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飛躍篇
第二十七話:炎の宿命
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アルバートは、エリアナの答えを聞くと、満足げに、そして侮辱に満ちた笑みを浮かべた。
「よかろう。ならば決闘は、一ヶ月後、王都の中央演習場にて行う。せいぜい、それまで命乞いの練習でもしておくがいい」
彼はそう吐き捨てると、騎士団と共に、来た時と同じように尊大に馬上の人となり、アステリアを去っていった。
その夜、アステリアの集会所では、緊急の評議会が開かれ、激しい議論が交わされていた。
「罠に決まってる!」「しかし、断れば反逆と見なされる…!」
紛糾する議論の中、当事者であるエリアナは、ただ静かに皆の言葉を聞いていた。やがて、全ての意見が出尽くしたのを見計らい、議長であるルシアンが、静かに口を開いた。
「俺は、エリアナの覚悟を信じる。この決闘、受けよう」
その、長の決定に、もはや誰も異を唱える者はいなかった。
評議会が終わった後、ルシアンは一人、夜風にあたるエリアナの元へ向かった。
「…本当に、いいのか?」
心配そうに問いかけるルシアンに、エリアナは振り返り、これまでにないほど力強い、そして美しい笑みを向けた。
「大丈夫。私、もう守られてるだけじゃないって、証明したいから」
その二人の決意に応えるかのように、レンが静かに歩み寄ってきた。彼女の表情は、いつになく真剣だった。
「エリアナ。あの男の理不尽、そしてあなたの覚悟、しかと見届けました」
レンは、エリアナの目をまっすぐに見据える。
「あのような者の横暴が許されてはなりません。それは、全ての戦う者の誇りを踏みにじる行為です。師として、そして曲がったことが嫌いな一人のエルフとして、私は、あなたを勝たせる」
その言葉には、燃えるような正義感と、絶対的な自信が宿っていた。
「これより、王都へ出発するまでの二週間。私の全てを、あなたに叩き込みます。覚悟は、よろしいですね?」
「…はい!」
エリアナは、力強く頷いた。
その日から、エリアナの生活は修練一色に染まった。
レンの指導は、これまでの基礎訓練とは比較にならないほど、過酷を極めた。防御、回避、そして、小さな炎を精密に操作し、相手の急所を的確に撃ち抜くための、実戦的な技術。レンは一切の妥協を許さず、エリアナは一度も弱音を吐かなかった。彼女の秘められた才能は、明確な目標と、信頼できる師を得て、急速に、そして美しく開花していく。そのひたむきな姿を、ルシアンは、ただ静かに見守っていた。
◇
その頃、シルベリア王国の王都にある、壮麗なドゥヴェリュー家の屋敷。
アステリアから帰還したアルバートは、父であるドゥヴェリュー男爵に、視察の結果を報告していた。
「して、アルバート。クロスロードの辺境にできたという、あの開拓村はどうであった?」
「取るに足らない、獣人どもの集落でしたよ、父上」
アルバートは、退屈そうに肩をすくめた。「ただ、生意気な女が一人おりましたので、我が家の騎士隊長との決闘で、その無礼を思い知らせてやることにしました」
その言葉に、男爵の目が鋭く光る。
「ほう。決闘だと?」
「ええ。あの女、生意気にも炎の魔力を持っているようでした。もちろん、我らボーモン本家の血を引く者の、太陽の炎とは比べ物にもならぬ、淡く濁った児戯のようなものでしたがね。あのような紛い物の力しか持たぬ者が、この私に楯突いたことが、どうにも腹に据えかねまして」
「うむ、それで良い」と、男爵は満足げに頷いた。婿養子としてこのドゥヴェリュー家に入った彼にとって、兄であり、王国一の火の魔法の使い手として名高いボーモン侯爵への劣等感は、常に心の奥底に燻っていた。
「我らドゥヴェリュー家も、ボーモン家の血に連なる者。その血を引かぬ平民に侮られては、兄上にも顔向けできん。徹底的に叩きのめし、二度と我らに逆らおうなどと思えぬようにしてやれ」
その歪んだ激励に、アルバートは愉悦の笑みを浮かべた。
彼は自室に戻ると、伯父である現ボーモン家当主、ボーモン侯爵へ宛てて、上質な羊皮紙に筆を走らせ始めた。
『親愛なる伯父上へ。近々、面白い余興がご用意できました。伯父上にも、ぜひご覧いただきたく…』と。
◇
決闘の三日前。ルシアン、エリアナ、レン、そしてネロの一行は、シルベリア王国の王都に到着した。
出発の前、ブレンナはエリアナの手をそっと握り、こう言っていた。「色々あったけど、あそこはあんたが育った場所だ。あんたを育ててくれた、あのご夫婦にも、顔を見せておやり」
その言葉に従い、四人は懐かしい貧民街へと足を踏み入れた。
ルシアンの脳裏には、ヴァレリウスの嘲笑や、鉱山での二年間の冷たい記憶が蘇る。彼にとって、ここは忌まわしい過去の象徴だった。一方、エリアナの瞳には、貧しくも、確かに幸せだった日々の記憶が、懐かしさと共に映っていた。
しかし、そこに広がっていたのは、二人の記憶にあるような、絶望に満ちた灰色の光景ではなかった。道は整備され、小さな食堂や診療所ができており、子供たちの明るい笑い声が響いている。
「おや、どっかで見たような…」
炊き出しをしていた女性が、親しげに声をかけてきた。
エリアナが「少し、街の様子が変わったみたいで…」と答えると、女性は嬉そうに頷いた。
「ああ! ヴァレリウスの旦那がいなくなってから、大違いさね。今じゃ、お騎士様たちが定期的に見回りに来て、食料まで配ってくれるんだよ」
その言葉に、ルシアンは思わず目を見開いた。(騎士団が…支援を…?)
