39 / 46
3章「こんなはずでは?」
37話
しおりを挟む
エリウッドはペガサスにまたがったまま、地上よりアーブラハム邸の敷地の中に入ろうとした。
「ここはアーブラハム邸だ。貴様、何者だ!」
エリウッドは門番をしている2名の鉄製の防具を身に纏う騎士に進路を塞がれる形でせきとめられた。
「私はタルティア国第4王子エリウッド・タルティア・アスモフSA。HUM、国から離れれば私の顔を知る者は少ないか」
エリウッドが門番に対し自分の説明をするが、エリウッドの言葉を嘘と思っているのか怪訝な顔を浮かべている。
「怪しい奴め! 命が惜しくばこの場から立ち去れい!」
門番が手に持つ槍をエリウッドに向け警告をした。
「SO。まずは君達の隊長を呼んで貰えないか?」
エリウッドは左手に身に付ける王家の指輪を彼等に見せながら、両手を挙げ攻撃の意思は無い事を示す。
「あの指輪、高価そうな物だな、どうする?」
「万が一本物の王子だった場合俺達の首が危うい、一先ず隊長を呼びに行って来る」
王家の指輪を見た門番が小声で相談し、1人が隊長を呼びに敷地の中へ入って行った。
「可笑しな真似はするなよ!」
残された門番が、エリウッドに向けている槍を5cm程近付け威嚇した。
5分程経過したところで、門番達が身に付ける鎧に比べ美しい金属光沢を放つ鎧を身に付けた騎士が、先程の門番と共にやって来た。
「部下達の非礼心よりお詫び致します」
エリウッドに近付いた隊長が、地面に片膝を付き丁重にお辞儀をする。
「さ、先程は申し訳ありませんでしたっ」
それを見た2人の門番は慌てて槍を地面に捨て置き隊長と同じく丁重なお辞儀をした。
「IYA。仕方無いSA。アーブラハム氏の元へ案内してもらいたい。頼めるかい?」
「ハッ。仰せのままに」
エリウッドから依頼を受けた門番達は立ち上がると、隊長がエリウッドをアーブラハム氏の元へ案内した。
それぞれの館へ続く為に敷かれた道を除き、主に芝生で構成されところどころ樹々や花々が植えられた敷地内をエリウッド達はゆっくりと進んでいく。
敷地の入り口から10分弱歩いた所で、アーブラハム邸の本邸に辿り着いた。
隊長が、本邸の入り口を守る騎士に事情を説明すると、彼等もやはりエリウッドに対し丁重な態度を見せるがエリウッドは何時も通り気にしない様と言う。
騎士の1人がエリウッドの到来の報告へ向かい、暫くするとフォーマルな礼服に身を纏った執事が現れた。
ここからは、隊長に代わりこの執事がエリウッドの案内役を務める事になり、エリウッドはペガサスから降り本邸の中へ入った。
「エリウッド様。本日はどの様なご用件で御座いましょうか」
豪華な装飾が施される広い館を移動している所で執事がエリウッドに尋ねた。
「HUM。アーブラハム領で良くない話を聞いたのSA」
「左様ですか? アーブラハム様がその様な事をなさるとは思いませぬが」
「それは私の目で確かめるSA」
エリウッドの言葉を受けた執事が口元を強張らせ、すれ違った騎士に目で合図を送った。
合図を受けた騎士は、歩くペースを上げ何処かへ向かった。
2階へ続く階段の前で執事が立ち止まる。
「エリウッド様はまだお若くあります。 御用件でしたら私が承ります」
執事はエリウッドに対し、警告のつもりで伝える。
が、エリウッドはそれに気付いているのか気付いていないのか、
「HAHA。僕は王子さ、遠回しに伝えるなんてそんな事はしないSA」
エリウッドは執事の言葉を無視し、先に進むよう促す。
「左様でありますか。世の中勉強は重要で御座います」
執事は意味深な言葉を述べ、階段を昇る。
2階に辿り着き通路を真っ直ぐ中央付近まで進んだところ、エリウッド達の右手に両サイドに花が活けられた、人二人が入れる広さのある木製の扉の前に辿り着いた。
木製の扉を執事が2度ノックし、アーブラハム卿の返事を確認した所で扉を開け、
「旦那様、失礼致します」
「これはこれは執事殿、どの様な用件で?」
部屋の奥で、デスクワークをしていた少しばかり背が低い小太りの男、年齢は40代と思われるアーブラハム卿が執事に尋ねた。
「エリウッド王子より旦那様とお話があるとの事で御座います」
アーブラハム卿はあごをさすり、執事の隣に居るエリウッド王子へと視線を向ける。
「おぉ、エリウッド様。 わざわざこの様な地への来訪感謝致します。本来ならわたくしの方が行かねばなりませぬところを」
