起きたのかと周りを見渡すが、特に変化したものは無い。
いったい今のは何なの?……不発?……ううん、とてつもなく嫌な感じがした。
それに、災厄の影?邪の王?……よくわからないが……嫌な予感がする。
「ふふふ、何をしたか知りたい?」
「何をしたの!」
「エルフの集落に災厄の影……私の命令を聞く影を送り込んだのよ」
「なっ……」
「さあ、あなたの仲間は生き残れるかしらね?」
「舐めないでよ……ディータ達は強いんだから!」
「そうね、普通の魔物程度なら簡単に跳ねのけてしまうでしょうね……でも私の召喚した影は邪鬼たちの王が使役するもの……普通の魔物より幾倍も強いわよ?」
「邪鬼の…‥王?」
邪鬼たちに王がいるなんているのは初めて聞いた。
でも、もしいるとして、なんでこの災厄の魔女と呼ばれる女性がその力を使えるのだろうか……もしかして……。
「さあ、ショーの始まりよ!」
私の考えを遮るかのように、魔女を声を高らかに上げる。
そして、赤い魔力を体の周りに迸らせた。
こちらも、戦いの始まりということだろう……それに呼応するように私も魔力を解放する。
なんだってかまわない……とにかく私はアイツの持っている石化の杖を破壊しなければならないんだ!
闇の魔女である私は災厄の魔女と対峙するのであった。
「私一人で行くよ、でないとエリンシアが……」
「でも、確実に罠よ?」
「うん、それでも行かなきゃ……エリンシアをこのままにはしていられない」
全員が石になったエリンシアを見る。
優しい微笑みを浮かべる彼女を見てみんなが辛そうな顔をした。
「なら、二手に分かれるっていうのは、どうかな?」
クオンが提案をする。何人かを残した上で私にも護衛をつけるというのだ。
確かに、それもいいかもしれないけれど……。
「ううん、駄目だよ。きっとアイツはエリンシア達を壊すために何か仕掛けてくる……その時、ここにいる人数が足りなくてエリンシア達を救えなかったらきっと私は後悔する」
「でも……」
「大丈夫だよ、クオン。私は負けない……あんな奴に負けるもんか!絶対エリンシアを助けるよ!」
「カモメ……わかった、カモメを信じる」
「ありがとうクオン」
「なら決まりね、あの魔女はカモメに任せるわ………その代わり私達は絶対にここの石像にされた人たちを護る」
「うん、よろしく」
ディータがそう言うと、パーティメンバーの皆とメリッサが頷いてくれた。
ローラは頷きはしなかったが、ここから逃げる気もないようだ。
なんだかんだ、付き合いがいいよねローラは……。
「それじゃ、私は行ってくる……みんなも気を付けて」
「ええ、解ったわ」
みんなに見送られると私は魔女の待つ西の洞くつへと向かう。
洞くつ……どれくらいの大きさの洞くつかは分からないが……洞くつの中で戦闘となればあまり派手な技は使えない……相手も合成魔法を使う上に、エリンシアを倒すほどの相手だ……苦戦は免れないだろう。
メリッサに聞いた話によれば影の魔法を使い赤い魔力を放つと言う……赤い魔力……私が闇の魔法を使うようになって魔力が黒くなったことを考えると……赤い魔力を使う災厄の魔女も何かしら特別な魔法を使えるはずである……私の魔法は女神であるディータに教えてもらったものだ……もしかしたら、あの魔女にもそういう存在がいるのかもしれない……油断は出来ないね。
エルフの集落を出て、しばらく西へ進むと、魔女の言う通り洞くつの入り口らしいものが見つかった。
私は警戒をしながらも、洞くつの中へと入っていく。
まわりが暗かったため灯りの魔法を使い回りを照らす。
照らした瞬間モンスターにでも襲われるかもと思い、バトーネも構えていたのだが、どうやらそんなことはなかったようだ。
一本道を8分程歩くと、少し大きめの空洞へと出る。
そこに、災厄の魔女はいた。
「いらっしゃい、待っていたわよ」
魔女はまだそれほど時間が経っていないにも関わらず、すでにエリンシアとの戦いでの疲労が回復しているように見えた。一体どうやって?
「ふふふ、私が回復しているのが不思議かしら?簡単な事よ、このアイテムを使って魔力を回復させたのよ」
そう言うと、手に持っていた空の瓶を見せると、それをこちらに放り投げる。
私はそれを受け取らず避けると、瓶はそのまま地面に落ち割れた。
「さあ、もう一度あなたに聞くわ……私と一緒に来ない?あなたも人間にひどい目にあわされた経験……あるでしょ?」
「………あるよ」
「でしょ、人間ってひどいわよね……自分たちと少し違うだけでそれを迫害し、利用する……本当に最低!自分たちの利益しか目がないんだから」
「それは違うよ」
「あら、何が違うのかしら?」
「確かに、そういう人間もいるよ……すごく酷いことをする人間も……でも、そういう人だけじゃない。他人に優しくして勇気を振り絞って前を向いている人間もいる……私はそういう人の優しさに何度も救われてきた………だから、私はあなたの仲間になんてならない……私は冒険者……星空の太陽のパーティリーダーだよ!困っている人を助けて、仲間と一緒に笑い合って苦しい時も分かち合う」
「ふんっ……どうせ、貴方の仲間も貴方を裏切るのよ……ココアのように」
「……ココア?」
そう言うと、魔女はもう私の問いには答えず、ゆっくりと座っていた玉座から立ち上がった。
「ふふ、まあいいわ……それならあなたには絶望を上げる……あなたの仲間には死んでもらうわよ」
「何をする気!」
「災厄の影よ!邪の王の導きに寄りて、わが敵を払え!!」
災厄の魔女が声を上げると、不気味な光があたりに広がる。
私は、何が起きたのかと周りを見渡すが、特に変化したものは無い。
いったい今のは何なの?……不発?……ううん、とてつもなく嫌な感じがした。
それに、災厄の影?邪の王?……よくわからないが……嫌な予感がする。
「ふふふ、何をしたか知りたい?」
「何をしたの!」
「エルフの集落に災厄の影……私の命令を聞く影を送り込んだのよ」
「なっ……」
「さあ、あなたの仲間は生き残れるかしらね?」
「舐めないでよ……ディータ達は強いんだから!」
「そうね、普通の魔物程度なら簡単に跳ねのけてしまうでしょうね……でも私の召喚した影は邪鬼たちの王が使役するもの……普通の魔物より幾倍も強いわよ?」
「邪鬼の…‥王?」
邪鬼たちに王がいるなんているのは初めて聞いた。
でも、もしいるとして、なんでこの災厄の魔女と呼ばれる女性がその力を使えるのだろうか……もしかして……。
「さあ、ショーの始まりよ!」
私の考えを遮るかのように、魔女を声を高らかに上げる。
そして、赤い魔力を体の周りに迸らせた。
こちらも、戦いの始まりということだろう……それに呼応するように私も魔力を解放する。
なんだってかまわない……とにかく私はアイツの持っている石化の杖を破壊しなければならないんだ!
闇の魔女である私は災厄の魔女と対峙するのであった。
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