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第一部
運命のパーティ
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「突然の質問に驚かせてしまいましたか?」
「いえ、私の事はお忘れなのかと思っていたので驚いただけです」
失礼だなどと怒ることもなく、彼は少し申し訳なさそうにしていた。
これまでフロージアの隣で挨拶を交わした程度の最低限の交流しか彼とはしたことがなかったが、せっかちな私が彼のゆったりとした時間の流れの中にいるかのような不思議な感覚に襲われた。
「何度もご挨拶した事はありますし、勿論令嬢の事はすぐに分かりましたよ」
すぐに分かったのならば、令嬢などと暈した呼び方はしないで欲しいものだ。
「そうでしたか。そういえば今日はまだご挨拶がまだでしたね。ステラ・リラ・イシュトハン。お忘れだったかもしれませんが三姉妹の長女ですわ」
この言い方は少し意地悪だったかしら?と少しばかり思いながらも彼ならば許してくれるだろうと確信していた。
「デイヴィッド・ファイル・クラークです。兄弟はいないので、今は母に早く結婚してくれと毎日泣かれています」
「まぁ!夫人が?フフッ彼女を泣かすだなんてとんでもないことですわ」
先代公爵の奥様は、元魔術師で社交界に疎い王妃の代わりにと言っていいかは分からないが、社交界を牽引する強き女性というイメージだった。
派閥による嫌がらせや陰口もあっただろうが、公爵家の力の使い方がうまく、大きな批判を受けた事がない素晴らしき手腕の持ち主だ。
ある時は影から援助し、邪魔者を始末し、綺麗事だけじゃ収まらない社交界の中心で生きてきた方、皇太子妃を目指した私はもちろん何度もお茶会やパーティに参加したことがある。
「えぇ。母は恐ろしい方ですから、こうして反抗することもなくパーティへ参加しているのですが、それも今日までのようです」
「あら、ついにストライキでもなさるのかしら」
クスクスと笑いながら私の身体は自然と彼の方をしっかりと向いていた。
「いえ、明日の朝、イシュトハン家に縁談を申し込もうかと。辺境伯とはあまり交流がありませんが、私に可能性はありそうですか?」
「縁談を?イシュトハン家は政略結婚はしないので、イシュトハン家に来た縁談は全てお断りしています。ただ、父と交友関係にある方との縁談だけ娘に伝わることもあるというくらいでしょうか?因みに次女のダリアは婚約を済ませていますし、末の妹はまだ社交界にも出ていませんので、本気なのでしたらもう少し待ったほうが…」
難しそうだとやんわりとお断りしながら彼の顔を見上げていって、彼が三姉妹の誰かとの縁談という意味ではなく、私との縁談を希望しているのだと気付いた。
ドキリとする位真剣な視線とぶつかると、こんなにハッキリと口説かれているのに気付かずに的外れな事を言っている自分が恥ずかしくなった。
今まで一度だって口説かれた事なく生きてきたのだ。
私には皇太子が隣に必ずいたのだから当然のことだ。
「えっと…私はイシュトハンの後継者ですし、公爵様が婿に入る事は困難かと思うのですが」
「ですが、フロージア殿下の隣に立っていたという事は、継承権は放棄する気でいたということなのでは?」
「それは…」
その通りだ。
私はずっと後継者として生きてきたが、それだけが道ではないと考えていたし、違う道を選択することも許可されていた。
社交界でも暗黙の了解として妹のどちらかがイシュトハンを継ぐのだろうと考えられていたのに、後継者だからと振られた惨めな女が私だった。
「それに、あのまま彼を呑気に踊らせるのも嫌でしょう?私たちはオーラの色も似ているし、お互いに結婚相手を探している。もし私が気に入らないのなら仕方ありませんが、もし宜しければ私と一曲踊っていただけませんか?」
「気に入らないなんてそんなことはありませんが、いいのですか?きっとすぐに噂は広まりますよ?」
もしかしたら私の最初の独り言を聞いて、哀れに思ってくれたのかもしれない。
王宮を守る結界を張る私は、正直結婚相手としてはあまり好まれない立場になってしまった。
王族と縁を結びたい中流貴族や、他国の高位貴族にはまだ歓迎されるだろうが、自領の防衛のための結界を張るのを任せたい魔力目当ての貴族達は一気に興味をなくしたことだろう。
現に、王宮の結界を維持するのはかなりの魔力を消費しており、私の食事回数を増やして対応している。
常時数人で維持していた結界を一人で補うのだから、陛下の命令で犠牲になったものはとても大きいものだった。
「噂なんて大歓迎ですよ。さぁ、派手に戻って注目を攫いましょう」
公爵は私の手を取ると、私の身体はふわりと宙に浮いた。