王国や騎士団という存在は、彼にとって理不尽な権力の象徴でしかなかった。その彼らが、貧しい者たちを助けている。その意外な事実に、彼の心はわずかに揺れた。
エリアナは、育ての親である老夫婦の家の、古びた扉を叩いた。
「…はい」
扉を開けた老婆は、目の前に立つ、見違えるように凛とした佇まいのエリアナの姿に、一瞬、言葉を失った。
「まあ…まあ…! エリアナじゃないか! こんなに、こんなに立派になって…!」
老婆は、その皺くちゃの顔をさらにくしゃくしゃにして、涙を浮かべた。家の奥から出てきた老爺もまた、その目に涙を溜め、何度も頷いている。「ああ、ああ、よく帰ってきたな…」
粗末ながらも温かい部屋に通され、エリアナは老夫婦と、これまでの旅のこと、アステリアでの暮らしのことなどを、ゆっくりと語り合った。老夫婦は、彼女が多くの仲間たちに囲まれ、幸せに暮らしていることを知り、心から安堵の表情を浮かべていた。
話に夢中になるうち、エリアナはふと、自分がもう無力な少女ではないことを思い出した。
「おじいちゃん、おばあちゃん。私ね、魔法が使えるようになったの。見てて」
彼女は、これまでの感謝の気持ちを込めて、そして、自分の成長を見せたくて、手のひらの上に、あの美しい「炎の鳥」を顕現させてみせた。
しかし、老夫婦は、その魔法を見て喜ぶどころか、顔面蒼白になり、わなわなと震え始めた。
「お、お前さん…その炎は…! まさか、封印が…」
長年胸に秘めていた、衝撃の事実。老夫婦は、震える声で語り始めた。
エリアナは、赤子の頃、高貴な身なりの女性から「この子は忌み子。その身に宿る炎は、あまりに強すぎる故、災いを呼ぶ」と告げられ、託されたのだと。そして、「もし、この封印が解かれ、力が目覚めるようなことがあれば、この子を含め、我らの安全は保証できぬ」と、固く口止めされていたのだ、と。
老爺が、震える声で付け加えた。
「あのお方は…我らに赤子を託した後、すぐに馬車で去って行かれた。だが、我らは見たんじゃ。その馬車を、ボーモン家の紋章を付けた騎士たちが、血眼になって追っていくのを…!」
「ボーモン…?」
ルシアンが、その名に聞き覚えがあるかのように、眉をひそめた。
その呟きに、レンがはっとしたように目を見開く。
「…! そうです!」
彼女は、思い出したように言った。「あのアステリアに来た男…アルバートが、あなたの炎を見て、こう言いました。『ボーモン本家の血を引く者の前で、火の魔法とは滑稽な』と…!」
ここで、点と点が線で繋がった。
エリアナをモノにしようとした、あの傲慢な男。彼が、彼女の出自に関わる、ボーモン家の一族であるという事実。その繋がりが、ルシアンの怒りに、さらに油を注いだ。
隣に立つレンの瞳にも、正義感の強い彼女らしい、燃えるような怒りの色が宿っていた。
しかし、怒りに震える二人とは対照的に、エリアナは、ただ静かに、冷たい炎をその瞳に宿していた。
「…そう。なら、なおさら、負けられないわね」
「よかろう。ならば決闘は、一ヶ月後、王都の中央演習場にて行う。せいぜい、それまで命乞いの練習でもしておくがいい」
彼はそう吐き捨てると、騎士団と共に、来た時と同じように尊大に馬上の人となり、アステリアを去っていった。
その夜、アステリアの集会所では、緊急の評議会が開かれ、激しい議論が交わされていた。
「罠に決まってる!」「しかし、断れば反逆と見なされる…!」
紛糾する議論の中、当事者であるエリアナは、ただ静かに皆の言葉を聞いていた。やがて、全ての意見が出尽くしたのを見計らい、議長であるルシアンが、静かに口を開いた。
「俺は、エリアナの覚悟を信じる。この決闘、受けよう」
その、長の決定に、もはや誰も異を唱える者はいなかった。
評議会が終わった後、ルシアンは一人、夜風にあたるエリアナの元へ向かった。
「…本当に、いいのか?」
心配そうに問いかけるルシアンに、エリアナは振り返り、これまでにないほど力強い、そして美しい笑みを向けた。
「大丈夫。私、もう守られてるだけじゃないって、証明したいから」
