ダブル・ミッション 【女は秘密の香りで獣になる2

深冬 芽以

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Mission 23*決着

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「妬んでた、のよね」と、木島の代わりに伊織が答えた。

「私と悟之さんは、本当に笠原さんが思っているような関係じゃなった」

「だけど、悟之は――」

「私は元カノの代わり。裏切られてボロボロになったプライドを取り戻すための道具、よね?」

「……どういう意味だ?」と、俺が聞いた。

「自分を裏切った元カノより若くて優秀な女を組み敷くことで、自分は負け犬じゃないと思いたかったんでしょう? いつも……嬉しそうだったものね」

『嬉しそうだった』のがいつなのかは、聞かなかった。

 聞きたくなかった。

「私を利用して取り戻すはずのプライドを、私にもう一度ボロボロにされて、方法を変えたのよね」

『勝手に心理分析をするのはやめてほしいな』

 張り詰めた、低く静かな声。

『君を妬んでいたことは、認めるよ。僕にはない、才能があるからね』

「才能がない分、努力でカバーするんじゃなかったのかよ」

 大吾が声を荒げる。

「俺はっ! あんたの根気強さとか、冷静さとか、そういうの尊敬してた!」

『僕は君のセンスが羨ましかったし、いつか伊織を奪われるんじゃないと、内心焦ってたよ』

「そんなこと――」

 木島の言葉に、大吾が眉をひそめて歯を食いしばる。

 きっと、始まりはないものねだりだったのだろう。

 三人三様の長所と短所を補い合って、バランスの取れた関係だったのかもしれない。

 伊織と木島は人肌を求め合い、大吾は偏見のない友情を求めた。

 けれど、伊織と木島の間に愛情は生まれなかったし、木島は伊織と大吾への嫉妬を消せなかった。そして、大吾はきっと伊織に友情以上のものを感じていた。

 伊織との結婚を急いでおいて良かった、と思った。

 こんな風に木島や大吾の気持ちを目の当たりにして、伊織が何も感じないわけがない。その後で俺がプロポーズをしても、自分だけが幸せになることに罪悪感を持っただろう。

「結局……あんたは自分が可愛かっただけかよ」と、大吾が絞り出すように言った。

『誰だって、そうだろう? みんな自分が一番大事で、可愛いんだよ。だから、平気で他人を傷つける』

「笠原さんも?」

『……』

「笠原さんのこともそんな風に見てたの?」

『…………』

 さっきから、笠原さんの話になると、木島は黙る。

 それはきっと、木島にとって笠原さんが他人に軽々しく語れる存在じゃないから。

 木島は、自分がどれほど笠原さんを大切に想っているのか、わかっているのだろうか?
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