魔法で扉を開けてそのままホールへと空を歩きながらエスコートされた。
「いえ、私の事はお忘れなのかと思っていたので驚いただけです」
失礼だなどと怒ることもなく、彼は少し申し訳なさそうにしていた。
これまでフロージアの隣で挨拶を交わした程度の最低限の交流しか彼とはしたことがなかったが、せっかちな私が彼のゆったりとした時間の流れの中にいるかのような不思議な感覚に襲われた。
「何度もご挨拶した事はありますし、勿論令嬢の事はすぐに分かりましたよ」
すぐに分かったのならば、令嬢などと暈した呼び方はしないで欲しいものだ。
「そうでしたか。そういえば今日はまだご挨拶がまだでしたね。ステラ・リラ・イシュトハン。お忘れだったかもしれませんが三姉妹の長女ですわ」
この言い方は少し意地悪だったかしら?と少しばかり思いながらも彼ならば許してくれるだろうと確信していた。
「デイヴィッド・ファイル・クラークです。兄弟はいないので、今は母に早く結婚してくれと毎日泣かれています」
「まぁ!夫人が?フフッ彼女を泣かすだなんてとんでもないことですわ」
先代公爵の奥様は、元魔術師で社交界に疎い王妃の代わりにと言っていいかは分からないが、社交界を牽引する強き女性というイメージだった。
派閥による嫌がらせや陰口もあっただろうが、公爵家の力の使い方がうまく、大きな批判を受けた事がない素晴らしき手腕の持ち主だ。
ある時は影から援助し、邪魔者を始末し、綺麗事だけじゃ収まらない社交界の中心で生きてきた方、皇太子妃を目指した私はもちろん何度もお茶会やパーティに参加したことがある。
「えぇ。母は恐ろしい方ですから、こうして反抗することもなくパーティへ参加しているのですが、それも今日までのようです」
「あら、ついにストライキでもなさるのかしら」
クスクスと笑いながら私の身体は自然と彼の方をしっかりと向いていた。
「いえ、明日の朝、イシュトハン家に縁談を申し込もうかと。辺境伯とはあまり交流がありませんが、私に可能性はありそうですか?」
「縁談を?イシュトハン家は政略結婚はしないので、イシュトハン家に来た縁談は全てお断りしています。ただ、父と交友関係にある方との縁談だけ娘に伝わることもあるというくらいでしょうか?因みに次女のダリアは婚約を済ませていますし、末の妹はまだ社交界にも出ていませんので、本気なのでしたらもう少し待ったほうが…」
難しそうだとやんわりとお断りしながら彼の顔を見上げていって、彼が三姉妹の誰かとの縁談という意味ではなく、私との縁談を希望しているのだと気付いた。
ドキリとする位真剣な視線とぶつかると、こんなにハッキリと口説かれているのに気付かずに的外れな事を言っている自分が恥ずかしくなった。
今まで一度だって口説かれた事なく生きてきたのだ。
私には皇太子が隣に必ずいたのだから当然のことだ。
「えっと…私はイシュトハンの後継者ですし、公爵様が婿に入る事は困難かと思うのですが」
「ですが、フロージア殿下の隣に立っていたという事は、継承権は放棄する気でいたということなのでは?」
「それは…」
その通りだ。
私はずっと後継者として生きてきたが、それだけが道ではないと考えていたし、違う道を選択することも許可されていた。
社交界でも暗黙の了解として妹のどちらかがイシュトハンを継ぐのだろうと考えられていたのに、後継者だからと振られた惨めな女が私だった。
「それに、あのまま彼を呑気に踊らせるのも嫌でしょう?私たちはオーラの色も似ているし、お互いに結婚相手を探している。もし私が気に入らないのなら仕方ありませんが、もし宜しければ私と一曲踊っていただけませんか?」
「気に入らないなんてそんなことはありませんが、いいのですか?きっとすぐに噂は広まりますよ?」
もしかしたら私の最初の独り言を聞いて、哀れに思ってくれたのかもしれない。
王宮を守る結界を張る私は、正直結婚相手としてはあまり好まれない立場になってしまった。
王族と縁を結びたい中流貴族や、他国の高位貴族にはまだ歓迎されるだろうが、自領の防衛のための結界を張るのを任せたい魔力目当ての貴族達は一気に興味をなくしたことだろう。
現に、王宮の結界を維持するのはかなりの魔力を消費しており、私の食事回数を増やして対応している。
常時数人で維持していた結界を一人で補うのだから、陛下の命令で犠牲になったものはとても大きいものだった。
「噂なんて大歓迎ですよ。さぁ、派手に戻って注目を攫いましょう」
公爵は私の手を取ると、私の身体はふわりと宙に浮いた。
魔法で扉を開けてそのままホールへと空を歩きながらエスコートされた。
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