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12 家族とは
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どうして知っているのか? と一瞬思ったが、すぐに姉さんだとわかった。別に、姉さんを責める気はない。
「今時、珍しくもない」
「そんな女と結婚して、血の繋がった子供も望めず、他人の子供を育てるために働くだけだなんて!」
「離婚歴がない女と結婚したって、うまくいくかも子供が持てるかもわからないし、そもそもそんなことが気になるなら、付き合ったりしない」
益井が聞いたら目を丸くしそうだ。彼女と付き合っていた時の俺では、俺自身でも信じられないようなことを言っている。
俺を変えたのは彩だ。そして、俺は今の自分を気に入っている。
「だとしても! 一緒になったって智也には不利益しかない女、嫁だなんて――」
「認めて欲しいなんて思ってない! あんたたちは息子をたいそうな男だと勘違いしてるようだけどな、俺は結婚相手に条件を付けられるような立派な人間じゃないし、そうだとしても認めてもらいたいのは姉さんと彩だけだ!! あんたたちは――」
「智也!」
ハッとして、俺を呼ぶ声の方を見る。興奮していて、義兄さんが降りて来たことに気が付かなかった。
「それ以上はやめておけ」
義兄さんには、俺が何を言おうとしたか、わかったのだろう。
言っても、後悔なんてしないと思う。
『あんたたちは家族なんかじゃない』
俺は確かに、そう言おうとした。
「帰る」
とてもじゃないが、真心と勇気の前で仲の良い家族を演じる気にはなれなかった。
「姉さん、ごめん」
姉さんだって複雑な気持ちで、朝から台所に立っていたと思う。一口も食べずに帰るのは申し訳ないが、これ以上一分一秒も父さんと母さんの顔を見たくなかった。
「智也」
靴のかかとを踏んだまま外に飛び出した俺を、義兄さんが呼び止めた。
「義兄さん、ごめ――」
「結婚に興味のなかったお前を変えたのは、彩さんか?」
姉さんから話は聞いているだろうが、俺が直接義兄さんと彩の話をしたことはなかった。
これまで、義兄さんは仕事ばかりの俺に結婚の良さを説いてきた。義兄さんには、俺が孤独に見えていたんだと思う。
「前に義兄さんが言ってたことの意味、彩と付き合うようになってわかったんだ」
「……?」
色々言い過ぎて、俺の言葉が何をさしているのかわからない様子。
「家族なんて煩わしい、って言ったら『家族がいても一人の時間は持てるけど、独りじゃ家族との時間は持てないぞ』って」
「ああ……」
「仕事にやりがいはある。けど、釧路で一人でいると、無性に寒くなる時がある」
寂しい、と言うのは恥ずかしかった。
「仕事でムカつくことがあっても、彩に『お疲れさま』って言われたら、頑張る気になれる。だから――」
本当は、毎日顔を見て言われたい。
「次は彩さんと一緒に来い」
「え?」
「夏子と子供たちもお世話になってるからな。一度、お礼を言いたかったんだ。それに、お前をここまで変えてくれた女性に会ってみたい」
義兄さんは嬉しそうに微笑んだ。
「今時、珍しくもない」
「そんな女と結婚して、血の繋がった子供も望めず、他人の子供を育てるために働くだけだなんて!」
「離婚歴がない女と結婚したって、うまくいくかも子供が持てるかもわからないし、そもそもそんなことが気になるなら、付き合ったりしない」
益井が聞いたら目を丸くしそうだ。彼女と付き合っていた時の俺では、俺自身でも信じられないようなことを言っている。
俺を変えたのは彩だ。そして、俺は今の自分を気に入っている。
「だとしても! 一緒になったって智也には不利益しかない女、嫁だなんて――」
「認めて欲しいなんて思ってない! あんたたちは息子をたいそうな男だと勘違いしてるようだけどな、俺は結婚相手に条件を付けられるような立派な人間じゃないし、そうだとしても認めてもらいたいのは姉さんと彩だけだ!! あんたたちは――」
「智也!」
ハッとして、俺を呼ぶ声の方を見る。興奮していて、義兄さんが降りて来たことに気が付かなかった。
「それ以上はやめておけ」
義兄さんには、俺が何を言おうとしたか、わかったのだろう。
言っても、後悔なんてしないと思う。
『あんたたちは家族なんかじゃない』
俺は確かに、そう言おうとした。
「帰る」
とてもじゃないが、真心と勇気の前で仲の良い家族を演じる気にはなれなかった。
「姉さん、ごめん」
姉さんだって複雑な気持ちで、朝から台所に立っていたと思う。一口も食べずに帰るのは申し訳ないが、これ以上一分一秒も父さんと母さんの顔を見たくなかった。
「智也」
靴のかかとを踏んだまま外に飛び出した俺を、義兄さんが呼び止めた。
「義兄さん、ごめ――」
「結婚に興味のなかったお前を変えたのは、彩さんか?」
姉さんから話は聞いているだろうが、俺が直接義兄さんと彩の話をしたことはなかった。
これまで、義兄さんは仕事ばかりの俺に結婚の良さを説いてきた。義兄さんには、俺が孤独に見えていたんだと思う。
「前に義兄さんが言ってたことの意味、彩と付き合うようになってわかったんだ」
「……?」
色々言い過ぎて、俺の言葉が何をさしているのかわからない様子。
「家族なんて煩わしい、って言ったら『家族がいても一人の時間は持てるけど、独りじゃ家族との時間は持てないぞ』って」
「ああ……」
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「仕事でムカつくことがあっても、彩に『お疲れさま』って言われたら、頑張る気になれる。だから――」
本当は、毎日顔を見て言われたい。
「次は彩さんと一緒に来い」
「え?」
「夏子と子供たちもお世話になってるからな。一度、お礼を言いたかったんだ。それに、お前をここまで変えてくれた女性に会ってみたい」
義兄さんは嬉しそうに微笑んだ。
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