AUKUYAKU☆令嬢に転生したおっさんのAKUGYOU記1

うさぎ蕎麦

文字の大きさ
42 / 46
3章「こんなはずでは?」

40話

しおりを挟む
 そう言って門番は懐の中から丁度写真が入りそうな大きさのケースを取り出す。
 そのケースの中からは1枚の写真とはいかないが、恐らく鉛筆で書いたであろう精巧な少女の絵が描かれていた紙が入っていた。
 で、彼の言う通りその少女と言うのが俺の姿と酷似している。
 どこかで誰かが俺の自画像を描いたのだろう。

「おまえ、それっ、以前高い買い物したって言ってた時?」
「ああそうさ、大金叩いて買ったんだ!」

 高々ブロマイドに近い物に対して大金と言われる事に少々違和感を覚えるが、この時代、手描きでなければその手のモノを生み出せないとなれば値が張るのは仕方がない事か。
 自分のブロマイドに対し高値がついているのは少しばかり嬉しく思えてくるのだけども。

「確かにお前の言う通りその絵と目の前の少女は同じだな」
「そうだろ? そうだろ? ささっ、ルチーナ様、出来れば一つだけ頼みがあるのですが」

 そう言われてロクな事は浮かばないが、最悪原付で逃げれる訳だから聞くだけ聞こう。
 
「どの様な事で御座いましょうか?」

 俺はステラ嬢ほどではないが柔らかめの笑顔を見せ返事をした。
 
「そ、その、この絵の裏側にルチーナ様のサインを書いて下さいっ!」

 門番が少々恥じらいながらも、ペンを取り出し俺に頼んだ。

「おほほ、お安い御用で御座いますわ」
 
 俺はペンを受け取ると、サラサラサラっとテキトーなサインを書き門番にペンを返した。

「うひょっ、あ、有難う御座いますっ! へへっ、みんなに自慢してやるぜ」

 私のサインを受け取った門番はまるで少年の様にはしゃいでいる。
 もう一人の門番は、俺に興味関心が無いのか若干冷ややかな目をしながら愛想笑いをしている。
 多分20歳位の彼等から見て14歳の俺に興味を示すのはロリコンに片足を突っ込んでいる以上此方の反応の方が正しいとは思うが。

「お聞きしたい事が御座いますが宜しくて?」
「どうぞどうぞ、私の家族構成から趣味、恋人の話まで何なりとお聞きくださいませ!」

 得意気に言う門番だが、生憎アンタのプライベート情報など一切合切興味関心は無い。

「エリウッド様に関してお聞きしたい事が御座います」
「え、エリウッド様? まさか、ルチーナ様はエリウッド様と!?」

 門番は稲妻に撃たれたかの様に衝撃を受けている。
 確かにエリウッドからは惚れ薬の力とは言え俺を追い回しているが、どうしてそんな発想をするのかとツッコミを入れたくなるところだ。

「おい、全く。ルチーナ様がお前のプライベートに興味がある訳無いだろう。エリウッド様ならアーブラハム様の居る本邸に向かいました。私がご案内いたします」

 と言って門番は相方に視線で圧を掛けた。

「クッ、行って来いよ」

 相方は言い争いをしようと思ったが思い留まったかのように見える。
 こう見えても一応、職務中である自覚はある様だ。

「感謝いたしますわ」

 俺は、自分に興味を抱いていない方の門番に連れられアーブラハム本邸に案内された。
 その道中、彼からは原付について根掘り葉掘り聞かれた。
 どうやら彼は機械と言えば良いのか、からくりは世界観が違うし、とにかく不思議な物体に対して非常に興味がある様だった。
 また、俺が身に着けているヘルメットにも興味を示しており、軽くて強度の高い素晴らしい防具と絶賛していた。
 確かにこの世界からしたら、たかが原付のヘルメットですら優秀な頭防具なのだろう。
 道中すれ違うアーブラハム邸に使用される人達も、俺自身や原付に興味を示すモノがおり、時折声を掛けられては称賛される事になったのだった。
 これはこれで、なんだか小さな組織とは言えスターになったみたいで悪い気はしないな。
 もしも前世の時に同じ経験をしていたらまた違った人生になったのかもしれない。

「ルチーナ様がエリウッド様をお探しの様だ」

 アーブラハム本邸に辿り着くとここまで案内した門番が、そこを守る2人の門番に伝令をした。
 やはり彼等も俺に興味があるらしく、適当な応対をした後詳しい事は執事が知っていると言われ中へ案内される事になった。
 原付を入り口の前に停車させ、ヘルメットとゴーグルをそこに置いた後、門番と共に本邸の中に入った。
 本邸の中に入るとすぐ、フォーマルスーツに身を纏った聡明そうなおじ様の姿が目に映る。
 恐らく彼が先程言っていた執事だろう。
 彼からは何とも言えぬ気高きオーラ感じる事が出来、かなりのやり手である事を直感した。
 
「これはこれはルチーナ様。我がアーブラハム邸まで遠方よりようこそおいでなさいました」

 執事は丁重なお辞儀を見せながら言う。

「此方こそ、急な来訪にもかかわらず丁寧な応対感謝いたします」

 俺も同じく丁寧なお辞儀を見せながら言う。
 
「して、エリウッド様ですが」

 俺がその話をする前に執事が言う。
 何故分かる? と一瞬思ってしまったが、先程俺と門番の会話で今回の目的の話をしていたからそれを彼が聞いていたとするならば十分あり得る話だろう。

「残念ながらエリウッド様は来訪されておりません」

 微妙な間を経て執事が告げる。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

メインをはれない私は、普通に令嬢やってます

かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・ だから、この世界での普通の令嬢になります! ↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・

はじめまして、私の知らない婚約者様

有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。 見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。 けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。 ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。 けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。 この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。 悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに? ※他サイトにも掲載しています。

悪役令嬢の慟哭

浜柔
ファンタジー
 前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。  だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。 ※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。 ※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。 「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。 「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。

貴族令嬢、転生十秒で家出します。目指せ、おひとり様スローライフ

ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞にて奨励賞を頂きました。ありがとうございます! 貴族令嬢に転生したリルは、前世の記憶に混乱しつつも今世で恵まれていない環境なことに気が付き、突発で家出してしまう。 前世の社畜生活で疲れていたため、山奥で魔法の才能を生かしスローライフを目指すことにした。しかししょっぱなから魔物に襲われ、元王宮魔法士と出会ったり、はては皇子までやってきてと、なんだかスローライフとは違う毎日で……?

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます

山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。 でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。 それを証明すれば断罪回避できるはず。 幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。 チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。 処刑5秒前だから、今すぐに!

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

転生ヒロインは不倫が嫌いなので地道な道を選らぶ

karon
ファンタジー
デビュタントドレスを見た瞬間アメリアはかつて好きだった乙女ゲーム「薔薇の言の葉」の世界に転生したことを悟った。 しかし、攻略対象に張り付いた自分より身分の高い悪役令嬢と戦う危険性を考え、攻略対象完全無視でモブとくっつくことを決心、しかし、アメリアの思惑は思わぬ方向に横滑りし。

処理中です...