その二人の決意に応えるかのように、レンが静かに歩み寄ってきた。彼女の表情は、いつになく真剣だった。
「エリアナ。あの男の理不尽、そしてあなたの覚悟、しかと見届けました」
レンは、エリアナの目をまっすぐに見据える。
「あのような者の横暴が許されてはなりません。それは、全ての戦う者の誇りを踏みにじる行為です。師として、そして曲がったことが嫌いな一人のエルフとして、私は、あなたを勝たせる」
その言葉には、燃えるような正義感と、絶対的な自信が宿っていた。
「これより、王都へ出発するまでの二週間。私の全てを、あなたに叩き込みます。覚悟は、よろしいですね?」
「…はい!」
エリアナは、力強く頷いた。
その日から、エリアナの生活は修練一色に染まった。
レンの指導は、これまでの基礎訓練とは比較にならないほど、過酷を極めた。防御、回避、そして、小さな炎を精密に操作し、相手の急所を的確に撃ち抜くための、実戦的な技術。レンは一切の妥協を許さず、エリアナは一度も弱音を吐かなかった。彼女の秘められた才能は、明確な目標と、信頼できる師を得て、急速に、そして美しく開花していく。そのひたむきな姿を、ルシアンは、ただ静かに見守っていた。
◇
その頃、シルベリア王国の王都にある、壮麗なドゥヴェリュー家の屋敷。
アステリアから帰還したアルバートは、父であるドゥヴェリュー男爵に、視察の結果を報告していた。
「して、アルバート。クロスロードの辺境にできたという、あの開拓村はどうであった?」
「取るに足らない、獣人どもの集落でしたよ、父上」
アルバートは、退屈そうに肩をすくめた。「ただ、生意気な女が一人おりましたので、我が家の騎士隊長との決闘で、その無礼を思い知らせてやることにしました」
その言葉に、男爵の目が鋭く光る。
「ほう。決闘だと?」
「ええ。あの女、生意気にも炎の魔力を持っているようでした。もちろん、我らボーモン本家の血を引く者の、太陽の炎とは比べ物にもならぬ、淡く濁った児戯のようなものでしたがね。あのような紛い物の力しか持たぬ者が、この私に楯突いたことが、どうにも腹に据えかねまして」
「うむ、それで良い」と、男爵は満足げに頷いた。婿養子としてこのドゥヴェリュー家に入った彼にとって、兄であり、王国一の火の魔法の使い手として名高いボーモン侯爵への劣等感は、常に心の奥底に燻っていた。
「我らドゥヴェリュー家も、ボーモン家の血に連なる者。その血を引かぬ平民に侮られては、兄上にも顔向けできん。徹底的に叩きのめし、二度と我らに逆らおうなどと思えぬようにしてやれ」
その歪んだ激励に、アルバートは愉悦の笑みを浮かべた。
彼は自室に戻ると、伯父である現ボーモン家当主、ボーモン侯爵へ宛てて、上質な羊皮紙に筆を走らせ始めた。
『親愛なる伯父上へ。近々、面白い余興がご用意できました。伯父上にも、ぜひご覧いただきたく…』と。
◇
決闘の三日前。ルシアン、エリアナ、レン、そしてネロの一行は、シルベリア王国の王都に到着した。
出発の前、ブレンナはエリアナの手をそっと握り、こう言っていた。「色々あったけど、あそこはあんたが育った場所だ。あんたを育ててくれた、あのご夫婦にも、顔を見せておやり」
その言葉に従い、四人は懐かしい貧民街へと足を踏み入れた。
ルシアンの脳裏には、ヴァレリウスの嘲笑や、鉱山での二年間の冷たい記憶が蘇る。彼にとって、ここは忌まわしい過去の象徴だった。一方、エリアナの瞳には、貧しくも、確かに幸せだった日々の記憶が、懐かしさと共に映っていた。
しかし、そこに広がっていたのは、二人の記憶にあるような、絶望に満ちた灰色の光景ではなかった。道は整備され、小さな食堂や診療所ができており、子供たちの明るい笑い声が響いている。
「おや、どっかで見たような…」
炊き出しをしていた女性が、親しげに声をかけてきた。
エリアナが「少し、街の様子が変わったみたいで…」と答えると、女性は嬉そうに頷いた。
「ああ! ヴァレリウスの旦那がいなくなってから、大違いさね。今じゃ、お騎士様たちが定期的に見回りに来て、食料まで配ってくれるんだよ」
その言葉に、ルシアンは思わず目を見開いた。(騎士団が…支援を…?)
