勇者と小さな魔王の旅

木元うずき

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コミケ町

旅の記録15 叫び?

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海王種セイレーンの涙を手に入れた彼らは夕日に向かって歩いていた・・・っていいたいのだが・・・
「いつまで腕を持っているつもりだ?」
「えっ!?あ、ご、ごめん・・・なのだ・・・」
指摘されるまで気づかなかった様子の日向は顔を赤くしていた。その後は杖の上に座り飛んでいた。
そんな光景を見た彼は何とも言えぬ顔をしているのに日向は不思議な顔をした。
「お主らどうしたのじゃ?」
二人の顔を見ている魔王からすると変顔対決しているようにも見える。
「いや・・・色々言いたいことあるけどこれだけは言わしてもらう」
彼は魔王に言われて我に返ったのか言いたいことを思い出したような感じでやっと話が進みそうで安堵のため息をついた魔王をよそに・・・
「杖で移動出来たのか!?」
草原にも関わらず彼の声は辺りに響き渡った。その肺活量に誰もが驚いてた。そして、そんな大きな声を出す原因なのが自分って事にも驚いた日向はおどおどしながら答えた
「えっと・・・まぁ?魔法使いなのだからね?でも、足腰わを鍛えないと戦う時に不利になるから普段は乗らないのだ」
「戦いに不利になる?」
戦っている時の日向を思い出すとすぐに答えが見つかった。
魔法を唱える時はいつも杖をその魔法に合わせた動きをしていて、杖に乗っているとその動きが出来ない。そう思うと避ける時とかも杖に頼ることはあまり出来ない事がわかった。
「なぁ、日向?その杖でコミケ町までどれぐらいかかる?」
彼は何故そんな事を聞いたのは誰もがすぐわかった。
本当なら断りたい所だが、今回はシルヴィの事もあり、本当の事を言う事にした。
「たぶん、10分なのだ」
「え!?」
普通に歩いたら後で1日はかかるのに対してその杖を利用したら10分と思うと驚かない方がおかしい。
「よっしゃ!日向いくぞ!」
「魔王ちゃんは自力で飛べるのだ?」
「可能じゃ」
「わかったのだ!」
日向は魔王に確認取ると杖から降りて杖で空間を引き裂いた。空間に黒い穴ができると日向は杖に乗り、彼を後ろに座らした。
「スピード出すからしっかり掴むのだ!じゃ~、ウェイパ村の時のように近道使うのだ!ご注意をなのだ!」
魔王は翼を生やすと日向について行くように飛んで行った。

さて、画面を変えてここはまだ彼らがスイと会う前のシルヴィはと言うと・・・
「はいはーい!旅商人のシルヴィだよ!今回は何をお買い上げで?」
たまたま通りかかった人に声をかけられ商売していたようだった。
歩く商品棚とまで言われているシルヴィは見かけられた人に必ず声をかけられるほど有名なのは誰もが知っているが何故そんな事をしているのかは誰も知らなかった。それは一生話されることもない話だろう・・・
「まいどありー!またののご利用お待ちしてます!」
笑顔でお客を見送ると一気に疲れたように表情を崩した。まぁ、それもそうだろう。あの3人組のせいでいつも以上に疲れる事になったのだから。しかもその3人組は急にどこかに行って頭が追いつくまでにその場で呆然としていたシルヴィ。まだ、少し彼らに会うのは早かったのか?
辺りを見渡すともう日が暮れてきていた事に気づいたから早くコミケ町に行くため早歩きをしようとすると・・・
「あ!シルヴィ様!おーい!こっちなのだ!」
すごく聞き覚えのある声がしたから嬉しく思う反面、また疲れるのかと思うと微妙な顔になってしまった。だが、応えないのも悪いから声がした方を見ると誰もいなかった。
「上なのだ!上を見るのだ!」
言われるとおりに上を見ると杖に乗った3人組が見えた。シルヴィはそれに驚かず魔法使いだからっときっぱり切り捨てたのだが・・・
「やっぱり無理!何で私より先に行ったはずなのに後ろからくるの!?」
「あれ?シルヴィ様ってそんな口調だっけ?」
シルヴィの質問何か無視!っと言わんばかり日向は質問していた。そして、自分の口調が人前の口調では無くなったのを指摘されたシルヴィは急いで直そうとしたが・・・
「直したら魔法撃つのだ」
笑顔で言われたシルヴィは恐怖以外何も感じれなかった。
「はぁ・・・。で、何で後ろから来たの?」
魔法を撃たれるのは流石にまずいから諦めて家族の時との口調で話していた。いつもと違う口調にしてくれたシルヴィに日向は目を輝かしながら降下してきた。そして・・・
「乗るのだ!ひとっ飛びなのだ!」
乗車・・・て言うとか怪しいが乗れることに感謝しながら一番後の場所に座った。序に魔王は彼のか頭の上に座っているのには色々思ったが言ってもきりがないと思い彼の腰にしがみついた
「しゅっぱーつ、しんこーーう!」
子供らしい合図と共に日向の杖はスピードを出したが・・・
「日向!シルヴィさんが落ちかけているからもうちょいスピード落とせ!」
そう、手のおかげで何とか落ちずに済んでいるが体全体が旗みたいにパタパタと揺れていた。そして、シルヴィの顔はと言うと・・・目を閉じたまま涙を流していた・・・
そりゃそうだ。彼や魔王は力がほかの人より強いから振り落とされないが普段旅商人をしているシルヴィはしがみついているだけでもすごい方だった。
「普段割れ物とかを掴んでいたりするので腕力とかにはまだ自身あるのですぅー!」
っと何も聞いていないのに説明してくれたシルヴィは怖がりながらも言ってくれたのに彼らは感謝していたが・・・
「スピードは落とさないのだ!さぁ!頑張るのだ!」
「ええー!?そんなー鬼なぁ・・・」
シルヴィの悲痛の叫びだけをその場に残して彼らはいなくなった。
次回で遂に辿り着くのか?それは次回になってのお楽しみに!


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