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Promenade
ラブラブ大作戦
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ステラが手に持っていた扇を閉じて左の手のひらに叩きつけ、パシンパシンと音を立てていた。
「大賢人様がエイフィルにいるとはどう言う事なの?」
長らく大賢人様は社交界に姿を表す事はなく、王都で隠居生活をしていると伝わっていた。
サリスが首席魔導士となってからは、多くの魔法についてまとめた魔導書を執筆し、後世に残した功績から陞爵を打診されていたが、それを断り自由を謳歌しているはずの大賢人様がエイフィルで働いていたことはやはり知られていなかったようだ。
「ええっと…何故エイフィルにいるのかは聞いてませんが、役場の治療所の所長をしていました。それ以上は私よりフリードの方が知ってる…かも…?」
助けを求めるようにフリードを見上げると、フリードも困ったように微笑み返す。
「大賢人はあの地が気に入っており、密かに移り住んでいたことは王家としても見逃していた。治療所の所長をしていた事は私自身は知らされていませんでした」
「領主の許可も得ず勝手なことを。大賢人が王国にいる前提で全ての話が進んでいるわ。進路を変えなければ市民感情を煽る結果になる……私は一度戻り、対策を練る。プロムの前、そうねディナーの前にイシュトハンへ戻りなさい」
ステラはそのまま転送装置で去っていった。
「お母様には大賢人様の事が耳に入らないようにしなさい」と、置き土産のように重い言葉を残して。
母に知られてはまずいほど、大賢人様との間には何かがあるのだと匂わせるには充分な言葉だった。
フリードとの結婚式に招待すると言ってしまったのは間違いだったのかもしない。
「クロエ、僕たちも行こう」
「えぇ」
転送装置で王都の屋敷へと移動し、屋敷の前に用意されていた王家の豪華な馬車に乗り学園へと向かった。
馬車に乗り込むと大賢人様を透視し、自ら治癒魔法をかけている姿を確認した。人手は不足しているようだ。
「エイフィルには治癒師も不足しているみたい。応援が必要だわ」
治療所にも市民が逃げ込んでいた。声に耳を傾ければ、魔物を見て驚き階段から落ちた者、魔獣の雷撃に触れてしまった者で一時的なパンク状態で、少人数の治癒師だけでは、今は痛みを和らげるので精一杯で、回復魔法も使って何とか凌いでいる状態だった。
直接的な魔獣の被害者は少ないが、全ての人を相手にするには難しいことは感じ取れた。
「念のため陛下に治癒師の援助を申し出ておこう」
フリードはそれ以上は何も聞かず、席の後の壁に備え付けられた小さな棚から便箋を取り出すと、魔法で文字を綴っていった。
「そんな魔法をどこで覚えたの?」
筆記の魔法は、呪文を必要としない数少ない高度な魔法の一つだ。
呪文の代わりに正確に刻まれた魔法陣が必要になる。
しかしフリードは今、魔法陣を描かずに目の前の便箋に魔法字を記している。
「この封筒には予め魔法陣が描かれているんだ」
フリードが便箋に魔力を流し込むと、くっきりと便箋に青白い魔法陣が浮かび上がった。
「予め魔法陣を書いておけばいつでも使えるんだ。クロエも使ってみる?」
「今はやめておくわ。そのかわり練習用に何枚かもらってもいい?」
揺れる馬車の中手紙を書くには筆記の魔法は非常に便利だ。
しかし、馬車の中でまで手紙を書かなければいけない場面はないだろう。ただ単に、面白そうなので興味はあるが、練習は1人でひっそりと集中してやりたいのだ。
「いいけど…今練習で書いてみる?って意味だったんだよ?」
「えぇ。そんなことは分かって言っているのよ」
そう言いながらフリードの後ろにある棚からひらりひらりと紙を浮かせた。
そして指を鳴らすと、王都の執務室の引き出しの奥へと便箋を転送させる。
「まだ許可は出してないのに」
「ねえ、その口調そろそろやめてくれない?」
子供のような話し方に、そろそろ我慢の限界が来ていた。
いくら可愛い見た目をしているからといって、決して可愛くない身長なのだから、話していると頭が妙に疲れてくる。
言われた本人は、何を言っているのか分からないのか、口を開けたままフリーズしてしまっている。
