紅に染まる鬼神《レイド》

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プロローグ (主に世界観紹介)

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周りを見渡すとそこには以外、筋肉も皮膚も無い骨だけの人間体が、溢れんばかりにいた。
 
戦場を埋め尽くすかのような骨の人間体は、まさに恐怖の象徴と言っても過言ではない。
 
さらにその人間体の表情は笑っていて、歩き方はおぼつかない。
言ってしまえば、それらはゾンビをさらに怖くしたものだった。

『蓮斗』の周りにいた者たちは、恐怖のあまり怖気付き、動けなくなっていた。
腰が抜けて、慌てふためいているのだ。
 
すると頭しかない人間体は、その者達を突如として丸呑みにした。 

その光景は、とても悍ましいものである。

だが蓮斗は一言、「あっ」と言うと落ち着いた様子で言った。

「僕の居場所を……くれ」

刹那、蓮斗をめがけて襲ってきた幾千もの骨の人間は、跡形もなく砕け散っていた。

その代わりにそこにいた者、それは真っ赤な返り血を浴びた、だった。





                          ーーーーーー




この世界に平和と呼べるものがあったのは、昔の話のことだ。

今から20年ほど前に突如として現れた、顔だけに皮膚と筋肉のついた人間体。
通称『骨人』は人に食らいつき、生命力を吸い取って生き繁殖していく。

そんな怪物によって、この世界は恐怖のどん底に突き落とされたのだ。

そんな時、奇跡は訪れた。
時空を超えて鬼がやってきたのだ。

しかもその鬼がこの世界に来たのは、この世界を征服するためなどではなく、助けを乞うためだった。

人々は思った。単純に力のある鬼が、下手に出てくれている。これはチャンスだと。
そうして彼らは、鬼を助ける代わりに骨人と戦うことを命じた。

鬼はそれに従ったが、市民の鬼に対する扱い方は酷い。
常に差別し守られていることを承知しながらも、そのことは棚に上げて、ストレス発散の為の道具として鬼のことを見ていた。

人とは違う青い肌、角、それらは鬼を貶すのには十分な材料だった。

そしていつしか、社会的に立場の低い彼ら鬼のことを、市民は挑発するかのようにこう呼んでいた。

『レイド《隷奴》』と。




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