続・最後の男

深冬 芽以

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12 家族とは

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「溝口さん、料理しないんですか?」

 カゴを見て、真が聞いた。

「出来ないわけじゃないけど、一人だと面倒だからな」

「ふぅん」

「父親のところに行ったら、飯作ってもらうのか?」

 真が驚いた顔で俺を見た。

 母親の恋人から、父親のことを聞かれると思っていなかったのだろう。

「何だよ」

「そういうこと、聞くかな」

「おかしいか?」

「……別に」

 子供たちの父親が料理をしないことは、彩から聞いて知っていた。離婚して、目玉焼きやウインナーを焼いたり、子供たちとすき焼きをしたりはするようになったらしい。

「お前は?」

「は?」

「料理、するのか?」

「……しない」

「出来た方がいいぞ」

「……溝口さんの奢りだよね」

「ああ」

 ムッツリした表情で、真は牛ステーキが二枚入ったパックを三つ、カゴに入れた。

「そんなに食うか?」

「食うよ」

 そう言うと、真は足早にカートを進めた。そして、寿司が並ぶケースの前で止まった。覗き込んで、じっくり吟味する。

「溝口さんは何食べるの」

「真と同じのでいい」

「……」

 真は何も言わず、上握り二人前のパックを三つと海鮮海苔巻きのパックを一つ、カゴに入れた。



 おいおい……。



「亮は生寿司食べないから、別ね」

 俺の心の声が聞こえたのか、真は言った。

 ちょっと会わないうちに真の背丈は彩を超え、百七十八センチの俺に追いつく勢いだ。彩から聞いてはいたが、久し振りに会って実感した。そして、カゴの中を見て納得した。



 こんだけ食えば、そらデカくなるわな。



 真はチラッと俺を見て、反応を窺っているようだった。



 買い過ぎだって言われると思ってるのか?



「寿司は置いとけないから、残すなよ」

 俺が他所に目を向けた隙に、真は一パックをカゴから抜いた。

 試されているんだと思う。

 俺が母親に相応しい男か。

 彩の話では、真は父親が母親を怒鳴るのを見ていた。だから、両親が別居してすぐの頃は、怖がって父親に会いたがらなかったという。

 今も、彩の前で父親の話はしないらしい。

 初対面から千堂には懐いていたようだが、俺には壁を作っていた。それは、母親を巡る戦いの敵は俺だと認めたからだった。

 この先も彩と一緒にいるためには、真の攻略が必須。

「真」

「なに」

「カレー、好きだよな」

「好きだけど」

「晩飯は、俺がカレーを作ってやるよ」

「は?」

「お前も手伝えよ」

 男同様、子供も胃袋から。

 男の子供なら、効果抜群なはずだ。

 俺はカレー用の肉とじゃがいも、人参、玉ねぎ、カレー粉をカゴに入れた。真は訝し気に俺を見ていた。

 一通り店内を回った頃、彩と亮が戻って来た。カゴ一杯のジュースとお菓子を持って。

「そんなに食うのか!?」と、俺は思ったままを言った。

「これは私が払うから」と、彩がため息交じりに言った。

 どうやら、亮に押し切られたらしい。

「いや、支払いのことじゃなくて」

「連休中のお菓子だって。甥っ子たちも来たら、一緒に食べるって言うから」

「ああ」
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