「無意識だった…クロエの前では可愛く居なくちゃいけないと、癖付いてしまったみたいだ…」
自分でも驚いているようで、口元に手を当て考え込んでしまっている。
「呆れた…私の前じゃなくても、アヒルとお風呂に入って鼻歌歌ったりしているじゃない。そういう趣味があるなら隠さなくてもいいけど、家の中だけにしてくれるならまぁ目を瞑るわ」
「どうしてそれを!?」
「どうしてと言われても…」
「そういえば、ウェルズを王家の使っている影だと気付いたのもおかしい。やはりうちに情報を漏らしている者がいるということか?」
検討外れのことを言い出したので、クロエはそっと馬車の小窓のカーテンを少し上げて外を眺めた。
少し趣味が悪いけど、政略結婚だと思えばそれほどフリードに不満はない。
王家の馬車を見て、フリードとクロエが乗っていることを察した商人たちが表に出てきていて、歩いている者も足を止めて話している。
噂の2人の乗った馬車は注目を浴びているようだった。
「フリード、今日は私から離れないでね?」
「勿論、君の隣は私が独占するよ」
フリードが跪き、クロエの手を取ったので、その謙った姿勢にクスリと笑い声が漏れた。
この国の王子がなぜそんな捨てられる前の仔犬のような目で見上げるのだろう。この目にはとても弱いことは事実だった。
「私の隣は君のための席だ。位じゃなきゃダメじゃない?やり直し!」
「クロエ、私から一生離れることは許さない」
「キャッ」
茶化すようにやり直しを求めたのに、返ってきた言葉はとても真剣なもので、スッと握られていた手を引かれて、狭い馬車の中、フリードに倒れるようにしてバランスを崩すと、そのまま抱き抱えられてしまった。
「クロエが私のものだと見せつけられる」
「フリード…」
独占欲の塊のような発言に、呆れるようにため息をついたが、今日はその位がちょうどいい。
座席の間の狭い空間で抱きしめられ、フリードの美しい顔はすぐ近くにあった。
「やられっぱなしなのは気に入らないわ」
フリードの顔を両手で挟むと、いつかされたように親指をフリードの滑らかな肌に滑らせ、ハムっと柔らかい頬を口に含んだ。
「んっ…ちょっと…クロエ…」
しばらくハムハムと頬の弾力を楽しんだ後、クチュッと音を立てて唇を離すと、上気したフリードの顔に紅がくっきりと付いていて、してやったりと悪い笑みを隠せなかった。
「大賢人様がエイフィルにいるとはどう言う事なの?」
長らく大賢人様は社交界に姿を表す事はなく、王都で隠居生活をしていると伝わっていた。
サリスが首席魔導士となってからは、多くの魔法についてまとめた魔導書を執筆し、後世に残した功績から陞爵を打診されていたが、それを断り自由を謳歌しているはずの大賢人様がエイフィルで働いていたことはやはり知られていなかったようだ。
「ええっと…何故エイフィルにいるのかは聞いてませんが、役場の治療所の所長をしていました。それ以上は私よりフリードの方が知ってる…かも…?」
助けを求めるようにフリードを見上げると、フリードも困ったように微笑み返す。
「大賢人はあの地が気に入っており、密かに移り住んでいたことは王家としても見逃していた。治療所の所長をしていた事は私自身は知らされていませんでした」
「領主の許可も得ず勝手なことを。大賢人が王国にいる前提で全ての話が進んでいるわ。進路を変えなければ市民感情を煽る結果になる……私は一度戻り、対策を練る。プロムの前、そうねディナーの前にイシュトハンへ戻りなさい」
ステラはそのまま転送装置で去っていった。
「お母様には大賢人様の事が耳に入らないようにしなさい」と、置き土産のように重い言葉を残して。
母に知られてはまずいほど、大賢人様との間には何かがあるのだと匂わせるには充分な言葉だった。
フリードとの結婚式に招待すると言ってしまったのは間違いだったのかもしない。
「クロエ、僕たちも行こう」
「えぇ」
転送装置で王都の屋敷へと移動し、屋敷の前に用意されていた王家の豪華な馬車に乗り学園へと向かった。
馬車に乗り込むと大賢人様を透視し、自ら治癒魔法をかけている姿を確認した。人手は不足しているようだ。
「エイフィルには治癒師も不足しているみたい。応援が必要だわ」
治療所にも市民が逃げ込んでいた。声に耳を傾ければ、魔物を見て驚き階段から落ちた者、魔獣の雷撃に触れてしまった者で一時的なパンク状態で、少人数の治癒師だけでは、今は痛みを和らげるので精一杯で、回復魔法も使って何とか凌いでいる状態だった。