王国や騎士団という存在は、彼にとって理不尽な権力の象徴でしかなかった。その彼らが、貧しい者たちを助けている。その意外な事実に、彼の心はわずかに揺れた。
エリアナは、育ての親である老夫婦の家の、古びた扉を叩いた。
「…はい」
扉を開けた老婆は、目の前に立つ、見違えるように凛とした佇まいのエリアナの姿に、一瞬、言葉を失った。
「まあ…まあ…! エリアナじゃないか! こんなに、こんなに立派になって…!」
老婆は、その皺くちゃの顔をさらにくしゃくしゃにして、涙を浮かべた。家の奥から出てきた老爺もまた、その目に涙を溜め、何度も頷いている。「ああ、ああ、よく帰ってきたな…」
粗末ながらも温かい部屋に通され、エリアナは老夫婦と、これまでの旅のこと、アステリアでの暮らしのことなどを、ゆっくりと語り合った。老夫婦は、彼女が多くの仲間たちに囲まれ、幸せに暮らしていることを知り、心から安堵の表情を浮かべていた。
話に夢中になるうち、エリアナはふと、自分がもう無力な少女ではないことを思い出した。
「おじいちゃん、おばあちゃん。私ね、魔法が使えるようになったの。見てて」
彼女は、これまでの感謝の気持ちを込めて、そして、自分の成長を見せたくて、手のひらの上に、あの美しい「炎の鳥」を顕現させてみせた。
しかし、老夫婦は、その魔法を見て喜ぶどころか、顔面蒼白になり、わなわなと震え始めた。
「お、お前さん…その炎は…! まさか、封印が…」
長年胸に秘めていた、衝撃の事実。老夫婦は、震える声で語り始めた。
エリアナは、赤子の頃、高貴な身なりの女性から「この子は忌み子。その身に宿る炎は、あまりに強すぎる故、災いを呼ぶ」と告げられ、託されたのだと。そして、「もし、この封印が解かれ、力が目覚めるようなことがあれば、この子を含め、我らの安全は保証できぬ」と、固く口止めされていたのだ、と。
老爺が、震える声で付け加えた。
「あのお方は…我らに赤子を託した後、すぐに馬車で去って行かれた。だが、我らは見たんじゃ。その馬車を、ボーモン家の紋章を付けた騎士たちが、血眼になって追っていくのを…!」
「ボーモン…?」
ルシアンが、その名に聞き覚えがあるかのように、眉をひそめた。
その呟きに、レンがはっとしたように目を見開く。
「…! そうです!」
彼女は、思い出したように言った。「あのアステリアに来た男…アルバートが、あなたの炎を見て、こう言いました。『ボーモン本家の血を引く者の前で、火の魔法とは滑稽な』と…!」
ここで、点と点が線で繋がった。
エリアナをモノにしようとした、あの傲慢な男。彼が、彼女の出自に関わる、ボーモン家の一族であるという事実。その繋がりが、ルシアンの怒りに、さらに油を注いだ。
隣に立つレンの瞳にも、正義感の強い彼女らしい、燃えるような怒りの色が宿っていた。
しかし、怒りに震える二人とは対照的に、エリアナは、ただ静かに、冷たい炎をその瞳に宿していた。
「…そう。なら、なおさら、負けられないわね」
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