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Mission 19*誠意
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しおりを挟む「逆だよ! 俺なんか、伊織に捨てられないように必死だぞ」
口に入れたビールを吹き出しそうになる。
「お前が?」
「嘘だぁー」
大丈夫か? と圭が私におしぼりを手渡す。
「変なこと言うから……」と、小声で耳打ちする。
「もう、やめて」
「やめないよ」
「圭っ!」
みんなの目も気にせずに、圭が私の腰を抱く。
「ちょっと油断したら勝手にいなくなるし、やっと再会して手に入れたと思ったのに仕事第一だし、何回も一緒に暮らそうって言ってんのに拒否られるし、元彼がちょっかい出してくるしで、気が気じゃねーよ」
「古賀って意外と悪女だなぁ」
ケラケラと笑い声。
腰を抱いていた手が肩に上ってくる。抱き寄せられて、息がかかるほど顔が近づく。
「家事は完璧だし、俺より収入あるし、俺がいなくても一人で生きて行けそうなくらい強いしさ。ホント、目が離せなくて心配だよ」
「ちょ――」
恥ずかしさに押し退けようとした時、ちゅっと圭の唇が私の唇に触れた。
人前でなに――――。
「だからさ、結婚して?」
一瞬で部屋中が静まり返った。
けっこ……ん――?
呆けている私に、圭は黒い箱を差し出した。ベルベットのハート形の箱。
見なくても、中に何が入っているのかわかった。この部屋の全員もわかったと思う。
「俺と結婚してください」
「け……い……?」
圭の表情は真剣で、目が離せない。
「一生大事にするから」
私と圭が……結婚?
考えたことがないわけじゃない。
圭が蓮兄に私を幸せにすると言ったと聞いて、嬉しかった。
一生、一緒にいたいと思っているし、それが結婚を意味することも理解している。
けど……今――?
私の返事を待つ、視線が痛い。
「あの……、圭――」
「もう二度と離さないから――!」
居酒屋で? とか、人前なのに? とか、いつの間に指輪を? とか、思うことはたくさんある。
けれど、少し潤んだ瞳で、上の前歯で下唇を噛む圭を見たら、何もかもがどうでも良くなった。
「全力で! 幸せにするから――!!」
「それは、嫌」
圭の瞳に写る私が、揺れた。
薄っすらと涙が浮かんだのは、私にしかわからなかったろう。
「一緒に幸せになるんでしょう――?」
指で圭の唇に触れると、下唇は真っ赤になっていた。
切れそうなほど強く唇を噛みながら、どれだけ緊張しながらみんなの前でプロポーズしてくれたのだろうと思うと、嬉しくて涙が溢れた。
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