【ルーズに愛して】私の身体を濡らせたら

深冬 芽以

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4.秘密の関係

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「ちゃんと話すから、放して!」

「……駄洒落ですか」

 私は少しムッとして、鶴本くんの手をパシッと叩いた。

「――って!」

「当たってるの、気になるから!」

 お尻に鶴本くんの硬くなったモノの感触。気になって話どころじゃない。

「昨夜は挟むとまで言ってくれたのに」

 本当に、穴があったら入りたい。埋まりたい。

「忘れて!」

「無理でしょ。夢にまで出てきちゃったし」と、茶目っ気たっぷりに言いながら、鶴本くんはまた私のうなじにキスをする。

「変な夢、見ないでよ!」

「夢でくらい、好きに触らせてくださいよ」

「今も十分、好きに触ってるじゃない」

「こんなん、まだまだですよ」

 わかっている。

 鶴本くんは私の腰に手を回してはいるけれど、その手を上にも下にも動かさない。ほんの少し動かすだけで胸に触れるのに、しない。

『他の男と違うって、証明する』

 きっと、こういうことなのだろう。

 鶴本くんは他の男とは違う。

 毎日一緒にいても、胸を見ながら話をすることはなかったし、肩が触れる距離にいても触れることはなかった。

 そういう男性ひとだってわかっているから、こうして抱き締められていても、嫌じゃない。恥ずかしいけれど、嫌じゃない。

 嫌じゃないけれど、それを認める勇気はない。

「どうしてすっぴんなの? 私」

「え?」

「化粧落とした記憶がないんだけど……。っていうか、着替えた記憶も……」

 話の方向を変えようと、言った。

 とりあえず、鶴本くんの下半身に落ち着いてもらわなければ、話どころではない。

「俺が必死で口説いてる時に、吐きそうっつってトイレに駆け込んだんですよ、麻衣さん」

「えっ!?」

「――で、襟元を汚しちゃったんで、俺のシャツを貸したんです。ついでに、メイク落としも」

 なんという失態。



 もう、お酒は飲まない!



「ちゃんと自分で着替えてたんで、俺は見てませんよ」

「……ごめんなさい……」

 他に言葉が思いつかなかった。

 何十回でも謝るから、忘れて欲しい。

「信じるんですか?」

「え?」

「俺が見てない、って言ったこと」

「どういうこと?」

 鶴本くんの手が解け、私は恥ずかしさを堪えて振り返った。

 鶴本くんは真剣な表情で、じっと私を見た。

「俺が、寝てる麻衣さんに何かしたかもとは思わないんですか?」

「え!? 何かしたの?」

「してません! してませんけど――」



 強気なのか弱気なのか、わかんないな……。



「その……、こんな醜態晒しておいてなんだけど、鶴本くんが意識のない女をどうこうするような男じゃないってことくらいはわかってるよ」

 私も、鶴本くんをじっと見た。

「何年一緒に働いてきたと思ってんの」 
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