直接的な魔獣の被害者は少ないが、全ての人を相手にするには難しいことは感じ取れた。
「念のため陛下に治癒師の援助を申し出ておこう」
フリードはそれ以上は何も聞かず、席の後の壁に備え付けられた小さな棚から便箋を取り出すと、魔法で文字を綴っていった。
「そんな魔法をどこで覚えたの?」
筆記の魔法は、呪文を必要としない数少ない高度な魔法の一つだ。
呪文の代わりに正確に刻まれた魔法陣が必要になる。
しかしフリードは今、魔法陣を描かずに目の前の便箋に魔法字を記している。
「この封筒には予め魔法陣が描かれているんだ」
フリードが便箋に魔力を流し込むと、くっきりと便箋に青白い魔法陣が浮かび上がった。
「予め魔法陣を書いておけばいつでも使えるんだ。クロエも使ってみる?」
「今はやめておくわ。そのかわり練習用に何枚かもらってもいい?」
揺れる馬車の中手紙を書くには筆記の魔法は非常に便利だ。
しかし、馬車の中でまで手紙を書かなければいけない場面はないだろう。ただ単に、面白そうなので興味はあるが、練習は1人でひっそりと集中してやりたいのだ。
「いいけど…今練習で書いてみる?って意味だったんだよ?」
「えぇ。そんなことは分かって言っているのよ」
そう言いながらフリードの後ろにある棚からひらりひらりと紙を浮かせた。
そして指を鳴らすと、王都の執務室の引き出しの奥へと便箋を転送させる。
「まだ許可は出してないのに」
「ねえ、その口調そろそろやめてくれない?」
子供のような話し方に、そろそろ我慢の限界が来ていた。
いくら可愛い見た目をしているからといって、決して可愛くない身長なのだから、話していると頭が妙に疲れてくる。
言われた本人は、何を言っているのか分からないのか、口を開けたままフリーズしてしまっている。
「無意識だった…クロエの前では可愛く居なくちゃいけないと、癖付いてしまったみたいだ…」
自分でも驚いているようで、口元に手を当て考え込んでしまっている。
「呆れた…私の前じゃなくても、アヒルとお風呂に入って鼻歌歌ったりしているじゃない。そういう趣味があるなら隠さなくてもいいけど、家の中だけにしてくれるならまぁ目を瞑るわ」
「どうしてそれを!?」
「どうしてと言われても…」
「そういえば、ウェルズを王家の使っている影だと気付いたのもおかしい。やはりうちに情報を漏らしている者がいるということか?」
検討外れのことを言い出したので、クロエはそっと馬車の小窓のカーテンを少し上げて外を眺めた。
少し趣味が悪いけど、政略結婚だと思えばそれほどフリードに不満はない。
王家の馬車を見て、フリードとクロエが乗っていることを察した商人たちが表に出てきていて、歩いている者も足を止めて話している。
噂の2人の乗った馬車は注目を浴びているようだった。
「フリード、今日は私から離れないでね?」
「勿論、君の隣は私が独占するよ」
フリードが跪き、クロエの手を取ったので、その謙った姿勢にクスリと笑い声が漏れた。
この国の王子がなぜそんな捨てられる前の仔犬のような目で見上げるのだろう。この目にはとても弱いことは事実だった。
「私の隣は君のための席だ。位じゃなきゃダメじゃない?やり直し!」
「クロエ、私から一生離れることは許さない」
「キャッ」
茶化すようにやり直しを求めたのに、返ってきた言葉はとても真剣なもので、スッと握られていた手を引かれて、狭い馬車の中、フリードに倒れるようにしてバランスを崩すと、そのまま抱き抱えられてしまった。
「クロエが私のものだと見せつけられる」
「フリード…」
独占欲の塊のような発言に、呆れるようにため息をついたが、今日はその位がちょうどいい。
座席の間の狭い空間で抱きしめられ、フリードの美しい顔はすぐ近くにあった。
「やられっぱなしなのは気に入らないわ」
フリードの顔を両手で挟むと、いつかされたように親指をフリードの滑らかな肌に滑らせ、ハムっと柔らかい頬を口に含んだ。
「んっ…ちょっと…クロエ…」
しばらくハムハムと頬の弾力を楽しんだ後、クチュッと音を立てて唇を離すと、上気したフリードの顔に紅がくっきりと付いていて、してやったりと悪い笑みを隠せなかった。
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