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Mission 7*秘密
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しおりを挟む「てか、もう合コンに誘わないでくださいよ」
「あら、意外と独占欲強い?」
「そりゃもう」と、圭が楽しそうに答える。
私は慣れない会話に、俯いてやり過ごすことしか出来ない。
「伊織ちゃん、顔真っ赤。可愛いー。芹沢くんが惚れるわけだ」
「そんなことよりもっ――!」
恥ずかしさのあまり、声が大きくなる。圭が私の手を離して、箸を持った。
「竹井さんと連絡を取ることは出来ますか?」
「竹井くんね、SIINAを辞めた後、語学留学と称してイギリスに行ったの。ひと月に一度くらい近況報告の電話が来るけれど、私からは連絡つかないわ」
「イギリス……」と言って、圭は冷めた焼き鳥を頬張る。
イギリスは同性愛者に対する偏見が少ない。竹井さんは偏見だらけの日本を捨てて、ありのままの自分で生きられる場所を求めたのだろう。
「最近、竹井さんから連絡があったのはいつですか?」
「二人が入社して少しした頃よ。竹井くんの後任が決まったって話したから」
「じゃあ、そろそろ連絡が来る頃ですよね」
「そのハズ。彼から電話があったら、事情を説明して連絡先を聞いておくわ」
「お願いします」
店員がやって来て、ラストオーダーの時間だと告げ、私たちはビールを注文した。
私たちの後に部屋を予約している人がいるから二時間までと言われていたことを思い出した。ジョッキと皿を空にして店を出る時、次の客が入り口で並んでいた。
「伊織ちゃん、社長に私のことを報告しても構わないから」
会計する圭を残して店を出た時、三浦さんが言った。
「どんな事情があっても、私は竹井くんがしていることに気付いた時に社長に報告すべきだった。それをしなかった責任は感じてるわ」
「どうして……そこまで竹井さんを庇ったんですか?」
「後ろめたさ……かな」と、三浦さんが少し寂しそうに呟いた。
「後ろめたさ?」
「私……酔って竹井くんの童貞奪っちゃったのよ」
「へっ?」
童貞……って――。
「おかしいでしょ。竹井くん、男とも女ともシたことなかったの。ただ、学生の頃に女性不信になる出来事があって、それから自分は女性を好きになれないって思い込んでたみたい。けど、酔った竹井くんは私相手にデキちゃって……」
「じゃあ、竹井さんはゲイじゃない?」
「朝起きた竹井くんの驚きようったら……。それで思わず言っちゃったのよ。『やっぱり女相手じゃデキないんだね』って」
「そんな……」
店から出てきた圭は、私と三浦さんの様子を見て、その場を動かなかった。
「気持ちの……問題なんだと思う。実際、好きな男が出来ても、シたいとは思わないらしいし。精神的な……拠り所みたいなものが欲しいんだと思うわ。私とシたことで、気持ちを乱して欲しくなかったの」
「だけど……」
「けどね、それは私の事情であって、私のしたことを正当化できる理由ではない。だから、社長に話して? 私はどんな罰でも受けるわ」
優しく寂しそうに笑う三浦さんを見て、胸が苦しくなった。
「本当にっ! それだけですか?」
「え?」
「竹井さんのこと……好きなんじゃないですか? だから――」
今にも泣きそうな顔で笑う三浦さんに、それ以上言えなかった。
「伊織ちゃんは大切なものを見失っちゃダメよ」
三浦さんが言った。
「失くしてからでは遅いから……」
三浦さんの瞳に、微かに涙が光った。
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