43 / 176
Mission 7*秘密
3
しおりを挟む『早退してどこに行ってたんだよ』
電話を取るなり、圭が言った。
「友達に会ってたの」
『お前に友達なんかいねーだろ。男と会ってたのか!』
友達はいなくても、男はいると思うのはなぜだろう……?
圭の後ろで駅のアナウンスが聞こえる。私はスピーカーにして、着替えた。
「何をそんなにイライラしてるのよ?」
『今、どこだ?』
「家にいるけど?」と言いながら、サマーニットを脱ぐ。
『本当だろうな? テレビ電話にするぞ』
「ちょっ――、ダメ」
条件反射でスマホから遠ざかる。
急に、圭の背後が静かになった。駅を出たらしい。
『なんで!』
「着替えてるの!」
『……』
「スケベ」
『……もう無理』
「何が?」
『ヤらせてくんないなら、明日から通常業務に戻る!』
一方的に電話がきれた。
子供か……。
最近、圭の束縛が強い。
圭ってあんなに子供っぽかったかな……?
違う。
圭は元々、甘えん坊で意地っ張りで格好つけ。一人っ子で母親に溺愛されて育ったから、基本的に独りは嫌い。常に誰かに注目されて、愛されていたい。けど、それを素直には言えなくて、意地を張る。
いつから私の前でも格好つけるようになった……?
いつからにしても、今の圭は私の前でもおばさんの膝の上に座っていた頃に戻っている気がする。
ピンポーン……
インターホンが鳴って、私はリビングのモニターを見た。ため息をつく。無言でオートロックのロックを解除した。
二十秒で玄関のドアが開いた。
「何してんの、圭」
「お前の為に毎日資料室に缶詰めになってる俺を労われ」と言って、圭が私に覆い被さる。
「私、生理だよ」
「……知ってるよ」
「はっ? 何で?」
「この前触った時、胸が張ってた」
圭がTシャツの上から胸を撫でる。
「――サイテー!」
私は圭を押し退けた。
「今更だろ! 昔から柔らかさが違うなと思ったら、二、三日後には生理になったって言ってたから、憶えてたんだよ」
「出来ないの知ってて、何で来たのよ」
「お前……俺をなんだと思ってるわけ?」
圭がため息交じりにジャケットを脱ぐ。
なぜか圭はいつもスーツ。ネクタイはしないけれど。
「会いたかったから、来たんだろ」
今度は優しく、圭が私を抱き締めた。
「体調、悪いか?」
「ううん?」
「そっか……」
心配して来てくれたのかな……。
圭が持って来たスーパーの袋には、私の好きな稲荷寿司や海苔巻き、チョコレートが入っていた。
1
あなたにおすすめの小説
フッてくれてありがとう
nanahi
恋愛
【25th Anniversary CUP】にて、最終ランキング3位に入りました。投票してくださった皆様、読んでくださった皆様、ありがとうございました!
「子どもができたんだ」
ある冬の25日、突然、彼が私に告げた。
「誰の」
私の短い問いにあなたは、しばらく無言だった。
でも私は知っている。
大学生時代の元カノだ。
「じゃあ。元気で」
彼からは謝罪の一言さえなかった。
下を向き、私はひたすら涙を流した。
それから二年後、私は偶然、元彼と再会する。
過去とは全く変わった私と出会って、元彼はふたたび──
嘘コクのゆくえ
キムラましゅろう
恋愛
アニーは奨学金とバイトで稼いだお金で魔法学校に通う苦学生。
生活は困窮、他の学生みたいに愛だの恋だのに現を抜かしている暇などない生活を送っていた。
そんな中、とある教授の研究室で何らかの罰としてアニー=メイスンに告白して来いと教授が学生に命じているのを偶然耳にしてしまう。
アニーとは自分のこと、そして告白するように言われていた学生は密かに思いを寄せる同級生のロンド=ハミルトンで……
次の日、さっそくその命令に従ってアニーに嘘の告白、嘘コクをしてきたロンドにアニーは……
完全ご都合主義、ノーリアリティノークオリティのお話です。
誤字脱字が罠のように点在するお話です。菩薩の如き広いお心でお読みいただけますと幸いです。
作者は元サヤハピエン主義を掲げております。
アンチ元サヤの方は回れ右をお勧めいたします。
小説家になろうさんにも時差投稿します。
【完結・おまけ追加】期間限定の妻は夫にとろっとろに蕩けさせられて大変困惑しております
紬あおい
恋愛
病弱な妹リリスの代わりに嫁いだミルゼは、夫のラディアスと期間限定の夫婦となる。
二年後にはリリスと交代しなければならない。
そんなミルゼを閨で蕩かすラディアス。
普段も優しい良き夫に困惑を隠せないミルゼだった…
上司に恋していいですか?
茜色
恋愛
恋愛に臆病な28歳のOL椎名澪(しいな みお)は、かつて自分をフッた男性が別の女性と結婚するという噂を聞く。ますます自信を失い落ち込んだ日々を送っていた澪は、仕事で大きなミスを犯してしまう。ことの重大さに動揺する澪の窮地を救ってくれたのは、以前から密かに憧れていた課長の成瀬昇吾(なるせ しょうご)だった。
澪より7歳年上の成瀬は、仕事もできてモテるのに何故か未だに独身で謎の多い人物。澪は自分など相手にされないと遠慮しつつ、仕事を通して一緒に過ごすうちに、成瀬に惹かれる想いを抑えられなくなっていく。けれども社内には、成瀬に関する気になる噂があって・・・。
※ R18描写は後半まで出てきません。「ムーンライトノベルズ」様にも投稿しています。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?
せいめ
恋愛
政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。
喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。
そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。
その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。
閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。
でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。
家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。
その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。
まずは亡くなったはずの旦那様との話から。
ご都合主義です。
設定は緩いです。
誤字脱字申し訳ありません。
主人公の名前を途中から間違えていました。
アメリアです。すみません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる