続・最後の男

深冬 芽以

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12 家族とは

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 ピリリリリッ、とジャケットの胸ポケットに入れていたスマホが鳴った。姉さんからだった。

「はい」

『雨だけど、遊園地どうした?』

 何日か前、連休中の予定を聞かれたから、今日は彩たちと一緒だと知っている。

「やめた」

『マンションにいる?』

 ここまでで、姉さんの用件が分かった。

「いや、買い物して帰る」

『何時頃?』

 俺は腕を上げて時計を見た。もちろん、彩と揃いの時計。今朝、会った時、真っ先に彩が腕時計をしてるか確認してしまった。

 俺は俺が思うより、ずっと所有欲が強いらしい。

「十時……半かな」と、俺は四十分後を伝えた。

「迎えに行くか?」

『え?』

「真心が真たちと遊びたいって言ってるんだろ?」

『そうなの』

「彩たちを置いたら、行く」

 横にいた彩は事情が分かったらしく、真と亮に言った。

「真心ちゃんと勇気くんのお菓子も選んできて?」

『よろしく』と言って、姉さんの方から切れた。

 真と亮はお菓子売り場に駆けて行った。正確には、駆け出した亮を真が追った。

「お昼、何にしたの?」と、彩がカゴを覗く。

「寿司と肉。パンやらカップ麺は俺の」

「真が選んだの?」

「そ。真が一気にデカくなったのも当たり前だよな」

「買い過ぎだよ。最近の二人の食欲に付き合ってたら――」と言いながら、彩が寿司とステーキを一パックずつ手に取る。

「いいって」と言って、彩の手からパックを奪う。

「だって――」

「遊園地に行ったと思えば安いだろ。それに、ここで見縊られるのはプライドが許さん」

「は?」

「とにかく、いーんだよ」

 パックをカゴに戻し、カートを押してレジに向かう。

 ちょうど順番が回って来た時、真と亮がお菓子を抱えて戻って来た。

 真がポッキー二種類とオレンジジュース、亮が三歳までの~と書かれた吊り下げ菓子とアンパ〇マンの絵の野菜ジュースを持っていた。

 俺が釧路に行ってから、彩と姉さんにはマンションの空気の入れ替えの為に鍵を渡していた。真心は真と亮と遊びたがり、姉さんは育児のストレス発散に彩とお喋りするのが楽しくて、ちょこちょこマンションで会っているらしい。

 今では、俺より彩の方が姉さんの近況に詳しいし、俺より姉さんの方が彩のスケジュールを把握していたりする。

 当然、俺よりも真と亮の方が、真心と勇気と仲がいい。だから、好きなお菓子なんかも知っているのだろう。

 会計を済ませ、三人をマンションで降ろし、姉さんを迎えに行き、帰ったのは十一時を少し過ぎた頃。

 久し振りに会った姉さんは、心なしかやつれていた。車の中では勇気がチャイルドシートを嫌がって泣き続け、真心は耳を塞いでいた。

「あーやー……」

 会うなり、姉さんは彩に泣きついた。

「疲れてるねぇ、夏子」と言って、彩は姉さんの腕から勇気を抱き上げる。

「勇気くんは元気だね」

「うん!」と、勇気は泣き腫らした顔で笑った。

「ひと遊びしたら寝そうだね」

 彩が床に下ろすと、勇気は重そうな尻を上げて真と亮に向かって走り出した。

「真! 勇気くん行ったから」

「んー」

 初めて会った時、真心の面倒を見る真の優しさに驚いたが、それは今も変わらない。年頃の男の子は小さな子供の面倒なんて嫌がりそうなものだが、駆け寄って来た勇気が転ばないように手を差し出し、ローテーブルを動かして遊ぶスペースを作る。手慣れたものだ。
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