AUKUYAKU☆令嬢に転生したおっさんのAKUGYOU記1

うさぎ蕎麦

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3章「こんなはずでは?」

41話

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 エリウッドは間違いなくアーブラハム邸に向かった。
 門番が言っていた事も考慮すると、本邸に入った事が嘘である可能性は低い。
 となると、この執事が何かを隠している事になる。
 俺に嘘をついてまでエリウッドの所在を隠す意味は何だ? 間違いなくロクでも無い事と予想出来るが。

「わたくしが知りうる情報では、エリウッド様はこちらに向かったと存じ上げます」
「でしたら、その情報が間違いであったのでしょう」

 何が何でも嘘をつくつもりか。

「あれ? エリウッド様は確かに案内したんだけど」

 門番が小声で相方に話している。
 
「ああ、俺も間違いなくエリウッド様を案内した」

 門番達の小声を拾った執事は、鋭い眼光で彼等を睨みつけコホンと咳払いをして、俺から見て右手の方向をチラッと見た。
 俺もそれにつられその方向を見るが、通路が展開されておりその先にあるのは部屋位だろう。
 が、恐らく無意識の反応だろうが何もない通路の先に視線を送ったのか。
 つまり、その先に何かがある可能性が浮上した事になるな。

「彼等が言っている事はどの様な事で御座いましょうか?」
「嘘で御座いましょう。聞かれぬよう配慮したつもりでありましょうが嘘は宜しくありません、後日処分を検討致しましょう」

 執事の口元が少しだけひきつっている。
 やはり、執事は嘘をついていると判断した方が良いだろう。
 ここまで嘘を貫こうとする以上、奥の部屋に何かがある、そこにエリウッドが居る可能性を疑った方が良いな。
 しかし、俺がダッシュを仕掛けても今の身体能力ではすぐに追いつかれ、内部から辿り着くのは不可能だ。
 ならば、外部から辿り着くしかあるまい。

「そうで御座いましたか。難しい部下をお持ちになる事は大変な事で御座いますわ」
「おっしゃる通りで御座いますが、致し方ない事でもあります。ルチーナ様、折角のご来訪で御座いましたが本日は旦那様より外部の者は本邸に入れぬよう命を受けております。申し訳御座いませんがお引き取り下さいませ」

 都合よく、本日は、か。
 少なくとも俺が自邸に居る限り、貴族の来訪ですら一切拒むなんて話は知らないな。
 もしかしたらあるかも知れないが、精々数える程だろう。

「分かりました。折角ですので本邸以外を見学させていただきたいところですが、それは宜しくて?」

 俺の問いかけに対し、執事が無表情をし3秒程押し黙る。
 そこまで却下してしまうと怪しまれるが、しかし出来る事ならこのままアーブラハム邸から追い出したいがどうするべきか悩んでいると予測が出来る。
 二人の門番をチラ見すると、嘘はいい加減にしてくれと言わんばかりの視線を執事に送っている。

「かしこまりました。はるばる遠方よりお越し頂いた手前、敷地内の見学すらお断り致すのは忍びない事で御座いましょう。どうぞ心行くまでご堪能下さい」
 
 執事が丁寧な一礼を見せ述べる。
 部下からの信用をこれ以上犠牲に出来ない事も考慮した為見学許可を出したとうかがえる。

「お心遣い感謝いたしますわ」

 俺は執事に対し一礼をし、アーデルハム本邸を後にした。
 邸宅の外に出た俺は、ヘルメットを被りゴーグルを身に着け止めてあった原付にキーをさし手押ししながら敷地内の見学をする事にした。
 まずは、執事が意味もなく視線を送った先にありそうな部屋を目指す。
 門番達は、持ち場に戻り視界の範囲内で若干の監視をしているが俺の後を付いてきていない。
 執事が特別な指示を出していた訳では無い事から俺を監視している人間は居なさそうだ。
 いや、もしかしたらアサシンレベルの潜伏能力を持つ人間が監視しているかもしれないが、ガチの戦場なら兎も角今ここまで気にしても何もできなくなるだけだろう。
 例の部屋と思わしき場所まで近付くと、俺の顔辺りの高さに鉄格子で覆われた窓が視界に入った。
 それも、奥、更に奥、奥と複数の部屋らしき場所にも配備されている。
 鉄格子と言われ浮かぶのは牢獄で、それも数部屋続いているならばこの辺りはアーデルハム領の牢獄エリアと考えられる。
 ファルタジナ邸にも似た様な牢獄エリアが地下にある。アーデルハム邸みたく地上エリアに牢獄が配備されているのも珍しい話だが。
 牢獄エリアと思われる最初の部屋の窓に差し掛かり、俺は外から部屋の中を覗き込んだ。
 予想通りこの部屋は牢獄の様で鉄格子の前に出る事は不可能みたいだ。
 で、中には、ブロンドヘアーのイケメン王子こと、エリウッド王子が居た。
 居たのだけども、奴はペガサスの上でうたたねをしていた。
 自分が投獄されたのにも関わらず、のんきと言うのか大物と言うのか、エリウッドらしいと言えばそうなるんだけど。

「エリウッド様? 助けに参りましたわよ」

 窓の外から小声でエリウッドに伝える。
 俺の声が届いたのか、少々眠気眼なまま俺の方を向き、
 
「YA。愛しき姫君ルチーナYO」
「随分と余裕ですわね」

 部屋の角で震えて動けないよりマシではあるが。

「HAHAHA。任せておくれよ」

 エリウッドはペガサスから降り、俺に向かってウィンクを見せる。
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