ダブル・ミッション 【女は秘密の香りで獣になる2

深冬 芽以

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Mission 7*秘密

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『早退してどこに行ってたんだよ』

 電話を取るなり、圭が言った。

「友達に会ってたの」

『お前に友達なんかいねーだろ。男と会ってたのか!』



 友達はいなくても、男はいると思うのはなぜだろう……?



 圭の後ろで駅のアナウンスが聞こえる。私はスピーカーにして、着替えた。

「何をそんなにイライラしてるのよ?」

『今、どこだ?』

「家にいるけど?」と言いながら、サマーニットを脱ぐ。

『本当だろうな? テレビ電話にするぞ』

「ちょっ――、ダメ」

 条件反射でスマホから遠ざかる。

 急に、圭の背後が静かになった。駅を出たらしい。

『なんで!』

「着替えてるの!」

『……』

「スケベ」

『……もう無理』

「何が?」

『ヤらせてくんないなら、明日から通常業務に戻る!』

 一方的に電話がきれた。



 子供か……。



 最近、圭の束縛が強い。



 圭ってあんなに子供っぽかったかな……?



 違う。

 圭は元々、甘えん坊で意地っ張りで格好つけ。一人っ子で母親に溺愛されて育ったから、基本的に独りは嫌い。常に誰かに注目されて、愛されていたい。けど、それを素直には言えなくて、意地を張る。



 いつから私の前でも格好つけるようになった……?



 いつからにしても、今の圭は私の前でもおばさんの膝の上に座っていた頃に戻っている気がする。



 ピンポーン……


 インターホンが鳴って、私はリビングのモニターを見た。ため息をつく。無言でオートロックのロックを解除した。

 二十秒で玄関のドアが開いた。

「何してんの、圭」

「お前の為に毎日資料室に缶詰めになってる俺を労われ」と言って、圭が私に覆い被さる。

「私、生理だよ」

「……知ってるよ」

「はっ? 何で?」

「この前触った時、胸が張ってた」

 圭がTシャツの上から胸を撫でる。

「――サイテー!」

 私は圭を押し退けた。

「今更だろ! 昔から柔らかさが違うなと思ったら、二、三日後には生理になったって言ってたから、憶えてたんだよ」

「出来ないの知ってて、何で来たのよ」

「お前……俺をなんだと思ってるわけ?」

 圭がため息交じりにジャケットを脱ぐ。

 なぜか圭はいつもスーツ。ネクタイはしないけれど。

「会いたかったから、来たんだろ」

 今度は優しく、圭が私を抱き締めた。

「体調、悪いか?」

「ううん?」

「そっか……」



 心配して来てくれたのかな……。



 圭が持って来たスーパーの袋には、私の好きな稲荷寿司や海苔巻き、チョコレートが入っていた。
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