アーブラハムが立ち上がり、エリウッドの元へ近付いた。
「HUM。気にしなくて良いSA。僕は貴殿にこの領土の税を下げさせに来ただけSA」
「ははは、何をおっしゃいますか。 わたくしの収める領内は軽税で有名ですぞ。これ以上税収を下げられてしまってはわたくし達の生活が成り立ちませぬ」
アーブラハム卿の目付きが少しだけキツさを帯びる。
先程の執事同様、彼もまた執事に対し目で合図を送る。
合図を受けた執事は、頷くとエリウッドに気付かれぬよう気配を消しスッっと部屋を後にした。
「ここはアーブラハム邸だ。貴様、何者だ!」
エリウッドは門番をしている2名の鉄製の防具を身に纏う騎士に進路を塞がれる形でせきとめられた。
「私はタルティア国第4王子エリウッド・タルティア・アスモフSA。HUM、国から離れれば私の顔を知る者は少ないか」
エリウッドが門番に対し自分の説明をするが、エリウッドの言葉を嘘と思っているのか怪訝な顔を浮かべている。
「怪しい奴め! 命が惜しくばこの場から立ち去れい!」
門番が手に持つ槍をエリウッドに向け警告をした。
「SO。まずは君達の隊長を呼んで貰えないか?」
エリウッドは左手に身に付ける王家の指輪を彼等に見せながら、両手を挙げ攻撃の意思は無い事を示す。
「あの指輪、高価そうな物だな、どうする?」
「万が一本物の王子だった場合俺達の首が危うい、一先ず隊長を呼びに行って来る」
王家の指輪を見た門番が小声で相談し、1人が隊長を呼びに敷地の中へ入って行った。
「可笑しな真似はするなよ!」
残された門番が、エリウッドに向けている槍を5cm程近付け威嚇した。
5分程経過したところで、門番達が身に付ける鎧に比べ美しい金属光沢を放つ鎧を身に付けた騎士が、先程の門番と共にやって来た。
「部下達の非礼心よりお詫び致します」
エリウッドに近付いた隊長が、地面に片膝を付き丁重にお辞儀をする。
「さ、先程は申し訳ありませんでしたっ」
それを見た2人の門番は慌てて槍を地面に捨て置き隊長と同じく丁重なお辞儀をした。
「IYA。仕方無いSA。アーブラハム氏の元へ案内してもらいたい。頼めるかい?」
「ハッ。仰せのままに」
エリウッドから依頼を受けた門番達は立ち上がると、隊長がエリウッドをアーブラハム氏の元へ案内した。
それぞれの館へ続く為に敷かれた道を除き、主に芝生で構成されところどころ樹々や花々が植えられた敷地内をエリウッド達はゆっくりと進んでいく。
敷地の入り口から10分弱歩いた所で、アーブラハム邸の本邸に辿り着いた。
隊長が、本邸の入り口を守る騎士に事情を説明すると、彼等もやはりエリウッドに対し丁重な態度を見せるがエリウッドは何時も通り気にしない様と言う。
騎士の1人がエリウッドの到来の報告へ向かい、暫くするとフォーマルな礼服に身を纏った執事が現れた。
ここからは、隊長に代わりこの執事がエリウッドの案内役を務める事になり、エリウッドはペガサスから降り本邸の中へ入った。
「エリウッド様。本日はどの様なご用件で御座いましょうか」
豪華な装飾が施される広い館を移動している所で執事がエリウッドに尋ねた。
「HUM。アーブラハム領で良くない話を聞いたのSA」
「左様ですか? アーブラハム様がその様な事をなさるとは思いませぬが」
「それは私の目で確かめるSA」
エリウッドの言葉を受けた執事が口元を強張らせ、すれ違った騎士に目で合図を送った。
合図を受けた騎士は、歩くペースを上げ何処かへ向かった。
2階へ続く階段の前で執事が立ち止まる。
「エリウッド様はまだお若くあります。 御用件でしたら私が承ります」
執事はエリウッドに対し、警告のつもりで伝える。
が、エリウッドはそれに気付いているのか気付いていないのか、
「HAHA。僕は王子さ、遠回しに伝えるなんてそんな事はしないSA」
エリウッドは執事の言葉を無視し、先に進むよう促す。
「左様でありますか。世の中勉強は重要で御座います」
執事は意味深な言葉を述べ、階段を昇る。
2階に辿り着き通路を真っ直ぐ中央付近まで進んだところ、エリウッド達の右手に両サイドに花が活けられた、人二人が入れる広さのある木製の扉の前に辿り着いた。
木製の扉を執事が2度ノックし、アーブラハム卿の返事を確認した所で扉を開け、
「旦那様、失礼致します」
「これはこれは執事殿、どの様な用件で?」
部屋の奥で、デスクワークをしていた少しばかり背が低い小太りの男、年齢は40代と思われるアーブラハム卿が執事に尋ねた。
「エリウッド王子より旦那様とお話があるとの事で御座います」
アーブラハム卿はあごをさすり、執事の隣に居るエリウッド王子へと視線を向ける。
「おぉ、エリウッド様。 わざわざこの様な地への来訪感謝致します。本来ならわたくしの方が行かねばなりませぬところを」
アーブラハムが立ち上がり、エリウッドの元へ近付いた。
「HUM。気にしなくて良いSA。僕は貴殿にこの領土の税を下げさせに来ただけSA」
「ははは、何をおっしゃいますか。 わたくしの収める領内は軽税で有名ですぞ。これ以上税収を下げられてしまってはわたくし達の生活が成り立ちませぬ」
アーブラハム卿の目付きが少しだけキツさを帯びる。
先程の執事同様、彼もまた執事に対し目で合図を送る。
合図を受けた執事は、頷くとエリウッドに気付かれぬよう気配を消しスッっと部屋を後にした。
0
あなたにおすすめの小説
メインをはれない私は、普通に令嬢やってます
かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール
けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・
だから、この世界での普通の令嬢になります!
↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
悪役令嬢の慟哭
浜柔
ファンタジー
前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。
だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。
※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。
※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。
「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。
「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。
貴族令嬢、転生十秒で家出します。目指せ、おひとり様スローライフ
凜
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞にて奨励賞を頂きました。ありがとうございます!
貴族令嬢に転生したリルは、前世の記憶に混乱しつつも今世で恵まれていない環境なことに気が付き、突発で家出してしまう。
前世の社畜生活で疲れていたため、山奥で魔法の才能を生かしスローライフを目指すことにした。しかししょっぱなから魔物に襲われ、元王宮魔法士と出会ったり、はては皇子までやってきてと、なんだかスローライフとは違う毎日で……?
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
転生ヒロインは不倫が嫌いなので地道な道を選らぶ
karon
ファンタジー
デビュタントドレスを見た瞬間アメリアはかつて好きだった乙女ゲーム「薔薇の言の葉」の世界に転生したことを悟った。
しかし、攻略対象に張り付いた自分より身分の高い悪役令嬢と戦う危険性を考え、攻略対象完全無視でモブとくっつくことを決心、しかし、アメリアの思惑は思わぬ方向に横滑りし。
断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます
山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。
でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。
それを証明すれば断罪回避できるはず。
幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。
チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。
処刑5秒前だから、今すぐに!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる